スクラムに注ぐ情熱。“熱さ”をチームに宿し、浮上への道を切り拓く二人
後半20分にはレメキ ロマノ ラヴァのトライでリードを奪い、勝利の可能性を感じさせた。ところがその後のトライがTMOで認められず、さらに後半31分にフランコ・モスタートがシンビン(その後、レッドカードにアップグレード)となり、一人少ない状況の中で立て続けに失点。悪い流れに呑み込まれて31対39と競り負けた。
この黒星により、三重Hは順位を10位に落とした。レギュラーシーズンでの残留を決めるためには、これ以上順位を下げるわけにはいかない。
ただ、その中で光明があるとすれば、負傷者が戻ってきたことだ。2トライを決めたレメキは再びけがを負ったが、マティウス・バッソン、吉岡大貴、トム・バンクスは戦列に復帰。疲労が蓄積する終盤戦において、選択肢が増えることは好材料だ。
「早く復帰したいという気持ちで一生懸命リハビリをしていましたが、2カ月はあっという間でした」と、ひさびさの出場となった吉岡は語った。「そんなに経ったのか……と感じます。周りをサポートしたり、分析やイメージトレーニングをしていたら、すぐに時間が過ぎました」
プレーできずともさまざまなことを積み重ねてきた吉岡。いま、なかなか調子が上がらないチームに対してどう関わっていきたいと思っているのだろうか。
「29歳の中堅選手としてチームを引っ張ることが求められますし、ラグビーは『燃えてナンボ』です。声を出して、気持ちを前面に見せることが醍醐味。そんな雰囲気を作りたいです」と、吉岡はメンタル面に刺激を与える意欲を示した。
さらにプレー面については「スクラムで安定してボールを供給し、ペナルティを取ることが僕に求められている役割です。良い準備をして、チームに流れをもたらしたい」と力強く語った。
三重Hのスクラムを語る上では欠かせない人物がいる。それは斎藤展士アシスタントコーチだ。昨季まで浦安DRを指導していたこともあり、「古巣相手に燃えている」とも言われていた。それについて吉岡に尋ねてみた。
「確かに燃えていました。ただ浦安DRには2月の試合と合わせて2回負けてしまいましたし、斎藤コーチが一番悔しがっているでしょうね」
負傷からの復帰で“熱さ”をもたらしたい吉岡。そしてこの悔しさを糧に一層スクラムに情熱を注ぐであろう斎藤アシスタントコーチ。これから待つ厳しい戦いに向け、浮上のカギを握るポイントの一つになりそうだ。
(籠信明)
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