シダマツペア独占インタビュー バドミントン銅メダリストが明かす「連携」の秘密

大島和人

プレーで引っ張るのは松山選手?

松山奈未選手は福岡県出身の26歳 【撮影:大島和人】

――ダブルスは「連携」「お互いの特徴の組み合わせ」が大切です。その部分について、お2人から説明をお願いできますか?

志田 私も松山も、スピードのあるタイプだと思っています。松山は本当に前衛の「捌(さば)き」が良くて、読みも抜けている印象があります。そこを起点としつつ、私はタッチの速さより動きに自信があって、抜けた球をカバーして後ろから打って、松山に決めてもらうーー。そういうお互いの役割がしっかりしています。お互いに似たようで、似ていないような、そんな感じで、お互いに補い合えています。

松山 ローテーションはお互いのスピード、リズムが合っていないと難しいものなのかな……と思います。自分たちはどちらも速さが長所です。そういうところでローテーション、コンビネーションがよく見えるのかなと思います。

――ジュニア時代にペアを組んでからもう十年以上が経っているとお聞きしていますが、「お互いが何をやりたいか」は言葉が無くても分かる関係ですね。

志田 話さないと分からない部分もあるので、そこはちゃんと伝えていこうとお互い意識しています。でも大体「今はこうだろう」と分かった中で、言葉もかけているのかなと思います。

――2人の関係性でいうと、引っ張るのは1歳上の志田さんですか?

志田 私は自分から何か気になることがあったら話すし「先に先に」という印象があるかなと思うんですけど、松山はゲームメイクが上手ですし、感覚がいいので、プレーの中では松山が引っ張ってくれています。

松山 「引っ張ろうとしている」というよりも、自分は点数を取りにいくプレーをするので、そこで引っ張っていけたらいいなと思いながらやっています。なので「自分が引っ張れている」とはあまり思っていません(笑)

コートを離れた二人は

2人は最高の笑顔でパリ五輪を終えた 【写真は共同】

――志田さんは秋田、松山さんは福岡のご出身です。まったく違う土地で育った2人ですが、コートを離れても関係が良さそうな雰囲気を感じます。競技を離れたときはどんな関係ですか?

志田 もうずっと一緒にいるので、喋るときはいっぱい喋るし、お互いに動画を見たりもします。緩くというか、けっこうフリーな感じですね。

松山 本当にずっと一緒なんですけど、もうお互いに一緒にいるのが当たり前で、特に何か言わずとも分かっているような関係です。

志田 もちろん最低限の気遣いは大事にしようと思っていますけど、でも一緒にいて「無言で気まずいな」みたいなことはないです。ずっと同部屋なので、試合に負けると悔しかったり、涙が出たり、落ち込んだりもします。だけど、それを持ち込んでしまうと、ストレスが増えてしまいます。私たちは共同生活が長くて本当に夫婦みたいなものなので、思うことがあるならしっかり話して、いい方向に持っていけたらなと思います。仲が悪くなったらいいことはないのかなって。

――お笑いとかの二人組でも「仲が悪くなりたくないのに、仲が悪くなってしまう」ケースがありますけど、それは大丈夫そうですね。

志田 はい。大丈夫ですし、そういう部分で本当に恵まれていたかなと思います。

2人が語るバドミントンの魅力

――今大会でバドミントンを取材していたら膝や足首にテーピングをしている選手が目立ちました。全身を激しく使う動き、細かいステップが多くて、想像以上にハードな競技だなとも強く感じました。普段はどのような練習をしているんですか?

志田 バドミントンは瞬発力も使いますし、パワー系も使いますし「全部使う」競技です。だからウェイトトレーニングはしっかり重さを持ってやりますし、ステップ系のトレーニングもやります。ウェイト、体幹、ステップ、あとダッシュトレーニングとか、走りもけっこうやったりして。まんべんなくトレーニングをしますね。

――単純すぎる質問ですけど、普段は1日何時間くらい練習をするのですか?

松山 1日大体6時間ぐらいです。週に2回くらいはウェイトトレーニングをやって、ただ羽根打ちがやはりメインです。

――お2人の活躍でバドミントンに興味を持った方はきっといたと思いますが、競技の魅力についてメッセージをお願いできますか?

志田 バドミントンは本当にスピード感があって、コートに入っている人が一生懸命シャトルを追う姿を見ると、私は同じ競技ながらも、そこにすごくパワーをもらったりします。飛び込んで取ったりしているのを見ると、すごく楽しく感じます。そういう魅力が伝わったら嬉しいです。

松山 オリンピックはたくさんの人が見ていただいたと思います。バドミントンを今している子たちもそうですけど、このオリンピックを見て「バドミントン、面白そうだな。やってみたいな」と思ってもらえたら、自分はそれだけで嬉しいです。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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