【マッチプレビュー】2021年JFL第16節 いわきFC対奈良クラブ
【©︎IWAKI FC】
前節、アウェーでソニー仙台FCと対戦。今年の天皇杯で敗れている相手に、MF嵯峨理久の2ゴールで完勝。10勝4引き分け無敗の勝ち点34で、首位を走るいわきFC。Jヴィレッジスタジアムで戦うのは4月11日の第5節・ラインメール青森戦以来となる。
対戦相手の奈良クラブは、奈良市を中心に全県をホームタウンとするJリーグ百年構想クラブ。1991年に創設された「都南クラブ」を起源とし、1996年に県1部リーグ昇格。2008年にチーム名を奈良クラブに改称。和歌で使われる奈良の枕詞「あをによし」から、青と赤をクラブカラーに定め、この年、関西サッカーリーグ2部に昇格。翌2009年に1部昇格と順調にステップアップ。2013年にJリーグ準加盟クラブとして承認を受けると、翌2014年に2度目の関西リーグ1部制覇。第38回全国地域サッカーリーグ決勝大会で優勝し、JFLへの昇格を果たした。
節目となったのが2019年。この年、2015年からのホームゲームの入場者数水増しが発覚(J3昇格に際しては、原則として1試合平均2000人以上動員が求められていた)。2020年1月にJリーグ百年構想クラブの失格処分が下された。これを受け、クラブはガバナンスを再構築。失格処分は同年6月に解除となった。JFLでの順位は2015年、2017年の7位が最高位。2019年は14位、2020年シーズンは13位と、ここ2年は順位を落としている。
2021年はスペイン人監督のフリアン・マリン・バサロ氏が就任。選手の大幅な入れ替えを行い、元JリーガーやJFLからの移籍選手が17名加入し、ほぼゼロベースのチーム構築となった。
今年のJFLではここまで4勝4分け6敗、勝ち点16で13位。開幕戦でMIOびわこ滋賀を3対1で破り好発進。しかしHonda FC、松江シティFC、ヴェルスパ大分、ソニー仙台FCに4連敗。そこから徐々に立て直しを図り、直近の第14節でF.C.大阪と引き分け、第15節で鈴鹿ポイントゲッターズに3対0で圧勝。戦術がかみ合ってきたことで、勢いに乗っている。
ちなみにクラブの伝統儀式が、選手達とサポーターが肩を組んで行う「勝利のラインダンス」。2021年ユニフォームのテーマは「DANCING DEER」。選手達が肩を組んだ時、鹿のシルエットが浮かび上がるデザインとなっている。今節、Jヴィレッジスタジアムでのラインダンスは、何としても阻止したい。
いわきFCと奈良クラブは、2020年7月18日のJFL第16節で初対戦している。場所は今回と同じJヴィレッジスタジアム。コロナ禍の影響でリーグが短縮開催となり、無観客試合の開幕戦。いわきFCのJFL初戦でもあった。
試合は思いもよらぬ展開になる。開始早々の混乱を突き、1分に奈良クラブが先制。そのまま0対1で前半を折り返した。いわきは後半開始からFW平岡将豪を投入。MF日高大とのコンビネーションで左サイドを崩し、徐々にゲームを制圧。65分にFW岩渕弘人が同点ゴール。86分にFW鈴木翔大がヘッドで逆転ゴールを挙げ、2対1で勝利している。
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「順位表で見ると、かえって難しいゲームになる」田村雄三監督
今はチームの調子がいいので、今節は特別なことは言わないつもりです。いつも通り、平常心で戦うことが大事。ソニー戦のイメージのまましっかりできれば、結果はついてくる。
前節はDFラインを黒澤丈、米澤哲哉、奥田雄大、小田島怜というCBを本職にする4人で組みました。そしてMF嵯峨理久の攻撃力を生かすため、これまでSBで出場していた彼を左サイドハーフに上げました。一つ前でプレーさせて点を取ってほしいと期待したのですが、実際に取ってくれました。右サイドハーフは平岡将豪、ボランチはいつも通り山下優人と宮本英治、2トップは鈴木翔大と岩渕弘人。そしてアタッカーの交代選手として、後半に吉澤柊、谷村海那を投入しました。
【©︎IWAKI FC】
奈良クラブさんは後ろからしっかりとビルドアップして攻撃を組み立て、ポゼッションするチーム。東京ヴェルディや松本山雅でプレー経験のあるCBの飯田真輝選手、FC今治やヴェルスパ大分を経て入ったボランチの金子雄祐選手らがキーマンになってくると思います。パスの本数がかなり多く、今のところどんな相手にも自分達のサッカーを崩していない。決してやりにくい相手ではありませんが、天候次第でピッチがスリッピーになるかもしれないので、そこも考慮してメンバーを選びます。
順位表で考えてしまうと、かえって難しいゲームになる。相手が奈良クラブさんだからこうしよう、というのではなく、どんな相手でも自分達がすべきことをしっかりやる。その徹底がポイントになるでしょう。この試合を含め7月はあと3試合。ここをしっかりと勝ち切り、勝ち点43で夏の中断期間を迎えられたらベストです」
「後半に勝負を懸けるスタイルは通用しない」村上佑太アナリスト
現在は負傷離脱中と思われるので今節出場するかわかりませんが、警戒したいのが左サイドのMF森俊介選手。関西学院大時代から名の知れた左利きのドリブラーで、この選手が出ていた序盤戦は得点のほとんどは左サイドが起点。そして森選手の代わりに寺島はるひ選手が入っても、攻撃の起点が左であることは変わりません。ちなみに森選手、寺島選手と絡む左SBの加藤徹也選手は、いわき市の出身です。
左サイドはかなり攻撃的な印象ですが、その分、失点のきっかけになることも多い。積極的にプレスをかけ、相手の左サイドを押し込めばおのずと自分達のゲームにできるでしょう。
実はデータを見ると、奈良クラブは順位のわりに失点数が少ない。2点以上取られている試合は14試合中3試合だけ。Honda FCとソニー仙台FC、ヴィアティン三重以外のチームは1点もしくは0点で抑えています。これは守備が堅いというより、ボールを長くポゼッションすることで相手に攻撃の機会を与えていないことが要因。それぐらいボールの保持時間は長く、JFL有数でしょう。Honda FCとの試合でも、奈良クラブが若干支配率で上回っていました。そこから考えると、おそらく今節は1点を争うゲームになる。それなりにボールを持たれると思いますが、ウチとしてはその分前から行ける。相性はいいはず。
不気味なのは、ゴールの8割近くが後半の得点であること。長時間のポゼッションで体力を奪い、後半に勝負を懸けるスタイルに思えます。ただし後半に強いのは、いわきFCの大きな特徴でもある。他のJFLのチームとは戦えても、そのやり方はいわきFCには通用しないことを、はっきりと示したいです。
試合はナイターで行われます。ナイターはアウェーの第4節で経験しており、今季2回目。ホームでは初めてになります。一つ心配なのは、Jヴィレッジの霧。昨シーズンの開幕戦では、だいぶ霧が出ていました。選手達はあまり影響なかったと言いますが、上から見ている限りはピッチのようすがまったく見えない時間もあった。そこだけが少し心配ですね」
地の利を生かして事前練習を積み、万全な体制で戦いに臨む。
チームは地の利を生かし、試合開始時間に合わせて7月8〜9日の18時よりJヴィレッジスタジアムで事前練習。夜のキックオフに向けて生活リズムを作り直し、スタジアムのピッチコンディションをチェックするなど、万全の体制で奈良クラブとの一戦に臨む。
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熱き戦いに、引き続きご注目を!
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