150キャップの隣で刻まれたファーストキャップ。スクラムの伝統は脈々と受け継がれていく
だが、そこでチームを勝利に導いたのは、後半14分から出場してトップリーグ時代を含む公式戦通算150キャップを達成した日野剛志のトライだった。
「無我夢中で『サネレ(ノハンバ)!』と呼んだらパスが来たので、置くだけでした」と日野は振り返るが、走れる、ラインブレイクもできるフッカーとして150試合の中で多くのトライも重ねてきた。
チームとしても、今季は前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦を含めて接戦を勝ち切った試合が多く、それが9勝3敗の4位という好成績につながっている。
「今日もああいう苦しい状況になったときに、全員が最後の最後まで力を振り絞ってハードワークして、守り切れるようになってきました。もちろん途中で雑な部分もあったり、ペナルティが多くなったり、うまくいかないこともたくさんありましたけど、今季は最後で力負けする、息切れすることがなくなりました。それはチーム力の底上げができているからだと思います。23人の力が上がって、今日も苦しみながらも勝てたというのは良かったです」
そう語る日野自身には、節目の試合で先発を外れた悔しさもあったが、「どうやったらチームにインパクトが出せるかを考えながらやっていましたが、自分は自分のプレーしかできないので、どんな状況でも自分のプレーをやり続けようとイメージしていました。その点では良かったと思います」とチームのためにすべてを尽くした。
また日野がファーストキャップを記録した2012年のジャパンラグビー トップリーグ開幕戦は、隣でスクラムを組んだヤマハ発動機ジュビロ(現在の静岡BR)のレジェンド・山村亮が100キャップを記録したゲームだった。そして自身の150試合目では、アーリーエントリーの稲葉巧が初出場して一緒にスクラムを組んだ。そこにも日野は運命的なものを感じている。
「稲葉も150試合出て記念Tシャツ作ってもらえるように頑張ると言っていましたし、彼の力やポテンシャルはすごい。それをもっと生かしてあげられるように、また組むチャンスがあったら頑張りたいです」
新人の作田駿介の台頭も含めて、静岡BRの最大の武器であるスクラムがこうして次世代に受け継がれていくことも実感できた一戦。今季2度目の3連勝には、レジェンドの記録達成だけに留まらない大きな価値があった。
(前島芳雄)
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