“特別な舞台”に立った小田凱人 手の内を隠した初戦とパラリンピックの「その先」への思い

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同日のダブルスでは中国ペアに勝利し8強入り

ストレート勝ちを収めた小田/三木ペア。悲願の世界一に向け好発進を切った 【写真は共同】

 小田、三木共にシングルスの試合を戦った後に行われたダブルス2回戦では、中国ペアと対戦。第1セットは両ペアともに流れをつかめず、ゲームカウント1-1で迎えた第3ゲームから第6ゲームまでお互いにブレークを繰り返す展開。小田も「(2人の)回りがあんまり良くなった」と振り返るように、序盤は互いにかみ合わない場面が目立った。

 それでも試合が進むにつれて「どんどん良くなった」(小田)、「よどみなくプレーできるようになってきた」(三木)と話すように、スムーズな連携が見られる場面が増えた。ゲームカウント4-4で迎えた第9ゲームをブレークすると、そのまま第10ゲームをキープして6-4で第1セットを先取した。

 第2セットもつかんだペースを離さなかった。第1ゲームからいきなりブレークを奪うと、そのまま相手ペアを寄せ付けず、ゲームカウント6-0で勝利。ベスト8進出を果たした。

 これまでは「どう(2人が)動くかを、今までしっかりオンコートだけではなく、オフコートでも、コーチ交えて話をする機会があまりなかった」と三木は話したが、直前の強化合宿では、オフコートでの連携強化にも取り組んできたという。

 ペアを組む小田について「彼に刺激を受けて、自分のテニスも良くなっている」と三木は自身への影響を語る。3日の準々決勝は韓国ペアと対戦。「お互い高め合って、最後も勝ち切って終われたら」と意気込んだ。

競技の認知度向上への思い

 大会前、小田は「メダルというよりも、自分らしくあることを表現したい。メダルの先に目標があると思っているので、まずは自分らしくあることが一番大事で、それができれば試合にも勝てると思っている」と話していた。

 この日の試合後にも、パラリンピックを取り巻く現状を「変えに来た」、「(大会後も継続的に)車いすテニスが(人々の)目に付くようなきっかけになってほしい」と、メダル獲得の先にある競技の認知度向上への思いや、その役割を担う自負を口にした。

「パラリンピック終わったら新しい扉が開く感覚。そこから先は全く別世界だと思っていて、それくらい僕の人生の中のいろいろなことが詰まった舞台になるのかな」と大会への期待を語っていた小田。今日のシングルス勝利後も、いつものようにラケットを持ち直して“エアギター”を演奏した。

 パリパラリンピックという特別な舞台で小田凱人が“エンディングテーマ”をかき鳴らす姿を見ることができるのだろうか。

(取材・文:山田遼/スポーツナビ)

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