セパ補強診断ーDeNA、阪神、巨人編 外国人補強とFA戦線を経て評価Aとなったチームは?
阪神 評価A
【データスタジアム株式会社】
まず補強ポイントとして挙げられていたのが、昨季本塁打ゼロに終わった捕手陣だが、ドラフト会議では独立リーグ出身の町田隼乙を4位で指名。昨季、一軍の先発マスクをかぶったのは梅野隆太郎と坂本誠志郎の2名のみであったため、打てる捕手として期待される町田と、二軍で経験を積んでいる若手捕手の突き上げがほしいところだ。そのほか、内野ではドラフト5位で佐野大陽を獲得。昨季プレーした日本海リーグ・富山では主に遊撃を守り、リーグ2位の打率.336をマーク。シュアなバッティングに加えて39試合で32個の四球を選ぶなど、優れた選球眼も備えている。昨季の阪神は主に木浪聖也と小幡竜平が遊撃を守ったが、佐野の加入によりレギュラー争いがさらに激しくなりそうだ。
また、新外国人では昨季メキシカンリーグでプレーしたヘルナンデスを獲得。打高投低の環境ではあるものの、同リーグで打率.313、22本塁打、71打点を記録した。22年以降は主に一塁や三塁のポジションを守っていたものの、過去には外野の守備に就いた経験もあり、レギュラーが決まっていないレフトの定位置争いに加わる可能性もありそうだ。DeNAから加入した楠本泰史は勝負強い打撃が持ち味で、21年には代打で打率.295、2本塁打と好成績を記録。まずは得意のバッティングでアピールし、外野のレギュラー争いに割って入れるか。
一方の投手陣は、青柳晃洋のメジャー挑戦による退団が決定。通算61勝の実績を持つ右腕の穴埋めとして期待がかかるのは、ドラフト1位で獲得した伊原陵人だ。NTT西日本で先発の柱として活躍した伊原は、コントロール良く質の高い直球を投げ込む左腕で、同じく社会人出身の伊藤将司のように1年目からローテーションに入り込めるか。助っ人ではデュプランティエとネルソンの2名が新たに加入。デュプランティエは150キロ台の力強い速球を投げ込むパワーピッチャーで、昨季はマイナーで7先発を含む23試合に登板し、イニング数を上回る68個の三振を奪った。メジャー通算74登板のネルソンは最速158キロの速球にチェンジアップなどの変化球を織り交ぜる右腕。リリーフとしての起用が見込まれ、来日1年目から勝ちパターン入りを狙う。現時点で育成契約を含めて外国人選手は球団史上最多の9名という体制になっている。
巨人 評価A
【データスタジアム株式会社】
野手ではFA権を行使したソフトバンクの正捕手・甲斐拓也を大型契約で獲得。7度のゴールデングラブ賞に輝いた守備だけでなく、通算62本塁打とパンチ力にも定評があり、扇の要として常勝軍団を支えてきた。同じポジションにはFA権を行使せず残留を決めた大城卓三、昨季72試合でスタメンマスクをかぶった岸田行倫も控えており、隙のない捕手陣を完成させた。助っ人では昨季46試合に出場したモンテスが退団となり、マイナー通算109発を誇るキャベッジが新たに加入。23年には3Aで打率.306、30本塁打、32盗塁をマークするなど、パワーとスピードを兼ね備えたスラッガーだ。マイナーでは主に一塁と外野を守っていたが、阿部監督は一塁での起用を示唆している。昨季は4番・岡本和真の前後を打つ打者を固定できず、つながりを欠く場面も見られただけに、キャベッジの加入でより強固なラインアップを形成することができそうだ。
また、ドラフト会議では1位で花咲徳栄高の石塚裕惺を指名。高校通算26本塁打を誇る大型遊撃手で、坂本勇人の後継者として将来を期待される。2位では九州産業大の浦田俊輔、3位で上武大の荒巻悠と2人の大卒内野手を指名。現時点で遊撃と三塁のレギュラーは固定されておらず、門脇誠、中山礼都らとの激しいポジション争いを繰り広げることになるだろう。
投手陣では、中日から自由契約となったマルティネスを新たに迎え入れた。最速161キロの速球と鋭く落ちるスプリットのコンビネーションで、ここまでNPB通算166セーブをマークしている。現時点で阿部監督はマルティネスに9回を託すことを明言しており、これまで守護神を務めていた大勢はセットアッパーに回ることが予想される。絶対的クローザーの加入により、昨季リーグトップの救援防御率を記録したリリーフ陣はさらに盤石な布陣となった。
一方の先発陣は、昨季の投手2冠・菅野智之のメジャー挑戦により、ローテーションの大きな柱を欠くこととなった。楽天を退団した田中将大を新たに加えたものの、昨季は一軍で1登板のみと、やや心もとない。外国人枠の関係で新たな助っ人の補強は難しいこともあり、若手投手の台頭や日米通算197勝右腕の復活がリーグ連覇へのカギになりそうだ。