来季を先取り! 2024「プロスペクトランキング」
記事
10月26日に今年のプロ野球ドラフト会議が行われ、支配下72人、育成50人の合計122人の選手が指名を受けた。年々ルーキーがいきなり活躍することは難しくなっているが、今シーズン大活躍した村上頌樹(阪神)や山下舜平大(オリックス)のように数年後一気にブレイクする選手が出てくる可能性も高い。そんな次代を担うスター候補について、ルーキーだけでなく来季2年目以降の選手も含めて期待値の高い選手を“プロスペクトランキング”という形でセ・パそれぞれ15人ずつを紹介したいと思う。なお、対象は来季の新人王資格がある選手のみとした。(解説:西尾典文)
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※各項目25点満点、合計50点満点。同点の場合は総合的な評価で順位を決定
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解説
総合点でトップと評価したのがともに今年ドラフト指名を受けた左腕の細野晴希(東洋大→日本ハム1位)と武内夏暉(国学院大→西武1位)の2人だ。細野はコントロールに対する不安からか、3度目の入札まで名前が呼ばれなかったが、ボール自体の勢いとポテンシャルの高さは今年指名された投手でもナンバーワンと言える。1年目は少しプロのストライクゾーンや打者の対応力に苦しんだとしても、致命的な制球難というわけでは決してなく、将来リーグを代表する投手となることも十分に期待できるだろう。一方の武内は最初の入札で3球団が競合したことからも分かるように、即戦力という意味では豊作と言われた大学生投手の中でもトップだ。185㎝、90㎏の大型左腕ながらコーナーにしっかり投げ分ける制球力を備え、ストレートだけでなく変化球のレベルも高い。また大学でも着実に成長してきており、将来性の高さも備えている。近い将来、チームのエースとなることが期待できる投手だ。
3位以降も投手が並んだが、来シーズンの成績という意味で最も期待できそうなのが金村尚真(日本ハム)だ。ルーキーイヤーの今シーズンは開幕ローテーション入りを果たしながら、右肩の違和感で長期離脱。それでもシーズン終盤に復帰し、見事な投球を見せて首脳陣を安心させた。大学時代から制球力の高さは抜群だったが、プロでボールの勢いも明らかにアップした印象を受ける。怪我さえなければ、来季はローテーションとして活躍が期待できるだろう。4位の齋藤響介(オリックス)は二軍でも公式戦での登板は少なかったものの、素材の良さが評価され早くも一軍デビューを果たした。細身だが鋭い腕の振りから繰り出すストレートは150キロを超え、内角を強気に攻める姿勢も光る。メジャー移籍が噂される山本由伸の穴を埋める存在として期待は高い。5位は高校ナンバーワン投手の呼び声高い前田悠伍(大阪桐蔭→ソフトバンク1位)がランクインした。ストレートの凄みはまだそれほどでもないが、変化球、コントロール、投球術は高校生とは思えないレベルにある。特に勝負所で打者を抑え込み、しっかり勝てるという意味では来季のルーキーでも1,2を争う存在だ。1年目は体作りになりそうだが、順調なら2年目から一軍の先発争いに加わる可能性も高いだろう。それ以外の投手ではともに今年2年目の羽田慎之介(西武)と松井友飛(楽天)が着実に二軍で経験を積んでいる。ともに粗削りながら楽しみな素材だけに、3年目の飛躍に期待したい。
野手では横山聖哉(上田西→オリックス1位)、進藤勇也(上武大→日本ハム2位)、上田希由翔(明治大→ロッテ1位)の来季ルーキー3人がランクインした。横山はスケールの大きさが魅力の大型ショートで、抜群の強肩とフットワークの良さ、更にはパンチ力を備えた打撃も魅力だ。まだ攻守ともに粗さはあるものの、今年のショートの中では間違いなくトップの選手であり、ぜひ大きく育ててもらいたい。進藤は大学ナンバーワンの呼び声高いキャッチャー。下級生の頃から大学日本代表の正捕手を務めており、多くの好投手をリードしてきた経験も大きなプラス要因だ。1年目から一軍の正捕手争いに加わる可能性も高い。上田は東京六大学を代表する左の強打者。広角に打ち分ける打撃技術は大学球界でもトップクラスで、三振の少なさと打点の多さも魅力。1年目からある程度一軍の戦力になることも期待できるだろう。その他の野手では山村崇嘉(西武)がシーズン終盤に一軍でも結果を残し、池田陵真(オリックス)、生海(ソフトバンク)、内藤鵬(オリックス)なども今後が楽しみな素材である。
球団別ではオリックスがトップの4人。好素材を獲得していることはもちろんだが、入団後に大きく成長している選手も目立ち、スカウティングと育成が上手く機能していることが分かる。今年のドラフトでもポテンシャルの高い高校生を多く指名しており、パ・リーグの覇者として黄金時代を築く可能性もありそうだ。