強風の中、冴えわたるキックと判断。世界レベルのスタンドオフが見せた極上のパフォーマンス

【©ジャパンラグビーリーグワン】

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)とNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)が太田市運動公園陸上競技場で対戦。前半を終えて19対14とリードしたGR東葛が風上に立った後半に4トライを奪う猛攻を見せて快勝。ボーナスポイントも加えた勝ち点5を獲得した。

GR東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチが「風が強い試合で、まずはコイントスに勝つことが必要だと思っていまして、そこで山極(大貴)ゲームキャプテンがしっかりコイントスに勝ってくれた」と試合後会見の最初に満面の笑顔を見せた。常時、強風が吹き続けている中、コイントスに勝ったGR東葛は前半にあえて風下の陣地を選択。後半勝負をしかけたのはウェールズ代表のスタンドオフ、リース・パッチェルの経験とゲームコントロールに絶対の信頼があったからだろう。パッチェル自身も「ここ1、2週でわれわれのキッキングチェイスが非常に良くなってきているのは感じていたので、競り合えるボールを蹴って、そこからの良いディフェンスでターンオーバーやカウンターアタックにつなげることを狙っていた」とチームの意図を理解し、風上に立った後半は強風を利して変幻自在に楕円のボールを操った。

キック合戦となったとき、パッチェルの仕掛けは見事だった。彼が蹴ったボールはピンポイントに日野RDの陣形を崩す位置に落ちてきた。さらに日野RDバックスの布陣を認知し、誰もいないところにボールをバウンドさせて時間を作ると、そこに緑のユニフォームが殺到して一気にプレッシャーを掛ける。その連続に日野RDのディシプリンが徐々に崩れてペナルティへとつながり、そこからまたパッチェルのキックでGR東葛は相手陣深くに何度も侵入することができた。

「ラインアウトモールから多くのトライを取れたことは自分自身もすごく満足している。フォワードは素晴らしい仕事をしてくれていて、試合前、『スマートに攻めよう』という話をしていたとおりになったし、ラインアウトモールを獲得できたのもキッキングゲームがうまくいったからこそで、相手にしっかりプレッシャーを掛けることができたと思う」

強風のコンディションで、より輝きを見せた精密なキックとプレー判断。世界レベルのスタンドオフが極上のパフォーマンスでラグビーファンをうならせた。

(関谷智紀)
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