弱冠21歳の安田を4番に据える井口監督。重圧の中で若者は才能を開花させる。

千葉ロッテマリーンズ
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【勝ち越しの6号3ランを放った安田尚憲内野手と喜ぶ井口監督】

  秋の風が吹いている。昨年は9月24日にシーズンを終了したマリーンズだが今年はホークスとの激しい優勝争いを繰り広げている。2チームのデットヒート。激闘が繰り広げられている中で、マリーンズの中心は21歳の安田尚憲内野手が務めている。7月21日のライオンズ戦(メットライフドーム)に初めて4番に入り、ここまで重責を担ってきた。チームの勝敗に直結する打順。もちろん打てない時もある。経験の差が如実に表れることもある。悩み苦しみながらの4番。それでも指揮官は決して打順を変えない。そこにはブレはない。強い信念がある。

 「4番という打順を全うしてもらう。この一年間、壁にぶち当たってばかりかもしれないけど、それを本人は乗り越えてくれると信じている」と井口資仁監督。

 乾坤一擲の戦いでは経験のある中堅、ベテランが主砲を担い、勝利を類寄せるという手段はあるだろう。しかし、井口監督はキッパリと言う。「4番は安田で行く」。それはこの若者を誰よりも高く評価をしているから。そして優勝争いという重圧の中でこそ若者の才能は大きく開花するという事を知っているだ。指揮官もまたプロ3年目の99年にレギュラーとして116試合に出場。福岡ダイエーホークス(当時)の日本一に貢献した。しかし打率は224で14本塁打47打点。満足いく数字とは言い難かった。それでも王貞治監督は我慢し起用を続けた。福岡ダイエーホークスにとって初優勝。重圧がのしかかる日々。毎晩、苦悩し、もがき苦しんだ。しかし苦しみや恐怖の先に喜びがあった。成長があった。同じように今年、マリーンズは1974年以来となるリーグ1位でのリーグ優勝の可能性を秘めている(05年はリーグ2位。当時はプレーオフ優勝チームがリーグ優勝の定義)。これほどのプレッシャーはない。だからこそ期待の若手を大事な打順で起用し続ける。

 「二軍とか代打とかそんなレベルの選手ではもうない。自分で乗り越えてくれると思っている。当然、歯がゆくなることも一杯あるけども、それはボクが我慢をしていくしかない」と井口監督の想いは固く強い。

 秋虫が鳴いている。いい秋の空気が流れている。今年の秋はマリーンズにとって熱い季節だ。その中心に、この状況下で日々、成長を続けている若き4番が座っている。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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