重賞成績を見れば一目瞭然! 今年の3歳馬はハイレベル!

JRA-VAN
チーム・協会

【 2021/10/31 東京11R 天皇賞(秋)(G1) 1着 5番 エフフォーリア】

今年6月以降に行われた3歳以上の重賞では、3歳馬の活躍が非常に目立っている。夏のサマースプリントシリーズの途中でその予感はあったが、秋競馬入って勢いが増し、G1やG2を勝つ馬が続々と出てきた。競馬ファンやマスコミからも「今年の3歳馬はレベルが高い」という声が聞こえる。

そこで今回は、今年の3歳馬のレベルの高さを、重賞成績で証明することにした。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。

2021年に3歳以上の重賞で好走した3歳馬(6〜10月)

■表1 【2021年に3歳以上の重賞で好走した3歳馬(6〜10月)】

まずは今年(2021年)6〜10月、3歳以上の重賞で3着以内に好走した3歳馬を調べた(表1参照)。6月の安田記念でシュネルマイスターが3着に入ったのを皮切りに、CBC賞でピクシーナイトが2着と好走、アイビスサマーダッシュではオールアットワンスが古馬を撃破して重賞初制覇を飾った。ソングラインは関屋記念が1番人気で3着だったが、その後はソダシ、ヨカヨカ、レイハリアと牝馬がそれぞれ重賞勝利を果たした。

秋競馬に入ってからはピクシーナイトがセントウルS2着の後、スプリンターズSで優勝。東京開催ではシュネルマイスターが毎日王冠、ソングラインが富士SとG2を勝利。そして、先日の天皇賞(秋)ではエフフォーリアがコントレイル、グランアレグリアとの“3強対決”を制して優勝。「今年の3歳馬はレベルが高い」ことを象徴するような勝利だった。

2021年の3歳以上重賞の年齢別成績(平地/6〜10月)

■表2 【2021年の3歳以上重賞の年齢別成績(平地/6〜10月)】

表2は今年6〜10月に行われた3歳以上重賞(平地)の年齢別成績。3歳馬の成績は1着が8回、2着が2回、3着が5回と、延べ32回の出走で15回馬券に絡んだ。勝利数は4歳が9勝、5歳が10勝と、古馬勢も3歳とほとんど変わらなかった。しかし、3歳は勝率が25.0%、連対率が31.3%、複勝率が46.9%と、他の年齢に比べると明らかに好成績だ。このデータをふまえて、他の年のデータと比較すると、今年の成績がいかに凄いかがわかる

過去10年の3歳以上重賞における3歳馬の成績(平地/6〜10月)

■表3 【過去10年の3歳以上重賞における3歳馬の成績(平地/6〜10月)】

表3は過去10年の3歳以上重賞における3歳馬の成績(平地/6〜10月)。2011年以降、勝利数は2〜3つという年がほとんどのなか、2021年は8つも勝っていて勝率も異常に高い。連対率(31.3%)や複勝率(46.9%)も他の年に比べて優秀だ。単勝・複勝の回収率は特別にいいわけではなく、両方ともに100%を超えている年(12年、15年、16年)が他にある。ただ、今回重視しているのは好走率の高さなので、「今年の3歳馬はレベルが高い」とみて間違いない。しかも、2000年以降でみても、同じような好成績を挙げた例は他になく、今年は異例ともいえる成績なのだ。

表1の馬名をあらためてながめると、同じ馬が複数回好走していることに気づく。シュネルマイスターが2回(安田記念、毎日王冠)、ピクシーナイトが3回(CBC賞、セントウルS、スプリンターズS)、ソングラインが2回(関屋記念、富士S)好走している。特に芝のマイル以下では強い馬が揃っており、層の厚さを感じさせる。ダート路線は何とも言えないが、芝中距離以上ではエフフォーリアがしっかりと結果を出した。

2018年に3歳以上の重賞で好走した3歳馬(平地/6〜12月)

■表4 【2018年に3歳以上の重賞で好走した3歳馬(平地/6〜12月)】

表4は18年6〜12月に3歳以上の平地重賞で好走した3歳馬の一覧。過去10年で、21年の次に3歳馬の好走率(複勝率)が高かった18年(表3参照)では、11月以降にどんな馬がどのレースで活躍したかを調べた。18年はまずラブカンプーが6〜10月の間に4つのレースで好走。スプリンターズSでは11番人気ながら2着に入って存在感を見せた。

そして新潟記念を制したブラストワンピースは、12月の有馬記念で優勝。シリウスSを制したオメガパフュームは、京都で行われたJBCクラシックで2着に入った。毎日王冠2着のステルヴィオは、マイルチャンピオンシップを勝利。その他アーモンドアイがジャパンカップ、ルヴァンスレーヴがチャンピオンズカップを優勝しており、3歳馬が秋のG1で大活躍をしたのだ。この例を見ると、今年11月以降の重賞も3歳馬の勢いが止まらないのではないか、という雰囲気をひしひしと感じる(本稿執筆途中、ステラリアがエリザベス女王杯で7番人気2着と好走した)。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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