佐賀移籍にはあるメリットが?佐賀記念で17年ぶりの地方馬勝利へ、シルトプレ/月刊・佐賀競馬だより
2024年中島記念優勝シルトプレ 【撮影:佐賀県競馬組合】
17年ぶりの地方馬優勝なるか!?佐賀からシルトプレが参戦!
2008年にチャンストウライ(兵庫)が勝って以降、地方馬の優勝はありません。
しかし、今年はエルムステークスGIIIで4着の実績があるシルトプレが佐賀所属として参戦。17年ぶりの地方馬優勝に期待が寄せられます。
シルトプレは2歳だった21年、門別競馬場でデビューしました。デビュー勝ちを果たすと、秋には川崎競馬場に遠征して鎌倉記念を制覇。
3歳になると北斗盃、北海優駿と勝ち北海道二冠。最終関門の王冠賞こそ2着に敗れて三冠は逃しましたが、盛岡競馬場に遠征してダービーグランプリを制し、NARグランプリ2022で3歳最優秀牡馬に輝きました。
さらに4歳では地元の大一番・道営記念を制するなど門別のスターホースとして歩んできました。
5歳の昨年は1歳下の北海道三冠馬・ベルピットとの直接対決で3着、2着と後塵を拝したものの、懸命に走りきり、夏には札幌競馬場で行われたエルムステークスGIIIで末脚を伸ばして4着。
白いチークピーシズをトレードマークに堅実な走りを見せていました。
そうして昨年11月、佐賀競馬場で行われたJBCクラシックJpnIで末脚を発揮して4着に入ると、門別には帰らずにそのまま佐賀・真島元徳厩舎に移籍。
移籍時から大目標をここ佐賀記念に掲げました。
NARグランプリ2022で3歳最優秀牡馬受賞を記念して制作されたタオルは真島元徳厩舎(佐賀)でも大切に使われています 【撮影:大恵陽子】
佐賀での期間限定騎乗はこれが4回目。それにより、シルトプレの調教には門別時代と変わらず石川騎手が乗ることができるようになりました。
「石川騎手がつきっきりで調教に乗っていて、心強いですね」
真島調教師もそう話します。
シルトプレの主戦・石川倭騎手 【撮影:大恵陽子】
それは、環境の変化に敏感なシルトプレにとって輸送なしで佐賀記念に出走できるということ。
石川騎手はこう話します。
「環境の変化に対応はしてくれますが、ドッシリ構えるタイプではないので、輸送によって馬体重が増減するなど影響が出ます。
そんな中でもレースではいつも強い走りを見せてくれる素晴らしい馬ですが、佐賀競馬場に滞在して佐賀記念に出走できることはやはり強みだと思います」
佐賀競馬場にもすっかり慣れたシルトプレ 【撮影:大恵陽子】
さらに先月にはオープン特別に出ると、4コーナーで持ったまま先頭に立つ強さで、力の違いを見せました。
石川騎手はその前走をこう振り返ります。
「オープン特別はメンバー的にも1枚抜けた存在で、期待通りの走りをしてくれました。
余裕ある仕上げでしたけど、走れるコンディションは維持していました。
あまり追う必要もなかったと思いますが、佐賀記念を目標にしているので、直線では気を抜かせずムチを入れて気合いをつけました」
真島調教師も感触をこう話します。
「前走後の反動もなく、いい状態です。最終追い切りもいい動き。あとはレースのペースがどうなるかと、雪がどうなるかですね。4日は午前中から雪が降っていました」
佐賀競馬場では昨夏、台風の影響でサマーチャンピオンJpnIIIが3日延期になる事態に見舞われました。
いまのところ、天気予報ではレース前夜に雪は止む予定。なんとか無事にレースが行われてほしいものです。
シルトプレも天気の回復を待っている・・・はず!? 【撮影:大恵陽子】
「北海道からシルトプレと一緒に持ってきてくれたんです」
と真島調教師。
佐賀所属として佐賀記念に出走しますが、門別の人たちの思いも背負っています。
門別時代、重賞などでは黄色と紫の縦縞の馬主服を着ていたシルトプレ。佐賀では規定により馬主服は使用できませんが、もしかしたら厩務員さんが同じ柄のジャンパーを着てパドックを曳くかもしれないとのこと。
いろんな人の思いを背負って、佐賀記念で全力の走りを見せてくれることでしょう。
門別時代からの馬着を佐賀でも愛用 【撮影:大恵陽子】
メンコも門別での馬主服と同じ柄 【撮影:大恵陽子】
文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
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