【カープ野手対談】菊池が矢野の「盗塁王」獲得に太鼓判! 2人が受け継ぐ「カープ野球」の伝統とは?
タイトル獲得のご褒美は!?
タイトルを獲ったら菊池選手からこの巨大オブジェがプレゼントされる!? 【写真:Timely!編集部】
菊池 ドラフト6位で入ってきて、沖縄キャンプのときの声出しか何かで「新井さんと境遇が一緒(同じドラフト順位)なので、ここからいってやりますよ!!」って言っていて「おもろ!!」と思いましたね。
——菊池選手の最初の印象は?
矢野 初めて会ったときはめちゃくちゃ怖くて。
菊池 (笑)。
矢野 まだしっかり喋れてない状態だったので、怖いなぁっていう・・・・・・。
菊池 僕もそうでしたから、先輩って。僕のときも、石原(慶幸)さんとか倉(義和)さんとか、前田(智徳)さんとか梵(英心)さんとかいて、「こわい」「喋ってくれない」と思っていましたから。でも自分がこういう年の差(矢野選手と8歳差)の境遇になってみると、何を元に喋ったらいいかというのが分からない、会話の掴みが。流行の曲も違うし時代も違うから「そういうことだったんだ」って今は納得しています。あの当時は納得してないけど(笑)。でも野球の話をしたり、(距離感が)近くなればいろんな話もしますし。
——あの頃から距離が縮まったなぁというは覚えていますか?
菊池 いつからだろ?
矢野 僕は初めて行ったご飯屋さん、めっちゃ覚えています。『(酒笑)ぼんぼん屋』に初めて連れて行ってくださって。1年目の開幕前だったんですけど開幕一軍に入ることができて、その初めてのご飯の時に「(来年)自主トレお願いします」って言って。
菊池 ふらっと、「メシ行くか?」みたいに言ったんだろうね。
——菊池選手的には矢野選手と密に絡むようになったのはいつから?
菊池 やっぱり自主トレに来てからじゃないですかね? (それまでは)どういう人間なのかも分からないし、そういう探り合いはあるので、絶対。自分の中でこの子はこういう感じ、この子はこういう感じというように納得ができないと会話も進んでいかないですから。
——今年はゴールデングラブ賞を獲りましたけど、何か「ご褒美ください!」とかは?
菊池 言ってこなかったね。
矢野 まだまだなので。しっかりとレギュラーとして試合に出続けてそこで何かタイトルを獲ったら(ご褒美お願いします)。
菊池 盗塁王も絶対に獲れますから。(カフェの中にある3メートルくらいある大きなスパイクのオブジェを指さして)家にあのでっかいスパイクのオブジェ送るわ。
矢野 (笑)。
——OBの野村謙二郎さんがスポーツナビのYouTubeで今年印象に残った試合で挙げたのが、菊池選手がDeNA戦で逆転サヨナラスリーランを打った試合でした。そんな夜も寝られないくらい興奮するような試合の後に、噂によるとカブトムシを捕りに行っていたそうですね?
菊池 行きました!
矢野 (笑)。
——あの試合の後すぐに日常に戻れるのが凄いですよね。
菊池 そりゃ興奮しますよ。しますけど、息子のためにね。「ヤバい、俺約束しちゃってるよ!俺、サヨナラ打ったのに!!」。でも息子との約束は守らないといけないですし。カブトムシがいなくて結局クワガタ3匹でしたけどね。
矢野 (笑)。
菊池 その日実は、試合が終わってすぐにアドゥワ(誠)に電話して「アドゥ、車で乗せていくから一緒に行こ」ってお願いして一緒に来てもらったんですよ。あいつデカい(196cm)んで、僕は170cmちょっとで網を伸ばしても全然上の方まで届かないんですけど、4mくらいまで届くんですよ。アドゥがいないと獲れないクワガタが獲れたんですよ。
矢野 (笑)。
菊池 ユニフォームを脱いだらもうおしまい! それはよく言ってます。
矢野 ユニフォームを着ているとき、着ていないときもそうですけど、バッティングと守備ってなったときに、打てなかったときに「あー、打てなかった」という気持ちで守るのと、「よし、守備行くぞ」とすぐに切り替えるというのもキクさんから常日頃言われているので。そこの切り替えは良くできているのかなと思います。
レジェンド達から受け継ぐカープらしさ、カープイズム
菊池選手が、そのプレー映像から「カープ野球」の伝統を感じるという高橋慶彦さん 【写真は共同】
菊池 若い頃は「アップなんかいらねえよ」というくらいアップが面倒くさかったですね。そんなに走ったりせずにバッティングしてノックしてパッと休んでみたいな感じでしたけど、今はしっかりダッシュとかを入れておかないと、ハムストリングが切れたりしたら嫌だなとか、アキレス腱がプチーンっていったら嫌だな、脇腹もちゃんと伸ばしておかないと何かやりそうだなとか思いますよね。
——交代浴とか、身体のメンテナンスにもかなり時間をかけているそうですね。
菊池 そうですね。そういうのも(矢野選手には)「今のうちにやっておいた方がいいよ」と伝えてはいます。ベテランになってからでは遅いですから。
矢野 試合が終わった後はキクさんがいつも交代浴されているので、僕も(お風呂に)入ろうと思うんですけど、もうお湯が熱すぎて。45度とかならまだ我慢して入れるんですけど、入った瞬間もう・・・・・・。
菊池 熱湯コマーシャル。
矢野 (笑)。
菊池 あがるときには水を入れてちょっとぬるくして次の人が入れるようにしてあげているんですけどね。怒られるので。僕が(若い頃に)「熱っ!! 誰入ったの!?」って思っていたのが(石井)琢朗さんとか石原さん、玉木(朋孝/コーチ)さんで、「絶対あの人が入ったわー!」っていうのがあったんです。今は「熱っ!!」ってなったら「絶対キクさんや!」って言われますけど。
——最後にお二人にとってのカープイズムとは?
矢野 泥臭い野球というか、自分自身が思い描いている野球を思う存分に発揮できる、そういう感じですね。必死にヘッドスライディングとかやるのが恥ずかしいと思っている選手もいると思うんですけど、それがもう全くなくて自分らしさを思う存分発揮できるかなと思います。
菊池 いまは時代と共にヘッドスライディングが怪我しやすい、ダメということになっていますけど、僕の中では(高橋)慶彦さんとか、リアルタイムで見たことはないんだけど映像で見させていただいて「うわ! これカープ野球やなぁ」と思うのはそういうところだったので。その伝統というか、泥臭い部分とかそういうのがカープらしさだと思います。ホームランを打って点が入るというよりは、繋いで、盗塁して、ヘッドスライディングして、泥臭く1点を取る。だから矢野がヘッドスライディングしたり、ランニングホームランを打ったときとかもそうですけど、「カープらしさ」って勝手に染みついていると思うんですよね。1年に1回あるかないか、かもしれないけど一塁まで全力で走るという姿も新井さんから学びましたし、今は年上である僕がやらなければ後輩たちに「走っておけよ」って言えないと自分に発破もかけてますしね。それが(カープイズムの)継承になっていくんだと思います。
——来シーズンに向けての意気込みもお願いします。
矢野 来シーズンもキクさんと二遊間を一年間しっかり組んで、たくさん良いプレー、投手を助けられるプレーをたくさんしようと思います。頑張ります!
——今シーズン「キクさんと二人でゴールデングラブ賞を獲りたいです」と言っていましたが、その目標は来シーズンも続きますね?
矢野 はい。
菊池 足を引っ張らないように、しっかり先頭に立って頑張って行きたいなと思います!