運動音痴、高校転校、メニエール病・・・不器用なりに歩み、師匠・長南亮とともに世界の頂を目指す三浦彩佳

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【ONE Championship】

 世界最大級の格闘技団体・ONEチャンピオンシップ株式会社(以下、ONE)が4月22日(金)開催するシンガポール大会。日本人選手も4人が参戦し、ABEMAでも生中継される注目の大会だ。
今回は、その第5試合の女子ストロー級マッチに出場する三浦彩佳に、これまでの歩みや躍進の要因、今後の展望を聞いた。

父が教えてくれた格闘技の魅力

「今も運動神経悪いですよ」
ONE女子ストロー級4位、前戦はション・ジンナンの持つタイトルに挑戦(結果は判定負け)という実績やタフな戦いぶりを見ると半ば信じられないが謙遜ではなく事実だと強調する。
「足も遅いですし、ジャンプ力もリズム感も無い。ボールも投げられないし、普通の人が簡単にできることが、未だにできないですね」
加えて、幼い頃は人見知りも激しかったという。

そんな三浦の格闘技との出会いは父親の影響だ。当時は格闘技ブーム全盛期。父がPRIDEやK-1を観ながら選手の特徴や試合の面白さを分かりやすく解説してくれた。
その下地があったため中学で部活動を選ぶ際に「強くなれる競技がいい」と柔道部に入部したところから格闘技人生は始まった。「やったらやった分だけできるようになっていくのが楽しくて」と、部活動だけでは飽き足らず埼玉で一番強いとされていた道場にも出入りするようになった。

高校はスポーツ推薦で都内の強豪校に進学したが、ここで挫折を味わう。
「女子だらけのところで雰囲気にあんまり馴染めませんでした。柔道は好きなんだけどそれ以外のことがストレスで。(上下関係も厳しかった?)そうですね、一人っ子だったので(苦笑)」

そんな時、友人が教えてくれたのが地元・埼玉の西武台高校だった。思いきって転校の決断をした。同校も練習は厳しかったが、雰囲気はのびのびとしており自主性も重んじられていた。指導者や仲間に恵まれた3年間を過ごし、インターハイ出場こそならなかったが県の新人戦優勝など良い思い出をたくさん作ることができた。
こうして部活動を全うすると、柔道整復師になるための専門学校へ。ここでも柔道は続けていたが「トップを目指すとかそういう感じではなかったですね」と振り返るように競技の第一線からは身を引いた。

【ONE Championship】

昨日の敵は今日の友

しかし、ひょんなことから運命は変わる。
当時、務めていた整骨院に、かつてPRIDEで活躍していた長南亮が患者としてやって来た。ジムの他の選手も来るようになり、興味が増した三浦は長南が代表を務めるTRIBE TOKYO M.M.Aに入門した。

すると、幼い頃に父と観ていた総合格闘技は、やってみるともっと面白かった。怪我を心配して柔道ですら賛成していなかった母も「反対しても聞かないことは分かっていたと思います(笑)」と強引に説得し総合格闘家に転身した。
さらにプロ2戦目で敗れたことがきっかけとなり整骨院も退職。「もっと集中したい」と格闘技一本の生活をすることにした。

だが、今度は病魔が三浦を襲う。
「練習中よく倒れるようになっちゃって、追い込めば追い込むほど動けなくなってしまいました。メニエール病と診断されるまでは周りにもなかなか理解されなくて心身ともにどん底の状態でした」
結果として2年間、リングから離れることになった。整骨院を退職した後だったがアルバイトもろくにできない状態。家にもいづらい時は「1日中、公園のベンチでボーッとしている時もありましたね」と振り返るほど、何もできず何もしたくなかった。

徐々に病状は改善していったが、なかなかジムには戻れずにいた。そんな時に手を差し伸べてくれたのがプロ2戦目で敗れた藤野恵実だった。しばらくは藤野のもとに出稽古へ行って次第に感覚を取り戻した。
そして、長南のもとに戻ると、以降はメキメキと成長を遂げる。運動神経の悪さを本人の努力と長南の指導力が凌駕していった。
「長南さんにたくさん鍛えてもらいましたし、量をもうメチャクチャやりまくってフィジカルがつきました」
また最近はトレーナーの堀江登志幸氏にトレーニングメニューを組んでもらい、それをまた地道にひたむきに取り組んだおかげで少しずつできる動きも増えていっている。
試合への怖さもなく「早く試合がしたくなるタイプです」と笑う。

三浦の表情で、取材中の屈託のない笑顔とともに印象的なのが泣き顔だ。試合では勝っても負けても泣く。練習中に泣くことも多いようで、師匠の長南からはタフなファイトスタイルとも合わせて「泣き虫ゾンビ」とも名づけられている。
「練習中でも、思うように動けないときに泣くことはあります。映画とか感動映像とかも弱いですね。長南さんに“自分と重ね合わせてるだろ”って言われるんですけど、アニメとかで“できない子が一生懸命頑張っているシーンを観ちゃうと泣いちゃいます(笑)」

今回対戦するダヤン・カルドソについては「パンチがすごく重そうですしフィジカルも強そう」と警戒しつつも、「ちゃんとした相手を用意してくれているなっていう気持ちもありますね」とONEからの期待も感じ取り、どこまでもポジティブだ。

目指すはONEのベルトであり「リアルな強さを観て欲しい」という思いも変わらない。
勝っても負けても泣くこともまた変わらないだろうが、次こそは嬉し泣きで表情を崩す姿を見てみたい。

取材・文=高木遊
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