INNOVATION LEAGUE 2021 デモデイ開催!本年度プログラムの成果を発表!

SPORTS TECH TOKYO
チーム・協会

【SPORTS TECH TOKYO】

スポーツ庁とSPORTS TECH TOKYOが共同で開催する「INNOVATION LEAGUE 2021」は、3月14日(月)に東京ミッドタウン日比谷 BASE Qにて、本年度プログラムの成果を発表する「INNOVATION LEAGUE 2021デモデイ」を開催した。

コラボレーションパートナーと事業共創を行う「INNOVATION LEAGUE アクセラレーション」に参加した5社、及び「INNOVATION LEAGUE コンテスト」で受賞した4社が取り組み内容をプレゼンテーション。会場に集まった約200人のオーディエンスは、スポーツを活用した産業拡張と可能性拡大のチャレンジに沸き立った。

多様な方々と一緒にスポーツを拡張する

デモデイの冒頭、INNOVATION LEAGUEを主催するSPORTS TECH TOKYO プログラムオーナーの中嶋文彦氏と、スポーツ庁次長の串田俊巳氏が登壇。

中嶋氏は昨年度に続き2回目の開催となる「INNOVATION LEAGUE 2021」の取り組みを「(昨今の)さまざまな逆境の中で意志ある多様な方々と一緒に、スポーツやスポーツビジネスの拡張に挑むことができた」と振り返り、プログラムの意義と成長に自信をのぞかせた。

また、串田氏はINNOVATION LEAGUE のプログラム概要を説明するとともに「今月下旬に公表予定の第3期スポーツ基本計画の中で、スポーツオープンイノベーションはスポーツの成長産業のための中核的施策」と話し、「本日の取り組みが大きな弾みとなり、スポーツ界を核に我が国経済が今後一層盛り上がる契機としていきたい」とデモデイへの意気込みを語った。

SPORTS TECH TOKYO プログラムオーナーの中嶋文彦氏 【SPORTS TECH TOKYO】

スポーツ庁 次長 串田俊巳氏 【SPORTS TECH TOKYO】

新観戦体験から、汗乳酸センサを活用したチャレンジまで!アクセラレーションに参加した5社が、プログラム成果を発表!

デモデイ前半のメインプログラム、INNOVATION LEAGUE 2021 アクセラレーションピッチでは、SPORTS TECH TOKYO 大曽根一平氏の趣旨説明の後、本年度コラボレーションパートナーの公益社団法人日本フェンシング協会(以降、日本フェンシング協会)、ならびに一般社団法人ジャパンサイクルリーグ(以降、JCL)と事業共創を行った採択企業5社がプレゼンテーションを行い、プログラムにおける取り組みとその成果を発表した。

INNOVATION LEAGUE アクセラレーション担当 SPORTS TECH TOKYO 大曽根一平氏 【SPORTS TECH TOKYO】

アクセラレーションプログラムの全体像 【SPORTS TECH TOKYO】

最初の登壇となった「休日ハック!」は、ユーザーの休日を“勝手に決めちゃう!”サービスを展開するスタートアップ。自らをテック企業ではなく“ハック企業”と呼ぶなど非常にユニークだ。本プログラムではJCLと連携を行い、2月12日に横浜赤レンガ倉庫で行われたロードレースのエキシビションイベントで、ユーザーに応援グッズや「ご当地ミッション」を配布、レース観戦と共に謎解きコンテンツを楽しんでもらうことで、会場の熱気と地域の魅力を高めることにつなげた。

株式会社休日ハック 田中和貴氏 【SPORTS TECH TOKYO】

続く2社目のピッチは「株式会社グレースイメージング」。連続的に汗の乳酸を計測できるデバイスを持つスタートアップだ。スマートウォッチのように手軽に装着できることで、これまでの計測のハードルを一気に下げた。今回のプログラムではJCLと連携し、効率的な運動負荷管理やファンエンゲージメントへのデータ活用を検証。プレゼンテーションでは数多くの実証データを披露した。

株式会社グレースイメージング 中島大輔氏 【SPORTS TECH TOKYO】

3社目は「パナソニック株式会社」。新しい音声配信サービスとして展開する「CHEERPHONE」を使い、JCLと連携した新観戦体験の実証を行った。「CHEERPHONE」は遅延が0.2〜0.3秒と体感ベースではほぼリアルタイムの音声配信を実現していることや、アプリインストール不要でスマートフォンだけでできる手軽さなどが特長だ。前出の2月12日に開催されたロードレースのエキシビションイベントにて選手にマイクを装着し、コーチとの会話や息遣い、ギアの変速音やブレーキの音をユーザーに配信する実証実験を行った。事後のアンケートでは95%のユーザーが「観戦が楽しくなった」と回答するなど、観戦体験やファンエンゲージメントの面で非常に良好な成果を得た。

パナソニック株式会社 木村文香氏 【SPORTS TECH TOKYO】

続く4社目は「株式会社フィナンシェ」。ブロックチェーン技術を利用したトークンを発行することで、スポーツチーム等の資金調達と参加型ファンコミュニティ形成を支援しているスタートアップだ。コアファンの可視化や新しいファン層の獲得など、スポーツチームが持つ課題に向き合っている。本プログラムではJCLのトークンを発行し、同時にファンコミュニティを開設した。初回ファンディングでは約4,000万円の売上があり、二次流通も生まれている。現在約700人がトークンホルダーになっており、公式イベントへの招待などファンエンゲージメントにもつながる成果を生み出した。

株式会社フィナンシェ 安井達也氏 【SPORTS TECH TOKYO】

最後のピッチは「株式会社 Fanplus」。ファンクラブ事業を手掛けており、本プログラムでは日本フェンシング協会と連携を行った。協会が持つ課題を整理した後に、グループインタビュー調査を行いユーザーインサイトを抽出。フェンシング高関与層と一般層(非ファン層)それぞれのポイントを踏まえた改善計画を作成した。今回得られた結果をもとに、今後ユーザー向けプラットフォームの構築など連携を進めていくという。

株式会社Fanplus 的場慎吾氏 【SPORTS TECH TOKYO】

本年度のアクセラレーションでは、スタートアップから大手企業まで幅広い採択企業の顔ぶれとなった。またテクノロジーを活用した観戦体験自体のリッチ化から、その周辺体験への拡張、さらにはチームとファンの新しいつなぎ方まで、事業共創のテーマも非常に多様なものとなり、ピッチを聞いていたコラボレーションパートナーからのコメントも盛り上がりを見せた。今後、コラボレーションパートナーとのさらなる連携や採択企業同士のタッグなど、共創による価値の深化、また派生するイノベーションの創出を期待したい。

なお、今回参加した5社にはINNOVATION LEAGUEから、それぞれの共創内容をもとにした以下のタイトルが授与された。

株式会社休日ハック:「エクスペリエンス・コーディネーター」
株式会社グレースイメージング:「バイタルデータ・プラットフォーマー」
パナソニック株式会社:「オーディオキャスト・パートナー」
株式会社フィナンシェ:「ファンモチベーション・ビルダー」
株式会社 Fanplus:「ファンコミュニティ・プラットフォーマー」

イノベーションリーグ大賞はGoogle!INNOVATION LEAGUE コンテスト贈賞式

INNOVATION LEAGUEアクセラレーションの発表に続き、会場ではINNOVATION LEAGUE コンテストの贈賞式が執り行われた。

まず、INNOVATION LEAGUEコンテストを担当するSPORTS TECH TOKYO 薬師寺肇氏より、コンテストのビジョンをはじめ、本年度応募状況、審査フローなどについて説明がされた後、各賞受賞者によるプレゼンテーションと、賞状ならびにトロフィーの授与が行われた。

INNOVATION LEAGUE コンテスト担当 SPORTS TECH TOKYO 薬師寺肇氏 【SPORTS TECH TOKYO】

受賞者によるプレゼンテーション1社目は、ソーシャル・インパクト賞を受賞した「1252プロジェクト/一般社団法人スポーツを止めるな 」。

1年52週間のうち12週間が生理であることに由来したプロジェクト名を持つ取り組みで、女子学生アスリートが抱える「生理×スポーツ」の課題に対し、メディアを通じた情報発信をはじめ、直接学校を訪問したワークショップ等を実施。自身がオリンピックと生理が重なることでコンディションに苦労した体験を持つ競泳元日本代表の伊藤華英氏を中心に、競技の垣根を越え賛同してくれたトップアスリートと共に活動している。

一般社団法人スポーツを止めるなの伊藤華英氏(写真右)、最上紘太氏(写真中央) 【SPORTS TECH TOKYO】

続くプレゼンテーション2社目は、アクティベーション賞を受賞した「【Player!】コロナ禍における企業スポーツ応援のDX/株式会社ookami」が登壇。

ookamiはさまざまなスポーツコンテンツのライブ配信を行うスポーツライブエンターテイメントアプリ「Player!」を運営するスタートアップ。INNOVATION LEAGUEコンテストでは昨年度に続く2年連続の受賞となった。受賞内容は、スポーツチームを持つ企業、選手アスリートを雇用する企業、また協賛するスポーツチームを持つ企業に向け「Player!」内に社内専用のページを作成することで、インナー向けオンライン応援を可能にした取り組み。スポーツスポンサーシップと企業のインナーコミュニケーションを新しいかたちで結びつけた点が高く評価された。

株式会社ookamiの田中義人氏(写真中央)と須藤斐紗子氏(写真右) 【SPORTS TECH TOKYO】

続くプレゼンテーション3社目は、パイオニア賞を受賞した「筑波大学アスレチックデパートメント/国立大学法人筑波大学アスレチックデパートメント」。

国立大学として初めてアスレチックデパートメントを開設、スポーツアドミニストレーターやアスレティックトレーナーを設置した。様々なプログラム提供と同時に効果検証も行うなど、学生のウェルビーイング向上にも寄与している点や、情報発信や外部パートナーシップの締結、地域への還元などスポーツ改革のフロントランナーとなっている点が高く評価された。

国立大学法人筑波大学アスレチックデパートメントの城間早紀氏(写真中央)とコズミくん(写真右) 【SPORTS TECH TOKYO】

そして受賞者によるプレゼンテーションの大トリは、イノベーションリーグ大賞を受賞した「Project Guideline/Google」。

通常は伴走者の助けを得て走る視覚障がいのあるランナーが、スマートフォンを用いて一人で自由に走ることを目指す研究開発プロジェクト。2019年に米国で始まったプロジェクトを、2021年に日本でも発表。Googleの機械学習技術を活用した画像認識AIによって、ランナーの腰に装着したスマートフォンが地面に引かれた線を見分け、ランナーがその線より左か、右か、中央なのかを瞬時に判断してヘッドフォンを通じ音声シグナルを送る仕組み。視覚障がいのある方が自身で走れる喜びを生み出したこと、取り組みの的確な情報発信や多様なパートナーシップで改良や体験向上を進め、先端技術活用で社会課題の解決も進めている点などが高く評価された。

Googleの湯河テッド氏(後列右から2人目)、Keiichiro Tamaru氏(後列左から2人目)、Satoru Arao氏(後列右)、Ikumi Kobayashi氏(前列左)、Yosuke Suzuki氏(前列右) 【SPORTS TECH TOKYO】

イノベーションリーグ大賞を受賞したGoogleのプレゼンテーション 【SPORTS TECH TOKYO】

Googleはプレゼンテーションでプロジェクトをまとめた映像を上映。全盲のランナーが初めて一人で10kmを走り切る様子が映し出されると会場は感動に包まれ、称賛の拍手が沸き起こった。

本日を通過点に、スポーツビジネスのさらなる拡張を

デモデイの最後に、スポーツ庁室伏広治長官から総括が行われた。

INNOVATION LEAGUEアクセラレーションに関し「オミクロン株が猛威を振るう中、実証がここまで来られたことは大変すばらしいこと。本日をひとつの通過点としてスポーツビジネスのさらなる拡張を期待しています」と話し、INNOVATION LEAGUE コンテストについては「今年度多くの応募があり、受賞された取り組みはもちろん、惜しくも受賞を逃した取り組みにもすばらしいものがたくさんあった。引き続き、スポーツの可能性を広げる取り組みを進めていただきたい」とまとめ、デモデイを締め括った。

スポーツ庁 室伏広治長官 【SPORTS TECH TOKYO】

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著者プロフィール

スポーツテックをテーマにした世界規模のアクセラレーション・プログラム。2019年に実施した第1回には世界33カ国からスタートアップ約300社が応募。スタートアップ以外にも国内企業、スポーツチーム・競技団体、スポーツビジネス関連組織、メディアなど約200の個人・団体が参画している。事業開発のためのオープンイノベーション・プラットフォームでもある。現在、スポーツ庁と共同で「INNOVATION LEAGUE」も開催している。

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