街も人も、そして食べ物も素晴らしい ここ大阪が、自分のホーム #33 アイラ・ブラウン

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#33アイラ・ブラウンは昨季に、新入団の目玉選手としてエヴェッサに加入。フィールドゴール成功率、リバウンド獲得、アシストのいずれも、直近に在籍した琉球ゴールデンキングスでの成績を上回り、西地区2位と躍進したチームの原動力となった。
今季はコロナ禍でチーム作りが遅れ、シーズン序盤にその影響が表れてしまった。しかし先週に東地区首位の宇都宮ブレックスを撃破し、先の水曜には滋賀レイクスターズを100点ゲームで下すなど、状態は上向いてきている。アイラは昨季に加入1年目ながら、天日謙作ヘッドコーチに統率力を買われてキャプテンを任された。今季はキャプテンの肩書きこそついていないものの、チームリーダーのひとりである彼が、ここまでのチーム状況をこう語る。

「序盤はすべての選手が揃っていなかったり、万全な状態ではなかったけど、それはほかのチームも同じだからね。チームが万全でないことを、言い訳にすることもできれば、成長の糧にすることもできる。チームが負けている状態ではそれを言い訳にしがちだけど、そういうことはせず、今の状況のなかで自分たちができることをやる。そうしてきたことで、最近はチームの調子が良くなってきていると思う。コーチも自分たちが取り組まないといけないことを、正しく指摘してくれているし、それによってどんどん良くなってきているよ」

今季のエヴェッサは、特別指定選手として昨季から在籍している#13中村浩陸を含めた4人のルーキーに、先週水曜日には22歳の現役大学生である藤本巧太もアマチュア契約で加入するなど、若いチームに生まれ変わった。ほかのB1チームの平均年齢はおよそ29〜30歳だが、エヴェッサのそれはB1でもっとも若い26.5歳。

「確かに今季の僕らは若い選手が多いけど、さらにいいチームになれる可能性を感じているよ。だけど、これほど若い選手が多くいると、次になにが起こるのかを予想するのが難しい場面もあるんだ(苦笑)。それがチームに、難しい状況をもたらしてしまうこともある。それをクリアにするのは、やっぱり日々の練習。若い選手だけではなく、すべての選手が真摯に練習に取り組み、準備万端の状態で試合に臨むことが大事なんだ。それを全員が、自覚しないといけない」

若い選手たちはまだ、プロのバスケットボールを学んでいる段階。彼らの成長を促すために、ベテランは労を惜しまない。

「若い選手たちには、自分がどのように動くべきなのかを、教えてあげることも必要。そのために僕は毎日の練習で彼らに教えたり、いろんなことを話したり、サボらないように励ましたり、自信をつけるために声をかけたりと、いろんなアプローチをしている。今の僕らはほかの強豪チームのように、ベンチに素晴らしい選手が揃っているという状態ではないのが現実。若いプレーヤーが多いチームなので、彼らをどんどん成長させていって、さらにベンチを強くしていかないといけない。そうなるためには、繰り返しになるけど毎日、一生懸命に練習することに尽きるんだ。それがチャンピオンシップ(CS)に進むチャンスを得るために、やらなくてはならないことだと思っている」
今節は、彼がかつて在籍した琉球が相手。古巣との対戦に思うところはあるかと問うと、静かに首を横に振った。

「僕がいたころの選手で残っているのは3人だけで、ほかはメンバーも替わって違うチームになったし、とくにはないね。倒さないといけないチームという認識しかないよ。琉球は西地区2位のチームだし、タフなゲームになるだろう。だけど簡単な試合なんて、ひとつもないんだよ。僕らは若い選手が多いチームだし、どこが相手でも、自分たちができる最大限のプレーを発揮しないといけない。相手がどうこうより、自分たちがやるべきことを、しっかりとやる。勝つためには、それが大事なことだ」
ただひとつ、沖縄の暖かい冬だけは恋しいと言う。

「僕はトロピカルな男だと思うから(笑)、沖縄の暖かい気候はいつも恋しく思っているよ。沖縄には2年間住んでとても良いところだったし、なにも悪いことはなかった。だけど今は、大阪が僕のホーム。街も人も、そして食べ物も大阪は素晴らしい。それは最初に大阪に来たときから変わらないし、すごく愛着が湧いているよ。チームが必要としてくれるなら、1年でも長くここでプレーしたいと思っている」

要所で的確にリングを射貫く3P、ブースターを湧かせる豪快なダンク。今年で38歳になったが、いつまでもプレーが若々しい。

「そう言ってもらえるのは、すごく光栄なことだね。気持ちが老いたらプレーも老いると、僕は思っている。そんな心掛けでプレーしているので、そう思ってもらえるのかな。僕はいろんなことができる器用なプレーヤーではないけど、これからもバスケットボールに愛情を持って、情熱的に取り組んでいる姿を見せていきたい。チームメイトにも僕が後ろにいて支えていることを示して、勝利に貢献していくよ」

シーズンはまだ前半戦。CS進出を果たすために、背番号33はその頼もしい背中で仲間を、チームを牽引していく。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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