【ホープフルS】クロワデュノールが無敗戴冠、新スター誕生に北村友騎手「欠点がない」
クロワデュノールが無敗でホープフルステークスを優勝、来春クラシックの主役に名乗りを挙げた 【photo by Kazuhiro Kuramoto】
今回の勝利でクロワデュノールはJRA通算3戦3勝、重賞は11月の東京スポーツ杯2歳ステークスに続き2勝目。騎乗した北村友騎手はホープフルステークス初勝利、管理する斉藤崇史調教師は21年キラーアビリティに続き同レース2勝目となった。
なお、2馬身差の2着には松山弘平騎手騎乗の6番人気ジョバンニ(牡2=栗東・杉山晴厩舎)、さらに1馬身1/4差には杉原誠人騎手騎乗の17番人気ファウストラーゼン(牡2=栗東・西村厩舎)が入った。
「やってほしいことを全部、北村さんがやってくれました」
斉藤崇史調教師(左)は馬の力、そして北村友騎手の手腕を絶賛 【photo by Kazuhiro Kuramoto】
「今回は頭数も多かったですし、1コーナーの入りも含めて難しい展開になったと思いましたが、その中で北村ジョッキーが上手く誘導してくれまた。また馬もそれに応えて勝ち切ってくれたのは素晴らしかったなと思いましたね。やってほしいことを全部、北村さんがやってくれました」
斉藤崇調教師がレース後の共同会見で北村友騎手、クロワデュノールに対してねぎらいの言葉を送った。「難しい展開でした」とトレーナーが何度も繰り返したレースは、2週前の朝日杯フューチュリティステークスとは打って変わって出入りの激しい流れ。向こう正面に入ってすぐに佐々木大輔騎手のマジックサンズが、前半1000mを超えたあたりから今度は杉原誠人騎手のファウストラーゼンが仕掛けてレースを動かしていった。この間、北村友騎手は馬上でどのような作戦を組み立てていたのだろうか。
「どちらかと言うと枠が内よりでしたので、内に押し込まれないように自分で動けるポジションが取りたいなと思っていました」
4コーナーで早くも勝利を確信
4コーナーで勝利を確信したという北村友騎手、その言葉通り他馬を寄せ付けない完勝だった 【photo by Kazuhiro Kuramoto】
「ポジションが決まるまでに少し時間がかかりましたし、その中で外から1頭来られて、向こう正面でようやく落ち着いたかなと思っていたら、もう1頭捲ってくる馬もいたので、馬が本当の意味でリラックスして走るところは少なかったのかなと思いますね」
ただ、そうした中でもファウストラーゼンの捲りに呼応するかのように北村友騎手は迷うことなくクロワデュノールにGOサイン。人気薄の奇襲に付き合ってしまうとたいていは自滅しそうなものだが、鞍上は愛馬に対して絶対的な信頼感があるのだろう。4コーナーではすでに勝利を確信していたのだという。
「前の馬は捕まえられると思っていましたし、逆に後ろからは捕まらないと思っていましたので、4コーナーで勝てると思いました」
クロノジェネシスでできなかったことをこの馬で
大怪我を乗り越えて4年ぶりのGI勝利、ウイナーズサークルでファンの大歓声を受けた北村友騎手の目からは涙がこぼれた 【photo by Kazuhiro Kuramoto】
「馬に乗っていることが自分の人生にとって一番楽しいことですし、一番やりたいことなので、それがモチベーションになっています」
そんな北村友騎手と一緒に再び大きいレースを勝ちたいと語ったのは斉藤崇調教師だ。北村友騎手と斉藤崇厩舎と言えば、何と言ってもグランプリ3連覇の女傑クロノジェネシス。ただ、北村友騎手の戦線離脱により同馬の引退までコンビを組むことができなかった。そうした心残りの分まで、今度はクロワデュノールで最後まで夢を追い続けたい思いを明かした。
「クロノジェネシスの時に本当にすごく良くしてもらって、引退まで乗ってもらいたいなと思っていたところでの大怪我でしたので最後に乗ってもらうことはできませんでした。でも、こうしてまた北村さんとGIを取れたのは嬉しいことですし、あの時にできなかったことをこの馬で一緒に実現できたら最高だなと思います」
ジョッキー、調教師ともに更なる成長に太鼓判
大物感たっぷりのクロワデュノールにはコントレイル、レガレイラらに続く活躍を期待したい 【photo by Kazuhiro Kuramoto】
「一番の長所は欠点がないところ。あと総合点が高い。距離も特に意識するところがないですね。本当に可能性がある馬だと思いますし、ここからどれくらい成長してくれるのか楽しみにしています」と北村友騎手。斉藤崇調教師も「食べたものが全て身になるまでもうちょっと成長が必要かなとも思います。その成長を待ちながら大事にしていきたい」とさらなるパワーアップの青写真を思い描いている。
昨年の覇者レガレイラは1年後、グランプリホースにまで上り詰めた。このクロワデュノールはこれから先、どこまで駆け上がっていくだろうか。新たなスター候補がけん引する2025年の競馬も、楽しみしかない。(取材・文:森永淳洋)
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