16年連続JRAが3着以内独占!シンメデージーやシルトプレなど地方馬の可能性は?/佐賀記念JpnIIIデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2024年優勝ノットゥルノ 【撮影:大恵陽子】

第52回 佐賀記念 (JpnIII、4歳以上、ダート2000m)
2月6日佐賀10レース 19時30分発走予定


近年、地方馬の活躍が目立つダートグレード競走。しかしながら、佐賀記念は16年連続でJRA馬が3着以内を独占し続けている。
そこに待ったをかけるのは、3歳の昨年、名古屋大賞典JpnIII3着などダートグレード競走で3回の掲示板入りを果たしたシンメデージー(高知)や、JBCクラシックJpnI4着ののち佐賀に移籍したシルトプレ。
今年こそ地方馬の上位入着があるのか、あるいは今年もJRA馬上位独占の流れは続くのか。

ここでは2015年~24年の過去10年のデータを元に分析する。

過去10回はJRAが3着以内独占。地方馬の可能性は?

直近10年では勝利どころか3着以内をすべてJRA所属馬が独占。地方馬で3着以内に入ったのは08年1着チャンストウライ(兵庫)が最後だ。
今年は名古屋大賞典JpnIII3着など昨年ダートグレード競走で3回、掲示板に載るシンメデージー(高知)や、昨秋のJBCクラシックJpnI4着後に門別から佐賀に移籍したシルトプレなどダートグレード競走で実績ある地方馬が出走。参考までに両馬の所属地の過去10回の成績は下表の通り。JRA時代に重賞2勝のグレイトパール(佐賀)は佐賀記念では19年4着、20年6着、21年7着、22年4着、23年8着だった。また、下表に含まれない例としては、南部杯JpnI3着実績のあったグランシュヴァリエ(高知)が佐賀記念では11年6着、13年5着だった。

所属別成績 【表1】

上位人気の信頼度高く、万馬券はレア

単勝2番人気以内が8勝、2着4回、3着4回で、3着内率は80%。上位人気馬の信頼度が高い一戦だ。そのため、過去10回で3連単の万馬券は2回のみ。1番人気が4着だった16年の2万5030円と、単勝1.4倍のテーオーエナジーが3着になったことで1万6740円(3番人気→5番人気→1番人気)だった19年だ。昨年は単勝1.7倍の1番人気グランブリッジが4着だったものの、3連単は7390円(2番人気→3番人気→4番人気)と、万馬券とはならなかった。

単勝人気別成績 【表2】

脚質別の成績は?

脚質別では逃げ・先行が7勝、2着7回、3着7回で、勝率15.2%、連対率30.4%、3着内率45.6%。地方の小回りコースは前有利なイメージが強いが、佐賀記念に関しては逃げ・先行の好走率は抜けて高いわけではない。
なお、昨年覇者のノットゥルノ(JRA)は最初のコーナーを6番手で回ったため差しに区分されるが、2周目3コーナーでは先頭に並びかけていた。

脚質別成績 【表3】

5歳馬は連対率5割、斤量有利な4歳馬も好成績

若い馬の活躍が目立つ。4歳馬は年長馬に比べて斤量が1kg軽い設定も追い風となってか、3勝を挙げて3着内率も41.2%。競走馬として充実期とも言われる5歳馬は勝率、連対率、3着内率すべてで高い値で、2頭に1頭が2着以内に入る計算となる。

馬齢別成績 【表4】

内枠の逃げ・先行、外枠の差し

馬番別の成績では2番、8番、11番が好成績で、3着内率40%。
2番枠からは内枠を利しての逃げ・先行が好成績で、3着以内に入った4頭中3頭が逃げ・先行。8番枠は4頭中、先行と差しが各2頭、11番枠は逃げと先行が各1頭、差しが2頭だった。
大まかな傾向としては「内枠の逃げ・先行、外枠の差し」と言えそうだ。

馬番別成績 【表5】

外枠がやや好成績

さらにJRA所属馬に限定して馬番別成績を見てみる。各馬番別では下表の通りで、3枠ずつに区切って見てみると、10番~12番の外枠では勝率30%、連対率40%、3着内率70%と好成績だった。ただ、脚質によって精査が必要で、外枠から2番手以内につけられれば3着内率100%だが、3番手~5番手からとなると4頭中1頭が2着に入ったのみで、他は4着以下。それであれば、6番手以下で差しに構えた方が3着内率100%と好成績。つまり、外枠に入ったJRA所属馬は2番手以内につけられるスピード豊富な馬か、差し馬がベストということになる。
一方、1番~3番の内枠の場合は、逃げ・先行すると勝率16.6%、連対率41.6%、3着内率66.6%だった。

JRA所属馬の馬番別成績 【表6】

データからの推奨馬は?

①JRA所属馬
②上位人気馬
③4歳~5歳
④内枠の逃げ・先行
⑤外枠の逃げか差し

昨年覇者の⑦ノットゥルノが今年も参戦。GI/JpnI勝ちがあるため斤量は59kgと重たいが、昨年も同斤量で勝っている。その昨年は早めに動いて3コーナーで先頭に並びかけるレースだったが、今年は逃げることも考えられる。というのも、昨春の名古屋グランプリJpnIIで気分良く逃げて8馬身差で圧勝し、前走・名古屋大賞典JpnIIIも逃げてクビ差2着。逃げていいレースを見せており、あとはこの枠から同型のメイショウフンジンとの兼ね合いか。①②に該当。

地方馬で注目は⑩シンメデージー。昨年はダート三冠のうち東京ダービーJpnIとジャパンダートクラシックJpnIに高知から遥々参戦して4着、5着と地方最先着を果たした。前走の名古屋大賞典では4コーナーから直線で砂の深い場所を走らされながらも2着ノットゥルノとは4分の3馬身差。今回、ノットゥルノとの斤量差は6kgから4kgに縮まるが、17年ぶりの地方馬優勝が期待される。東京ダービーではスローペースもあって5番手につけたが、ジャパンダートクラシックでは後方から追い込んでおり、位置取りは問わない。3歳だった昨年、JRA交流・足摺盃で砂を被って一気に後方まで下がってしまった気性を考えれば外枠は悪くなさそう。
③⑤に該当。

④グロリアムンディは先行できる脚力と、最後までしっかり走り切れるスタミナが武器。
2走前にブラジルカップを勝ち、GIの前走・チャンピオンズカップもそう悪くない内容だった。
①②、そしてここで定義する内枠からは一つ外となるが、④に当てはまる。

⑪クラウンプライドは国内外の重賞を4勝。先行して押し切れるタイプ。
①②に該当で、ノットゥルノやメイショウフンジンの存在を考えると⑤に該当するかどうかは微妙なところ。

②メイショウフンジンは逃げると粘り腰を発揮できる馬。先手を取れるかどうかが大きなポイントの一方、スタート一歩目はそう速くなく、いかに諦めずにダッシュをつけて逃げられるかというタイプだ。昨夏のマーキュリーカップでは最内枠から行ききれず8着に敗れたが、2走前・浦和記念では2番枠から逃げることに成功して3着に粘り込んだ。佐賀記念のコースはスタートから最初のコーナーまで比較的距離があり、昨年も諦めずにダッシュを利かせてハナを切れた。枠の並びを見ると、近くに強力な逃げ・先行馬はおらず、ノットゥルノの出方次第ではあるが、今年も逃げられる可能性がありそう。①④に当てはまる。

⑨シルトプレは佐賀競馬場で行われたJBCクラシックJpnI4着後、そのまま佐賀に移籍。JBCだけでなく、札幌・エルムSでは2年連続で末脚を伸ばして掲示板に入るなど、JRA馬相手でも好勝負を演じてきた。地方馬同士なら先行、JRA馬との戦いになると中団~後方からとなることが多いが、いずれにしても安定して上位争いに加わる馬。出方次第では⑤に該当する。

第52回 佐賀記念JpnIII 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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