【レビュー】2021年JFL第16節・いわきFC対奈良クラブ

いわきFC
チーム・協会

【©︎IWAKI FC】

2021年6月13日、いわきFCはJFL第16節にて、奈良クラブと対戦。1対2で迎えた後半アディショナルタイム、相手オウンゴールによる劇的な引き分けで首位をキープした。

「万事休す」。そう思われたラストプレーでゴール。

リーグ首位を走るいわきFC。前節はアウェーでソニー仙台FCを圧倒し、2対0で勝利。今節は奈良クラブをJヴィレッジスタジアムに迎えた。

日曜夜、雨中のナイター。それにも関わらずスタジアムに集った観客は1024名。今季無敗のチームへの注目度がうかがえる。

メンバーは前節ソニー仙台FC戦をベースとするも、若干の変更。GKはこの試合も坂田大樹。DFラインは前節同様にCBを本職とする4人。SBに奥田雄大と小田島怜。CBは黒澤丈に加えて黒宮渉が入った。黒宮の先発は5月9日の天皇杯福島県代表決定戦・福島ユナイテッドFC戦以来。

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ボランチは山下優人と宮本英治の二人。そして負傷復帰した関野元弥がベンチ入り。サイドハーフは左に前節2ゴールを挙げた嵯峨理久、右は岩渕弘人。2トップは鈴木翔大と古川大悟。アタッカーのサブとして吉澤柊、平岡将豪、谷村海那。アグレッシブに前線から動く2トップを中心に前半から攻め立て、後半にパワーのある吉澤、平岡、谷村を投入して突き放す。そんな意図が見えるメンバー構成となった。

試合は両チームが激しくプレスをかけ合い、開始早々から目まぐるしく攻守が入れ替わる展開。前半11分に先手を取ったのは、昨年の対決に続いて奈良クラブ。左サイドから6番寺島はるひ選手が蹴り込んだFKが起点となり、ゴール前のこぼれ球をDF小谷祐喜選手が決めた。

いわきもすぐさま反撃に出る。わずか4分後、右サイドからMF山下が上げたボールを折り返すと、ゴール前に詰めていたのはFW古川。今年ヴィアティン三重からやって来るや、開幕戦で古巣を相手にチーム1得点目を決めるなど、図抜けた勝負強さを誇る古川。前節のソニー仙台FC戦で出場がなく、悔しい思いをしていたストライカーがヘッドで決めて気を吐いた。

【©︎IWAKI FC】

試合は1対1。例え先制されてもすぐに取り返し、さらに突き放す。いわきFCのそんな強さは、この試合も発揮されるのか。そう思いきや、試合は意外な展開へと転んでいく。

いわきが同点に追いついた4分後。奈良クラブは再び寺島選手が左サイドから起点となって攻める。MF金子雄祐選手がミドルシュートを打ち、GK坂田が弾いたボールをFW片岡爽選手が決め、奈良が1対2で再びリード。奈良はその後も積極的にゴールへと迫るが、いわきも持ち前の走力で対抗。だが得点はなく前半終了。

【©︎IWAKI FC】

いわきは前半にイエローカードをもらっていた奥田雄大を下げ、後半開始から左サイドに平岡を投入。嵯峨が右サイドに回った。59分には古川に代えて吉澤、同じくイエローカードをもらっていたMF宮本に代え、関野が久々に出場。70分には岩渕に代えて谷村を投入し、ゲームを動かしにかかる。

走力に勝るいわきはこれ以降、ゲームをほぼ制圧。DF小田島がたびたび左サイドから起点となり、平岡や吉沢が持ち前のパワーと走力で圧倒する展開に。しかし、奈良のゴールマウスをこじ開けることができない。

今シーズン無敗のいわきFCが、ついに1敗目を喫するのか。

誰もがそう思った後半アディショナルタイム4分の、まさにラストプレー。GK坂田が蹴り込んだボールをゴール前でFW鈴木と相手DFが競り合い、こぼれたボールが奈良のオウンゴールに。いわきFCがまさしく最後の最後で同点に追いつき、タイムアップ。

【©︎IWAKI FC】

現在の順位に見合わぬ、アグレッシブでスピードあふれるプレーで試合を盛り上げた奈良クラブ。難敵を相手に土壇場で劇的な引き分け。いわきFCは、貴重な勝ち点1を得た。

田村雄三監督談話

悪天候の中、そして日曜日のナイターにも関わらず、1000人以上のサポーターの方に来ていただき感謝しています。最後は劇的に追いついた結果になりましたが、皆さんの声援が力になり、同点に追いつくことができたと思います。

ご存じの通りウチは少人数でやっていて、ケガで試合に出られない選手もいます。スタートで使いたかったけれどもあえて途中から入れた選手もいますし、ケガの具合で出場をギリギリまで迷った選手もいます。総力戦と考えてゲームプランを作り、挑みました。

奈良クラブさんのやってくることは十分理解していました。その上で相手に合わせるのではなく、自分達のサッカーをしようと伝えてピッチに送り出しました。

ただし、特に前半、選手が自信を持ってプレーしていないように見えました。スリッピーなピッチコンディションの中、守備で行き切れない。

実はJヴィレッジさんにご協力いただき、今週に2日間、ナイターの同じ時間帯に事前練習しました。実際に雨も降り、選手達は芝の状況なども確認でき、慣れているはずだった。でも、どこか浮足立ってプレーしていました。

その原因の一つが、相手の1トップに対するCBの位置取りが低くなり、ボランチやサイドが前から奪いに行き切れなかったこと。練習の行い方やピッチ内の状況把握の方法など、課題が多く出たように思います。ハーフタイムでCBのポジショニングを修正したことで、後半はほぼ敵陣でボールを奪えたと思います。

ただし終盤、得点を取りたいと意識しすぎて、選手が中央に密集しすぎました。平岡や谷村がしっかり幅を取って、もっとスペースを作りたかった。でも奈良クラブさんの守りも固くて、結果的に最後のワンプレーでああいう形になってしまいました。

【©︎IWAKI FC】

追いつけたこと自体はよかったですが、選手達には『今日は負けゲームだ』と話しました。終わった時、誰一人喜んでいなかったことが、今のウチの強み。長いリーグ戦の中で拾ったこの勝ち点1は、きっと後で大きな意味を持ってくると思います。

コロナ禍は依然続いていますが、そんな状況の中で十分に配慮しながら、少しでも皆さんに楽しんでもらえるような熱狂空間を作っていきたい。皆さんに活力や夢を与えられるような、そして『今日見に来てよかった』と思っていただけるようなサッカーをしたい。あらためてそう思いました」

引き続き、熱き戦いにご注目を。

この試合の裏側については、田村監督自ら執筆する"魂の息吹く"いわきFC noteの連載コラム「田村雄三ここだけの話〜BEHIND THE SCENES」にて、詳しく語られる予定だ。ぜひ、アップを楽しみにしてほしい。

チームはこの引き分けにより、10勝5分けの勝ち点35で首位をキープ。消化試合数が1つ少ない状況だが、ヴェルスパ大分に勝った2位Honda FCとの勝ち点差は2に縮まっている。

決して負けられない次節はアウェーの大阪遠征。7月18日(日)14時半より、今季JFLに昇格し、現在3位と健闘を見せるFC TIAMO枚方と対戦する。枚方との試合はJFL昇格を懸けた2019年の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ以来。そしてこの戦いで、今季のJFL所属全チームとの対戦が一巡する。

そして次回のホームゲームはJFL第16節。対戦相手は第2節のアウェーマッチで勝利したホンダロックSC。7月25日(日)18時より、再びJヴィレッジスタジアムのナイターとなる。引き続き、熱き戦いにご注目を!

【©︎IWAKI FC】

なお奈良クラブ戦のハイライトを、いわきFCの公式YouTubeチャンネルにて配信している。

そして、いわきFCの最新コンテンツを、"魂の息吹く"noteにて配信中。

また、いわきFCファンクラブ「LOVE IWAKI」も会員募集中。入会は無料。チケットやグッズの会員限定価格で購入や、メルマガによる情報配信など多くの特典があるので、ぜひご入会を。
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著者プロフィール

「いわき市を東北一の都市にする」ことをミッションに掲げ、東北社会人サッカーリーグ1部を戦う「いわきFC」の公式アカウントです。

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