FUJI BOXING 2019 トリプル世界戦
2019/12/23 神奈川・横浜アリーナ
村田諒太が防衛成功 5RTKO勝利
総括
村田諒太が5RTKO勝利で初防衛に成功【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
ボクシングWBA世界ミドル級タイトルマッチが23日、神奈川・横浜アリーナで開催された。今年7月、不利の予想を覆し王座を奪還した村田はこれが初防衛戦。来月34歳となる村田は現在24歳、80%というKO率を誇るカナダのスティーブン・バトラーと対戦した。
いつも入場時には笑顔の見られる村田だが、今回は緊張感を見せ試合に臨んだ。初回、バトラーの右ストレートと右フックを被弾してしまう。自身のスタイルである前に出てプレッシャーをかける戦いを実践する村田だが、バトラーも負けじと前に出て、左ボディ・右ボディストレートを打ち込むなど応戦。
だが村田の強いプレッシャーによりスタミナをロスしたバトラーは3Rから失速し、村田の左右ボディフック・右ストレートと次第にパンチを集められる。
そして5R、序盤に右でとらえた村田はさらに終盤右ストレートを効かせ、そこからラッシュに入ると最後は左フック。これにバトラーが尻から崩れてダウンを喫し、レフェリーが試合をストップした。
試合後、リングで勝利者インタビューに答えた村田は「控室で調子がよくて、倒せると思って最初空回りした」と反省したものの、来年は自身が常々語るミドル級トップ・オブ・トップとの戦いをリクエスト。最後は五輪金メダリストらしく、「東京(五輪)でみんな盛り上がってますし、花を添えられるように頑張りたい」と話し、快勝のリングを後にした。(協力:長谷川亮)
ラウンド詳細
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試合前
先に入場のバトラーはフードをかぶり、軽くシャドーボクシングを行ってから花道を進む。ファンからのタッチにも応えるが、集中した様子でリングに入る。
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試合前
村田は入場曲がかかると精神統一を図るかのようにしばしの間虚空を見つめ、その後でこちらもファンからのタッチに応じリングに入る。
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試合前
両者、国歌演奏・コールの間も引き締まった表情でセレモニーの進行を待つ。
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1R
バトラーがジャブを顔・ボディと伸ばして先制。村田もすぐにジャブを返し、右ボディストレートを打ち込む。
村田は右クロス、右スイングフックとバトラーの顔側面を狙っていく。ジリッジリッとプレッシャーをかけていく。ワンツーで切り込むが、ここはバトラーがブロックで弾く。
バトラーの右ストレートがとらえるが、村田も右ストレートを返し、左ボディフックを繋げる。バトラーの右フックに村田の体が横に流れる。 -
2R
バトラーはジャブでのリードから右ボディストレート。前へ出ようとする村田にバトラーはさらに右ボディストレートを繋げ、村田の右ストレートにも左フックのカウンターを狙う。
村田は前に出て右ストレートを振るが空を切り、逆にバトラーの左フックが村田の顔・ボディをとらえる。左ボディを打ち込む村田だが、バトラーも左ボディを返す。
バトラーはジャブ・右ボディストレートで村田の前進を押さえている。 -
3R
バトラーは細かいジャブを突き右ボディストレート。村田はグローブの後ろから冷静に見て圧力をかけていく。このラウンド、バトラーは前に出てこない。
後手となるバトラーだが、村田のジャブ、右ストレートの後にすぐパンチを返す。村田はジャブ・ワンツーで切り込み左ボディに力をこめるが、これは距離が合わない。
しかしラウンド終盤、右ストレート・右クロスを連打でバトラーに当て優勢で終える。 -
4R
村田の前進を止めんとバトラーは右ストレートに力をこめる。しかし村田のプレッシャーは止まず、バトラーは村田のパンチに右ストレートをリターン。
バトラーは村田の圧力がキツいのか下がり、呼吸が乱れる。村田は左右ボディフックを交えながら右ストレートでバトラーを攻める。ボディが効いてやや構えが小さくなったバトラーは村田の打ち終わりにフックを返す。 -
5R
村田はジャブでリードし、そこから右ストレートの強打に繋げる。右クロス・右フックを軌道を変えて打ち分け、バトラーは一瞬膝が落ちそうになる。
続けて村田は右ストレートを打ち込み、バトラーはダメージが隠せない。フック・アッパーと放ち村田を遠ざけたいバトラーだが、体力の消耗があるのかパンチに力がない。
ラウンド終盤、村田は右ストレートを効かせ、そこからラッシュに入ると最後は左フック。バトラーは尻から崩れ落ちてダウンを喫し、レフェリーが試合をストップした。 -
村田の試合後コメント
「ありがとうございました。控室で調子がよくて倒せると思ったのですが、最初空回っていたのでヤバいと思って必死でした。
(試合前は)思いのまま上がろうと思って、そういう思いで、変に虚勢を張らなかったというか、そういう感じです。
(バトラーは)ジャブが思ったより強くてビックリしました。さすがランク1位だけはあるなと思いました。
(今年は)激動でしたし、やっと自分のボクシングを確立できたと思ってます。勝った後って気が大きくなっているのであまり言うことじゃないですけど、みんな(井上)尚弥の試合を見て、リアルと戦ってほしいと思ってると思うので、なので会長、リアルな試合をお願いします。
(リアルというのはトップ・オブ・トップの戦い?)やっぱりそこに行き着きたいですね。息子が負けないでと言われたので、それが果たせてよかったです。勝った後って気が大きくなって言ってしまうので、またインタビューとかで、あまり気が大きくなってない時に聞いてください。オリンピックで金メダルを獲った後に東京五輪が決まって8年後なんて無理やと思いましたが8年経ってもやってましたので(笑)、東京でみんな盛り上がってますし、花を添えられるように頑張りたいと思います。
(ファンへのメッセージは)ありがとうございます、その一言です。いつもありがとうございます」
見どころ
昨年10月、ロブ・ブラント(アメリカ)に王座を奪われた村田諒太。不利予想が占めるなかで今年7月の再戦に臨み、2ラウンドTKOで王座奪還。これまでの殻を破るかのように、獰猛な戦いと爆発力を見せた。手応えを得て、再び可能性が広がる中での初防衛戦は、カナダのスティーブン・バトラーを迎える。
33歳の村田に対し、24歳のバトラーはこれが世界初挑戦。“BANG BANG(バンバン)”の異名を取る好戦的な選手だが、村田にはブラント第2戦の再現が期待される。快勝で来年のビッグマッチにつなげることはできるか。(協力・長谷川亮)