早大ラグビー部 青学大に完封勝利 付け入る隙与えず

チーム・協会
関東大学対抗戦 10月12日 対青学大 太田市運動公園陸上競技場
【早稲田スポーツ新聞会】記事 西川龍佑、写真 安藤香穂、植村皓大
 秋の訪れを感じさせる、涼やかな風が吹き込む群馬・太田市運動公園陸上競技場。早大は関東大学対抗戦(対抗戦)の第3節に臨んだ。前節で格上を破り勢いに乗る青学大との一戦は、早大が終始圧倒する展開となった。試合開始直後にペナルティーゴールで先制に成功。エリアマネジメントとセットプレーで優位に立ち、4トライを奪う猛攻で27ー0と大きくリードし前半を終える。後半に入っても勢いは止まらず、さらに6トライを追加。ゴール前での粘り強いディフェンスも光り、見事な完封劇で力の差を見せつける結果に。67ー0で早大が開幕からの連勝を3に伸ばした。

インゴールに飛び込む矢崎 【早稲田スポーツ新聞会】

 青学大のキックオフでゲームはスタート。直後に早大のSO服部亮太(スポ1=佐賀工)と青学大のFB井上晴生のハイレベルなキックの応酬が始まる。昨年の全国高校ラグビーフットボール大会でも白熱の蹴り合いを見せた2人。期待の1年生同士の再戦に会場が沸いた。試合が動いたのは3分、青学大ボールのスクラムで早大がペナルティーを獲得。CTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がペナルティーゴールを沈め3点を先制した。その後はセットプレーが続く展開に。早大はスクラムで圧倒し再三ペナルティーを奪うと、精度の高いキックも活用しながらエリアを押し上げていく。13分には服部が自陣から青学大の背後へキック。低い弾道のボールはゴールライン5メートル前でタッチラインを割り50ー22に成功する。その後のラインアウトから最後に野中がトライ。ルーキーが得意の足技でインパクトのあるチャンスメークを見せた。終盤にはFB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がその実力を発揮する。27分にキック処理のこぼれ球を拾い一気に敵陣へゲイン。PR杉本安伊朗(スポ2=東京・国学院久我山)のトライへとつなげた。直後の30分には自陣でターンオーバーしたボールをWTB池本晴人(社2=東京・早実)がキック。勢いよく転がるボールに反応した矢崎が加速し再獲得すると、そのままインゴールにねじ込んだ。さらに37分には、敵陣22メートルライン付近のラインアウトから、早大得意のテンポの速い攻撃で攻め込む。大外でパスを受けた矢崎がディフェンスを振り払い、再びゴールラインに飛び込んだ。終始攻め続けた早大は27ー0とリードを奪い前半を終えた。

キックとランでインパクトを残した服部 【早稲田スポーツ新聞会】

 後半に入っても早大は攻撃の手を緩めない。安定したセットプレーの強さでゲームの流れを完全に掴むと、6分にはスクラムの反則から青学大の選手がシンビンで退場。一時的な数的有利を得る。直後のセットプレーから、早大らしくボールを大きく動かす攻撃でディフェンスを翻弄し、最後は服部がギャップに切り込みトライを挙げた。さらに15分には自陣中盤でのペナルティーから矢崎が素早くリスタート。敵陣までエリアを回復するとサポートに駆け寄ったのはまたも服部。ボールを受け取ると追いかけるディフェンスを置き去りにしてインゴール中央にグランディングした。前半から好キックでゲームに貢献していた若き司令塔が、ランニングスキルの高さでも存在感を見せつけた。その後の19分には矢崎がこの日3本目のトライ。28分には途中出場のSH糸瀬真周(スポ3=福岡・修猷館)の追加点でリードを大きく広げた。ここで意地を見せたい青学大が奮闘し早大ゴール前に迫る。このゲーム最大のピンチを迎えるも、今大会ノートライに抑えている堅い守備網はそう簡単にゴールラインを割らせない。大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)が試合後に語った「ゴールラインを背負った時に守り切るという自分たちのプライド」を前面に押し出し戦った選手たち。最後にはCTB黒川和音(人3=茨城・茗渓学園)がジャッカルに成功しインゴールを守り切った。反撃を凌いだ37分にはLO若松泰佑(文構4=東京・早実)が追加点を奪うと、ラストプレーで魅せたのはWTB清透馬(商4=茨城・茗溪学園)。自陣深くでボールを受けるとディフェンスを薙ぎ倒しながら前進。ディフェンスの裏へ抜け出すと、そのまま独走しインゴールを駆け抜けた。この日対抗戦デビューを果たした4年生が、ダメ押しのトライでゲームを締め括り、早大は67ー0で見事な完封勝利を挙げた。

対抗戦デビューでトライを挙げた清 【早稲田スポーツ新聞会】

 的確なエリアマネジメントと強力なスクラムでゲームを支配した早大。堅いディフェンスからつながる鋭い攻撃で大量得点を奪い、まさに『Beat Up』を体現するような試合運びを見せた。頭角を表す若い戦力や、途中出場した選手の躍動など、選手層の厚さにも期待が高まる。対抗戦はいよいよ折り返し地点へ。後半戦には名だたる強敵たちが待ち受けている。まずは次節、帝京大戦へ。昨年の王者との大一番に向けて、チーム佐藤の勢いはさらに加速していく。

コメント

大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)
ーー今日の振り返りをお願いします
 相手を0点に抑えて勝ち切れたのは非常に良かったと思いますが、内容的に見るとまだまだ修正しないといけない課題が出たなと思います。みんなも非常に頑張ってくれてディフェンスの方は結果も出ているのですが、もう一段ステップアップして次の帝京大戦に挑みたいなと思います。

ーー先ほどいくつか課題が出たというお話がありましたが、具体的にはどのようなことがあげられますか
 技術的なところもそうなのですが、ストラクチャー的なところで人が足りなくなっているのでそこは課題だなと思います。また、いつもの練習が出なかった場面もあったので、その辺りはしっかり振り返りたいなと思っています。
 
ーー例年よりもジュニアの戦いが良いなど、今年特に大事にしていることは何かありますか
 一番大事なのはやはりゴールラインを背負った時に守り切るという自分たちのプライドかなと思います。それはジュニア選手権に限らず各チームに出てきていて良いと思います。また今日は清透馬がトライを決めましたが、ジュニア選手権で頑張った選手をAチームで起用して、その選手がまた結果を出すと我々も嬉しいですし、今上井草に残っているメンバーの励みにもなるので、ジュニア選手権は非常に重要かなと思います。


SH細矢聖樹ゲームキャプテン(スポ4=国学院栃木)
ーー今日の振り返りをお願いします
 ディフェンスの部分ではすごく良かった場面も多かったと思うのですが、アタックでは今までできていた形ができなかった場面があったのでそこは修正すべき点かなと思います。


FB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
ーー今日の振り返りをお願いします
 個人的には自分のスタンダードを高く試合するということを目標にして日々心がけていたのですが、今日はインディビジュアルなハイボールのミスやコミュニケーションのミスもあったので、帝京大戦やこれからのシーズンに向けてレベルアップできるところがまだまだあるなと思っています。


HO安恒直人(スポ4=福岡)
ーー今日の個人のコンセプトを教えてください
 接点や一対一のところで絶対前に出るということを意識しました。

ーーまず、スクラムの感触はいかがでしたか
 今年フォーカスしている「ヒット」のところで相手を崩せたので良かったかなと思います。

ーーラインアウトについてはいかがですか
 今回の試合はラインアウトのミスが少し多かったです。コミュニケーションのミスで失敗していた部分があるので、自分たちのやりたいことにしっかりフォーカスして次は準備したいなと思います。

ーーFWのディフェンスは良い部分が目立っていたと思うのですが、振り返っていかがですか
 一人一人が戦えていたのは良かったと思うのですが、相手をもっと押し倒そうという意識が前半は少し足りなかったなと思うので、そこをもう少し意識したいです。

ーーチーム全体として意識していたことは何かありますか
 チームとしても一対一のところでそれぞれが負けないということを意識していました。

ーーその出来具合はいかがですか
 全体的に良かったと思います。

ーー最後に今後の意気込みをお願いします
 次の試合の帝京大さんはやっぱりFWで勝負してくると思うので、そこで自分たちのやりたい形をやり切れるか、きつい時にどれぐらいFWが戦えるかというところを意識したいなと思います。


CTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)
ーー今日の個人のコンセプトを教えてください
 相手は筑波大に勝って勢いのあるチームでしたが、自分たちのラグビーをしようという中で、僕自身はやっぱりゲインラインのところで前で勝負するというのがコンセプトかなと思います。

ーーBKのアタックのテーマは何かありましたか
 スペースに対してアタックするということで、一人一人がスペースを見て共有しながらアタックするということを意識していました。

ーー青学大のディフェンスのプレッシャーがかなり強かったと思うのですが、その点はいかがでしたか
 一人一人のプレッシャーが強い中でも自分たちのアタックをするということを試合前から話していたので、あまり完璧ではなかったですが、少しはできたのではないかなと思います。

ーー野中選手がディフェンスに近いところでプレーするイメージがありましたが、何か意識されていましたか
 ディフェンスラインに近いところで僕が先頭に立って前に行くことが早稲田のアタックでは重要なのかなと思います。

ーー今シーズン個人的に取り組んでいることは何かありますか
 前を見て的確に状況判断をすることです。その時その時の適切なプレーをするということもそうですし、ディフェンスで前に出るプレッシャーも自分のテーマなのかなと思います。

FL城央祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)
ーー赤黒復帰戦、そして対抗戦デビューということで何か意気込みはありましたか
 対抗戦デビュー戦で仕事はできたと思うのですが、途中で足がつってしまうなどFLとしての仕事を最後まで完成することはできなかったので、次戦3週間後の帝京大戦に向けてしっかり準備したいと思います。

ーープレー面での個人のテーマを教えてください
 FLとしての仕事量と強いプレー、そしてセットプレーの安定をテーマにしていました。

ーー今お話にもありましたが、今日のセットプレーを振り返っていかがですか
 相手が動いてくる中、空いているところにラインアウトしようという時に今日は自分たちの中で少し慌ててしまったので、しっかり冷静にどこが空いているのかを見ながらラインアウトできたらなと思います。

ーーラインアウトの部分では、コミュニケーションのエラーなどがあったのですか
 相手のディフェンスが特殊で、それに合わせて自分たちのアタックをやろうとしたのですが、スローワーとのコミュニケーションミスもありましたし、ジャンパーとリフターの間でもミスがありました。コミュニケーションミスが一番もったいないので、きちんとミスを明確にしてなくしていきたいと思います。

ーーチーム全体の試合を振り返っていかがですか
 今日はキックゲームでかなり勝つことができたのでBKに助けられたシーンも多かったですし、反対にFWもスクラムで勝つことができたのでお互いに良い仕事ができたのかなと思います。

ーーFWのディフェンスについてはいかがですか
 フィールドでのディフェンスはそこまで抜かれなかったのですが、ピックボールで相手に負けてしまったり、2人目のファイトやブレイクダウンをかけるところのジャッジだったりというのをもう少ししていきたいと思います。

ーー最後に今後の意気込みをお願いします
 今回がデビュー戦になったのですが、これから終盤に向けて相手もどんどん強くなっていくので、それに向けて自分もチームも強くなっていけるように頑張りたいと思います。



WTB清透馬(商4=茨城・茗溪学園)
ーー今日の個人のテーマを教えてください
 今日は1対1で絶対負けないということを意識して臨みました。

ーー今日の試合は赤黒復帰戦、そして対抗戦デビューだったと思うのですが、何か特別な思いはありましたか
 自分自身ずっと目指してきたジャージを久しぶりに着ることができて、なおかつ初の対抗戦だったので少し緊張したのですが、すごく楽しみながらできました。

ーーご自身のトライを振り返っていかがですか
 ケガ前はトライを取れていたのですが、復帰してからはなかなか取ることができなかったので純粋に嬉しかったです。

ーー最後に今後の意気込みをお願いします
 もちろんここがゴールではないですし、この後も大会はまだまだ続くので、最後の『荒ぶる』まで全力で隙なく努力したいと思います。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント