【浦和実】「胸の中の剣」を掲げる主将のもと団結 自主性を養い、初の甲子園(埼玉県)
「不思議」な変則左腕が柱
石戸投手は、右膝を顔付近まで高く上げて少し背中を丸め、頭の上から投げ下ろす独特なフォーム。速球は120キロ前後ながらスライダー、カーブ、チェンジアップなどを交えて打者のタイミングを外す。
結果が出ず悩んでいた中学1年の冬、当時の指導者の助言も参考に試行錯誤を重ねた。「上半身と下半身がかみ合い、スムーズで投げやすい形に」と現在の投法の基盤を確立し、微修正を加えてきた。辻川監督は「球速は遅いが、不思議と打てない」と「魔球」の威力を語る。秋は8試合62回あまりを投げて防御率0.72、2完封を含む4完投と大車輪の活躍を見せた。
伝統的に有力投手がつける背番号「20」で秋は5試合に登板した左腕・駒木根投手も控え、投手陣の粘りと堅い守りからリズムをつかむ。
打線は派手さこそないものの、1試合3得点を奪って逃げ切る戦い方を「理想形」として掲げる。上位が出塁し、勝負強い三島陽之介選手、野本大智選手ら中軸で得点につなげる。選球眼のいい選手がそろう下位からも好機をうかがう。
「普段着野球」で挑む初の聖地
グラウンドは近くに住宅があるため、フリー打撃など実戦練習が行えずケージの中でバットを振る。寮はなく選手は全員通学。練習時間も短く制限は多いが、それでも聖地での挑戦権をつかんだ。「コツコツ努力すれば普通の学校も甲子園に立てる。いい手本になれば」と辻川監督。万感の思いをプレーでの勢いにつなげる。