『ホームの力、サポーターの力』とどろきで前回王者JTを撃破!【NECレッドロケッツ】
【NECレッドロケッツ】
ホームの力、サポーターの力の底知れぬパワーを改めて感じた一戦。
前節の開幕戦で快勝し、2020-21シーズンを幸先よくスタートしたNECレッドロケッツ。24日の今季初となるホームゲームでは、とどろきアリーナにリーグ連覇を狙うJTマーヴェラスを迎えた。金子監督は「前回王者のJTさんに対し、チャレンジャーとして気持ちの部分では絶対負けないように」と、開幕戦と同じ6人をスタメンに送り込んだ。
開幕戦と同じ6人をスタメンに(古賀・曽我・山田・島村・澤田・廣瀬・L小島) 【NECレッドロケッツ】
「前回王者のJTさんに対し、チャレンジャーとして気持ちの部分では絶対負けないように」と語る金子監督 【NECレッドロケッツ】
静かな闘志を胸に秘めてコートに立った澤田由佳
序盤からペースを握って8-3としてからは、山田は移動攻撃と速攻、曽我はライト、レフトの両サイドからの強打と、機動力を生かした攻撃が冴え渡った。セッターの澤田は静かな闘志を胸に秘めてコートに立っていた。
「先週の開幕戦は、塚田選手や山内選手に助けられて、チームが勝てたことは嬉しかったのですが、自分自身は悔しい思いをしたので、今日はまずは楽しんでプレーすることと、自分の持ち味を忘れずに最後まで戦おうと思っていました」
澤田「まずは楽しんでプレーすることと、自分の持ち味を忘れずに最後まで戦おう」 【NECレッドロケッツ】
パワフルなスパイクを放つ廣瀬 【NECレッドロケッツ】
攻撃陣を古賀紗理那が牽引し、相手に一度もリードを許さず2セット連取。
「今年はチームでオフェンスに力を入れてきましたが、その上でディフェンスをしっかりオフェンスができるところまで持っていくのが自分の仕事。それはチーム全体でも考えていたことだったので、とくに1、2セット目は自分たちの強みであるブロックディフェンスがはまって、オフェンスの展開が増えたのは良かったです」
小島「ディフェンスをしっかりオフェンスができるところまで持っていくのが自分の仕事」 【NECレッドロケッツ】
激しい点の取り合いになった第3セット
古賀や島村は依然として高いアタック決定率をキープし、「自分のところに来るボールは全部止めよう」と意気込んでいた山田は相手エース・ドルーズの強打を鮮やかにシャットアウトした。両チームが互いの持ち味をぶつけ合い、主導権を握るまでには至らない中、22-22から一歩抜け出したのはJTだった。曽我のスパイクで2度のセットポイントをしのぎ、レッドロケッツは必死に食い下がったが、26-28でセットを落とすことになる。
途中から入るメンバーが違いを生みだすレッドロケッツ 【NECレッドロケッツ】
一進一退の第4セットは4度目のマッチポイントで決着
小島が「最後に勝ち切れたのは大きい」と語ったとおり、4度目のマッチポイントで執念ともいえる古賀のブロックが決まって30-28。レッドロケッツがなんとか逃げ切って価値ある勝利を手にした。
30-28。熱戦を勝ち切り、JTに価値ある勝利。 【NECレッドロケッツ】
劣勢時に選手を歌舞。偉大な『勝利のハリセン』
音響機材からの音と拍手、ハリセンが選手を後押し。スタンドを赤く染めたサポーターの存在が明暗を分けた。 【NECレッドロケッツ】
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策から、声を出しての応援やチアスティックの使用は禁止。音響機材からの音と拍手、ハリセンという応援スタイルに制限されてはいたが、サポーターの思いはしっかり選手に届いていたと山田は言う。「プレー中も応援の音はよく聞こえます。とくに劣勢のときに大きな音で後押ししていただくのが本当に力になりました」
金子監督が試合後、「これだけ多くの方が観に来てくださったことに感謝しています。我々は1球1球に気持を込めて戦っていきます」と力強く語って迎えた翌25日のKUROBEアクアフェアリーズ戦も、応援の力を実感したゲームだった。第2セットまではリズムに乗れずに苦しい展開。第3セットに入って、今季初出場となった古谷や上野の活躍でレッドロケッツらしさを取り戻した。ストレートでの勝利は、サポーターの存在なくしては果たせなかったに違いない。
歓喜のもりくまダンス。ファンとの喜びは体で表現。 【NECレッドロケッツ】
リーグ制覇のため…次週は大事な東レとの首位決戦
【中から外、外から中】昨年王者を翻弄した曽我啓菜
終始、安定したプレーでチームの勝利に貢献した曽我 【NECレッドロケッツ】
前節の開幕戦は、先発で出場しながら4得点に終わった。第1セット半ばにベンチに退いた後は、第3セット中盤に短時間出場しただけにとどまった。
曽我 みんなにカバーしてもらってありがたかったですし、チームが勝てたことは嬉しかったです。でも、スタートで出ている責任を果たせなかったのは悔しかった。正直、『もっとできるのに』と思いました。
金子監督は曽我に対し、「機動力を活かしたオフェンスが持ち味ですが、ポジションに関係なくコートを動き回って、オフェンスを展開してほしい」と、単なるサイドアタッカー以上の働きを期待している。そして、それは曽我自身も自覚し、今季に向けて強化してきた部分だと話す。
曽我 オフェンス面で頭を使って点を取っていくという部分で、セッターといろいろなコンビ、パターンを増やそうと話しながら取り組んできました。身長が低いので機動力やスピードで相手を上回るしかありません。そこは意識してやっています。
この日のJTマーヴェラス戦では、2枚替えで下がる場面以外はコートに立ち続け、終始、安定したプレーでチームの勝利に貢献した。ポジションはライトだが、ライトからもレフトからも放つスパイクは切れ味鋭く、中から外、あるいは外から中に切れ込んで打つ攻撃では、相手のブロックを翻弄した。アタックで16得点は十分な活躍にも見えるが、しかし、曽我自身は満足してはいない。
曽我 JTさんは昨シーズンの優勝チーム。楽な展開にはならないことはわかっていた上で、しんどい場面でもみんなで攻めることを忘れずに戦えました。ただ、個人としてはオフェンス面で(古賀)サリナさんに助けられた部分が多かった。今後はマークも厳しくなってくると思うので、自分もしっかりオフェンスで存在感を出せるようにしたいなと改めて感じました。
金子監督は「彼女自身が持っている能力からすると、まだまだベストではないという気がします」と言いながら、「その中でも我慢強くプレーしようという姿勢は、昨シーズンと比べて成長してきている」と評する。レッドロケッツは試合を重ねるごとに成長を目指すチームである。曽我もまた、一つひとつの経験を糧とし、立ち止まることなく進化していく。
(取材・文:小野哲史)
満員の観客が大きく後押ししたホーム開幕戦。(※リモート50の収容内)11月の大田大会までは敵地での連戦が続くが、 選手の力・ファンの力・ホームの力が結集した時の今季のNECレッドロケッツは無敵かもしれない。 【NECレッドロケッツ】
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