【レビュー】2021年JFL第16節・いわきFC対奈良クラブ
【©︎IWAKI FC】
「万事休す」。そう思われたラストプレーでゴール。
日曜夜、雨中のナイター。それにも関わらずスタジアムに集った観客は1024名。今季無敗のチームへの注目度がうかがえる。
メンバーは前節ソニー仙台FC戦をベースとするも、若干の変更。GKはこの試合も坂田大樹。DFラインは前節同様にCBを本職とする4人。SBに奥田雄大と小田島怜。CBは黒澤丈に加えて黒宮渉が入った。黒宮の先発は5月9日の天皇杯福島県代表決定戦・福島ユナイテッドFC戦以来。
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試合は両チームが激しくプレスをかけ合い、開始早々から目まぐるしく攻守が入れ替わる展開。前半11分に先手を取ったのは、昨年の対決に続いて奈良クラブ。左サイドから6番寺島はるひ選手が蹴り込んだFKが起点となり、ゴール前のこぼれ球をDF小谷祐喜選手が決めた。
いわきもすぐさま反撃に出る。わずか4分後、右サイドからMF山下が上げたボールを折り返すと、ゴール前に詰めていたのはFW古川。今年ヴィアティン三重からやって来るや、開幕戦で古巣を相手にチーム1得点目を決めるなど、図抜けた勝負強さを誇る古川。前節のソニー仙台FC戦で出場がなく、悔しい思いをしていたストライカーがヘッドで決めて気を吐いた。
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いわきが同点に追いついた4分後。奈良クラブは再び寺島選手が左サイドから起点となって攻める。MF金子雄祐選手がミドルシュートを打ち、GK坂田が弾いたボールをFW片岡爽選手が決め、奈良が1対2で再びリード。奈良はその後も積極的にゴールへと迫るが、いわきも持ち前の走力で対抗。だが得点はなく前半終了。
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走力に勝るいわきはこれ以降、ゲームをほぼ制圧。DF小田島がたびたび左サイドから起点となり、平岡や吉沢が持ち前のパワーと走力で圧倒する展開に。しかし、奈良のゴールマウスをこじ開けることができない。
今シーズン無敗のいわきFCが、ついに1敗目を喫するのか。
誰もがそう思った後半アディショナルタイム4分の、まさにラストプレー。GK坂田が蹴り込んだボールをゴール前でFW鈴木と相手DFが競り合い、こぼれたボールが奈良のオウンゴールに。いわきFCがまさしく最後の最後で同点に追いつき、タイムアップ。
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田村雄三監督談話
ご存じの通りウチは少人数でやっていて、ケガで試合に出られない選手もいます。スタートで使いたかったけれどもあえて途中から入れた選手もいますし、ケガの具合で出場をギリギリまで迷った選手もいます。総力戦と考えてゲームプランを作り、挑みました。
奈良クラブさんのやってくることは十分理解していました。その上で相手に合わせるのではなく、自分達のサッカーをしようと伝えてピッチに送り出しました。
ただし、特に前半、選手が自信を持ってプレーしていないように見えました。スリッピーなピッチコンディションの中、守備で行き切れない。
実はJヴィレッジさんにご協力いただき、今週に2日間、ナイターの同じ時間帯に事前練習しました。実際に雨も降り、選手達は芝の状況なども確認でき、慣れているはずだった。でも、どこか浮足立ってプレーしていました。
その原因の一つが、相手の1トップに対するCBの位置取りが低くなり、ボランチやサイドが前から奪いに行き切れなかったこと。練習の行い方やピッチ内の状況把握の方法など、課題が多く出たように思います。ハーフタイムでCBのポジショニングを修正したことで、後半はほぼ敵陣でボールを奪えたと思います。
ただし終盤、得点を取りたいと意識しすぎて、選手が中央に密集しすぎました。平岡や谷村がしっかり幅を取って、もっとスペースを作りたかった。でも奈良クラブさんの守りも固くて、結果的に最後のワンプレーでああいう形になってしまいました。
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コロナ禍は依然続いていますが、そんな状況の中で十分に配慮しながら、少しでも皆さんに楽しんでもらえるような熱狂空間を作っていきたい。皆さんに活力や夢を与えられるような、そして『今日見に来てよかった』と思っていただけるようなサッカーをしたい。あらためてそう思いました」
引き続き、熱き戦いにご注目を。
チームはこの引き分けにより、10勝5分けの勝ち点35で首位をキープ。消化試合数が1つ少ない状況だが、ヴェルスパ大分に勝った2位Honda FCとの勝ち点差は2に縮まっている。
決して負けられない次節はアウェーの大阪遠征。7月18日(日)14時半より、今季JFLに昇格し、現在3位と健闘を見せるFC TIAMO枚方と対戦する。枚方との試合はJFL昇格を懸けた2019年の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ以来。そしてこの戦いで、今季のJFL所属全チームとの対戦が一巡する。
そして次回のホームゲームはJFL第16節。対戦相手は第2節のアウェーマッチで勝利したホンダロックSC。7月25日(日)18時より、再びJヴィレッジスタジアムのナイターとなる。引き続き、熱き戦いにご注目を!
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