「戦国」と呼ばれる東都大学は下剋上リーグ 今秋リーグ戦で青学大の4連覇を阻むとしたら…

上原伸一

春に「あと1勝」で優勝を逃した中大はエース確立がカギ

4季連続優勝を目指す青学大は、大学球界を代表するスラッガー西川が打線を引っ張る 【写真は共同】

 さて、この秋の「戦国東都」はどんな展開になるのか?

 今春、リーグ3連覇と大学選手権連覇を果たしたのが青学大だ。秋は4連覇とともに、昨年はあと1勝で逃した年間4冠(春、秋のリーグ優勝と、大学選手権、明治神宮大会の優勝)を狙っている。

 注目は大学ジャパンでも中軸を務めた西川史礁(4年/龍谷大平安)だ。プロ注目の右の強打者は春、2度目の最高殊勲選手に輝く働きでチームを引っ張った。春のチーム防御率が1.01と投手陣も安定しており、春4勝の左腕・児玉悠紀(4年/日大三)が先頭に立つ。

 春2位の中大は「あと1勝」及ばず、2019年秋以来となる優勝を逃した。打線は大学日本代表で、日大の谷端将伍(3年/星稜)と同率で春の首位打者になった繁永晟(3年/大阪桐蔭)や、昨秋の首位打者でドラフト候補の主将・櫻井亨佑(4年/習志野)らタレントが揃う。

 秋のポイントは、春は4カードで落とした1回戦に勝つこと。そのためにも1回戦に先発するエースを確立させたい。

 春に勝ち点2ながら3位につけたのが、新指揮官・正村公弘監督の下で戦った亜大。前年のエース・草加勝(中日)が抜けたなか、齊藤汰直(3年/武庫荘総合)が先発の柱となって4勝を挙げた。打線では4番の西川凱斗(4年/育英)がリーグ2位タイの8打点をマーク。投打に柱がいることを秋も強みとする。

31年ぶりに1部復帰の東農大は打線が強み

春は4位だったとはいえ、日大にも優勝のチャンスがあるだろう。左腕の山内は安定感十分で、エース市川とともに投手陣を支える 【YOJI-GEN】

 春4位だった日大も投打の軸が明確だ。エースで大学日本代表の市川祐(3年/関東第一)は昨年春、秋に続き今春も4勝。4年生左腕の山内翔太(習志野)はリリーフエースとしてよく投げ、リーグ2位の防御率を記録した。野手では首位打者になった谷端がホームラン数もリーグトップだった(4本)。

 昨年は2季連続で2位。春の結果も糧にしつつ、2016年秋以来の優勝を目指す。

 国学院大は春、残り3試合の時点で1勝8敗。入れ替え戦が迫っていたが、「奇跡の3連勝」で勝ち点1と3つの白星を奪取して5位に踏みとどまった。

 投手では最優秀防御率に輝いた左の飯田真渚斗(3年/明秀日立)と、ドラフト候補右腕の坂口翔颯(4年/報徳学園)が、攻撃陣では春の打率がリーグ5位だった主将・土山翔生(4年/岡山理大付)と大学ジャパンの柳館憲吾(4年/日大三)が中心になる。

 東農大は駒大との春の入れ替え戦を制し、1993年秋以来となる1部昇格を決めた。昨秋に3部で優勝すると、入れ替え戦にも勝って1季で2部に返り咲き。今春は2部1季目で31年ぶりとなる1部への切符を勝ち取った。

 北口正光監督はPL学園出身。KKコンビ(桑田真澄、清原和博)の1学年先輩だった。入れ替え戦の2回戦で16安打6得点、3回戦では18安打12得点と爆発した打線を武器に、1部昇格即優勝を狙う。

 青学大の4連覇と年間4冠はなるか、1部・2部の入れ替え戦はどんな組み合わせになるのか。この秋も「戦国東都」から目が離せない。

<企画・編集/YOJI-GEN>

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。外資系スポーツメーカーなどを経て、2001年からフリーランスのライターになる。野球では、アマチュア野球のカテゴリーを幅広く取材。現在はベースボール・マガジン社の『週刊ベースボール』、『大学野球』、『高校野球マガジン』などの専門誌の他、Webメディアでは朝日新聞『4years.』、『NumberWeb』、『ヤフーニュース個人』などに寄稿している。

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