守田英正、サンタ・クララを欧州カップ戦に導くゴール! 最終節までもつれた残留争いの結末は…【リーガNOS第34節レビュー】

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【©LigaPortugal】

リーガNOS(ポルトガル1部)の第34節が現地18日から19日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今季最終節全9試合のレビューをお届けする。

サンタ・クララはクラブ史に残る快進撃で6位フィニッシュ。来季は欧州の舞台へ 【©LigaPortugal】

【サンタ・クララ(守田英正所属) 4-0 ファレンセ】

 欧州カップ戦出場権がかかるサンタ・クララと1部リーグ残留を目指すファレンセが激突した一戦は、大差がつく結末となった。33分、ディフェンスラインからのロングボールを起点に右サイドを攻略したサンタ・クララは、DFラファエウ・ラモスの折り返しにFWクリザンが詰めて先制。45分には日本代表MF守田英正が追加点を奪った。ハーフウェーライン手前で縦パスを受け反転した守田は、即座に味方にボールを預けてゴール方向へスプリントをかける。そして左サイドに開いた元ヴァンフォーレ甲府のMFアラーノからパスをもらい、ペナルティエリア左角で寄せてきた相手ディフェンスの股を抜くと、そのままゴール前まで進んで鋭いシュートをニアサイドに突き刺した。

 後半に入ってもサンタ・クララの勢いは止まらず、59分にはMFリンコンからのパスを受けたアラーノが左サイドからトップスピードでゴール前に突入して豪快に3点目。さらに63分、クリザンとのパス交換でゴール前に抜け出したFWカルロス・ジュニオールが4点目を決めた。4-0の完勝を収めたサンタ・クララは、前節終了時点の勝ち点で並んでおり最終節でベンフィカに敗れたヴィトーリアSCを抜いて6位に浮上。劇的な形で来季のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ予選2回戦出場権を獲得した。シーズン後半戦からチームに加わり、リーグ戦20試合連続フル出場、そして最終節のゴールでサンタ・クララの欧州カップ戦出場権獲得に大きく貢献した守田の活躍は伝説として語り継がれるに違いない。

【トンデラ 2-3 パソス・デ・フェレイラ】

 試合は序盤から大きく動いた。開始2分にトンデラのMFジョアン・ペドロが鋭い無回転ミドルシュートで先制ゴールを挙げると、パソス・デ・フェレイラも負けじとついていく。5分、ザスパクサツ群馬やアルビレックス新潟でもプレーしたFWドウグラス・タンキが前線でプレスをかけて相手DFからボールを奪い、そのままゴールへ。追いすがる相手選手たちを弾き飛ばして同点ゴールを決めた。その後も点の取り合いとなり、両軍合わせて5得点が生まれた。34分、ジョアン・ペドロが相手の中途半端なクリアのこぼれ球に詰めてトンデラに勝ち越し点をもたらすと、36分にはコーナーキックからドウグラス・タンキがヘディングで再び同点弾を叩き込んだ。互角の殴り合いに決着をつけたのはパソス・デ・フェレイラだった。DFペドロ・レボーショが左サイドをするする持ち上がってペナルティエリアに侵入すると、対角線にスルーパスを通し、最後はFWエウデル・フェレイラが詰めてゴールイン。乱打戦を制したパソス・デ・フェレイラは5位フィニッシュで、来季新設されるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグの予選3回戦への挑戦権を獲得した。

【ポルト 4-0 ベレネンセス】

 すでに優勝を逃し2位も確定していたが、ポルトはエンジン全開でベレネンセスに襲いかかった。14分、相手ディフェンスのロングボール処理のミスを突いたMFオターヴィオがゴール前でボールを奪い、折り返しにFWメフディ・タレミが詰めて先制ゴールを奪った。さらに28分、右サイドバックのDFジョアン・マリオがマイナス方向へのクロスを送ると、中盤から飛び出してきたMFマルコ・グルイッチが狙いすましたシュートをゴールネットに突き刺した。後半もポルトのゴールラッシュは止まらない。50分、ショートカウンターを繰り出すとタレミのスルーパスに抜け出したFWトニ・マルティネスが3試合連続ゴールでベレネンセスを突き放す。80分にはMFファビオ・ヴィエイラのフリーキックにDFジオゴ・レイテが頭で合わせて4点目を奪い、ショーを締めくくった。

アデルラン・サントス(写真左)は同点ゴールでリオ・アヴェを救った 【©LigaPortugal】

【ナシオナル 1-2 リオ・アヴェ(食野亮太郎所属)】

 ナシオナルはすでに2部降格が決まり、対戦相手のリオ・アヴェも降格の可能性がある状態で最終節を迎えた。1部リーグ残留がかかるリオ・アヴェだが、11分に失点してしまう。ナシオナルのMFドゥドゥが見事な個人技からゴールネットを揺らした。16分には19試合ぶりに先発起用されたリオ・アヴェのFW食野亮太郎が惜しいミドルシュートを放つが、ゴールとはならない。ナシオナルの1点リードで前半終了となった。窮地に立たされたリオ・アヴェは後半開始直後の51分、ショートコーナーの流れから、DFアデルラン・サントスがヘディングシュートで同点ゴールを決める。60分には食野のスルーパスからチャンスが生まれるも得点にはつながらない。

 リオ・アヴェは序盤から猛攻を仕掛けて90分間で36本のシュートを放ちながら、逆転ゴールを奪えないまま後半アディショナルタイムに突入した。すると94分にドラマが。途中出場のDFサヴィオが左サイドから上げたクロスに、FWカルロス・マネがギリギリの角度で合わせてヘディングシュート。劇的な逆転勝ちを収めたリオ・アヴェだったが、最終順位は16位に。2部リーグ3位のクラブとの入れ替え戦に回ることとなった。スタメン起用された食野は73分までプレーし、随所に存在感を発揮した。リーグ戦の最終成績は19試合出場3得点、先発出場は4試合にとどまった。

【ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属) 1-2 ボアヴィスタ】

 先制したのはホームのジル・ヴィセンテだった。36分、FWサムエル・リーノが自らの獲得したPKを決め、相手を窮地に陥れた。ボアヴィスタは前節終了時点で15位に沈み、他会場の結果しだいでは2部降格の可能性もある状況だ。後半も頭の5分間でジル・ヴィセンテに立て続けにチャンスを作られてしまう。だが、ピンチをGKのセーブとゴールポストの活躍で切り抜けると、56分に値千金の1点が生まれる。ボアヴィスタはFWアルバート・エリスが右サイドを突破してクロスを上げ、FWユスファ・エヌジエがダイビングヘッドで合わせて同点に追いつく。

 運にも救われた。72分には再びジル・ヴィセンテにPKが与えられたが、サムエル・リーノが蹴ったシュートはゴールポスト直撃。そして耐え続けた末の88分、MFパウリーニョが倒されて獲得したPKをエヌジエが決め、ついにボアヴィスタが逆転。そのまま逃げ切って勝ち点3を積み上げ、土壇場での1部自動残留を確定させた。ジル・ヴィセンテに所属するMF藤本寛也は73分から途中出場。21歳の日本人MFにとって欧州での1年目のシーズンは、リーグ戦27試合出場、先発起用12試合、1得点2アシストという結果で終了した。

【ヴィトーリアSC 1-3 ベンフィカ】

 欧州カップ戦出場圏内から陥落の危機に瀕していたヴィトーリアSCは、何としても最終節に勝利したいところ。しかし相手は3位のベンフィカで、試合に入ると国内屈指の強豪に蹂躙された。48分、ベンフィカはMFヌーノ・タバレスを起点にしたワンタッチのパス交換で左サイドを崩し、FWダルウィン・ヌニェスの折り返しにFWハリス・セフェロヴィッチが詰めて先制点を奪った。さらに58分、左コーナーキックをニアサイドでMFガブリエウ・ピレスが逸らし、セフェロヴィッチが2点目をゲット。ヴィトーリアSCは63分にコーナーキックから1点を返すも焼け石に水。終盤の猛攻も実らず、91分にカウンターからベンフィカのFWエヴェルトンに3点目を許して試合終了。敗れたヴィトーリアSCは、前節終了時点で勝ち点が同じだったサンタ・クララに抜かれて7位に陥落。来季の欧州カップ戦出場権を逃してしまった。

ペドロ・ゴンサウヴェス(写真左)はリーグ得点王に。ポルトガル代表初招集でEURO出場へ 【©LigaPortugal】

【スポルティングCP 5-1 マリティモ】

 19年ぶりのリーグ優勝を果たしたスポルティングCPは、前節ベンフィカ戦に敗れて無敗優勝を逃してしまった。ただ、1敗で気落ちすることなくマリティモ戦もエンジン全開。開始6分、左サイドを突破したFWジョバネ・カブラルの折り返しにMFペドロ・ゴンサウヴェスが合わせて先制する。さらに19分、ペドロ・ゴンサウヴェスは味方のシュートの跳ね返りに詰めて2点目を奪い、21分に相手のオウンゴールでも加点したスポルティングCPは一気に3点のリードを手にする。マリティモのGKシャルレスは味方からのバックパスを受ける際にまさかの“トンネル”でボールをコントロールできず、ゴールに吸い込まれていくのを見送るしかなかった。後半に入ってもスポルティングCPの勢いは止まらず、62分にジョバネ・カブラルのロングスルーパスに抜け出したペドロ・ゴンサウヴェスがゴールネットを揺らし、ハットトリックを達成。75分には相手GKシャルレスがペナルティエリア外に飛び出してのキックをミスし、こぼれ球を拾ったFWゴンサロ・プラタがGK不在のゴールに技ありのロングシュートを蹴り込んだ。終盤に1点は返されたものの、スポルティングCPは5-1で快勝。ハットトリックを達成したペドロ・ゴンサウヴェスは23得点でシーズン終了となり、ベンフィカのFWハリス・セフェロヴィッチを振り切って単独でのリーグ得点王を獲得した。

【ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属) 0-0 スポルティング・ブラガ】

 1ポイントでも上積みすれば1部リーグ残留が決まるポルティモネンセだったが、相手は4位のスポルティング・ブラガ。引き分けるのも簡単ではない、実力差のある相手との最終節となった。それでも粘り強く戦い、スコアレスドローに持ち込んだポルティモネンセは勝ち点1を確保。14位フィニッシュとなり、最終節で4年連続の1部リーグ残留を決めた。左サイドバックとして先発フル出場したDF安西幸輝は前半に果敢なドリブル突破から惜しいミドルシュートを2本放つなど、ゴールを狙う攻撃的なプレーで存在感を発揮した。今季はリーグ戦31試合出場、うち29試合で先発出場。ゴールやアシストはつかなかったが、左右両サイドで常に主力として起用された。一方、今年1月からポルティモネンセに加入した日本代表GK中村航輔は最終節も出番なく、ベンチ入り7試合のみ、3月以降は一度も公式戦のメンバー入りすることなくシーズンを終えた。

【モレイレンセ 3-0 ファマリカン】

 モレイレンセは23分、MFヴァウテルソン・シウバが中盤でボールを奪いカウンターに移ると、左にスルーパスを送りMFフェリペ・ピレスがゴール。先制に成功する。前半終了間際の44分にもカウンターで追加点を奪った。相手のフリーキックの後、バックパスをカットしたフェリペ・ピレスが相手ゴールまで独走して2得点目を挙げる。その後は互いにチャンスを作ったが、最後にゴールを挙げたのものモレイレンセだった。終盤の84分、またもカウンターで左サイドを攻略し、クロスのこぼれ球を拾ったヴァウテルソン・シウバがゴールネットを揺らした。3発快勝のモレイレンセはヴィトーリアSCを抜いて7位でシーズン終了。敗れたファマリカンも一時は最下位に沈んだところから終盤戦で巻き返し、9位でフィニッシュとなった。
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著者プロフィール

ポルトガル・リーグはポルトガルのプロサッカーリーグです。プリメイラ・リーガ(またはリーガ・NOS)とも呼ばれる1部リーグは1934年に開設され、現在18クラブで構成されています。

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