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【智弁和歌山】あのアイドルと対戦した選手も 全国屈指の強豪の素顔(和歌山県)

毎日新聞

安定感抜群の両右腕が軸

渡辺颯人(左)と宮口龍斗の両投手 【藤木俊治撮影】

 中谷監督が「秋を勝ちきれた大きな要因」と語るのは、投手陣の安定感だ。前チームからエースナンバーを背負う右腕・渡辺投手は、最速143キロで巧みな投球術が光る。カーブ、スライダー、チェンジアップなど豊富な球種を制球良く操ることができる。昨秋の公式戦は全7試合に先発して43回余りを投げ、自責点は近畿大会決勝の4点のみだった。

 馬力で渡辺投手を上回るのは、183センチの大型右腕・宮口投手。昨秋の和歌山大会決勝では自己最速を3キロ更新する152キロを計測した。6試合に救援し、防御率は0.00。スライダーも効果的に織り交ぜる。冬場は食事とウエートトレーニングで体重増加を図り、「最速155キロを目指したい」と向上心をのぞかせる。

昨夏の悔しさ聖地で晴らす

秋季大会で2打席連続本塁打を放った智弁和歌山の福元聖矢選手 【三村政司撮影】

 投手陣が計算できるだけに、上位進出には打線の出来が鍵を握る。昨秋は7試合で計27犠打飛と15盗塁を絡め、手堅い攻撃で勝利を重ねた。「強打の智弁」の印象が強いが、実戦経験の少ない下級生がクリーンアップに並んだこともあり、例年以上に小技を駆使することをチーム全員で共有した結果だった。

 その中で「2人で突破口を開いてくれ」と中谷監督に1、2番を託されたのが、前チームからのレギュラーである藤田選手と福元選手だ。1番を担った藤田選手は俊足巧打の左打者。昨秋はチーム最多の12安打を放ち、期待に応えた。2番に座った福元選手は左打席から一発を狙える長打力を備える。近畿大会準優勝の好成績について、選手たちは「引退した先輩方のサポートのおかげ」と口をそろえる。昨夏の甲子園は初戦で霞ケ浦(茨城)に延長タイブレークの末に敗れた。

「先輩たちの夏を終わらせてしまった」と責任を感じていたが、逆に当時の3年生が新チームの船出を後押ししてくれた。打撃投手や守備練習での走者役を買って出てくれるばかりでなく、全体練習後の個人練習にも付き合ってくれたという。主将の山田希翔選手は「引退前と変わらない熱量で支えてくれた」と感謝する。

 先輩たちの思いも胸に、昨夏の悔しさを聖地で晴らす。

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