女子バレー日本代表、予選リーグの分岐点 元キャプテン荒木絵里香が悔やむ「あと1点」
オリンピックでしか得られない経験
一方で、ポーランド戦のように勝負所で1点が獲りきれない。そしてブラジル戦のようにオリンピックという舞台でしか感じられない強豪チームの気迫、執念、熱量。他の国際大会とはギアの入れ方が違う、本気度が違うというのも実感したのではないでしょうか。ほかならぬ私自身も、初めてオリンピックに出場した時にまさに痛感させられました。
今大会は初めてオリンピックに出場した選手も多く、それぞれがそれぞれの形で課題を突きつけられ、さまざまなことを感じるこれ以上ない機会、経験になったはずです。
今は私自身も「どうやったら勝てたんだろう」「どうしたら勝てるんだろう」ということを考えるばかり、まだ頭の中が整理できていないのですが、オリンピックを経験した選手たちには、そこでしか得られなかった経験があります。
石川真佑選手や林琴奈選手、これからのチームで中心になっていくであろう選手からつながっていくものがあり、さらに次の世代を担う高校生や大学生、若い選手たちもいる。今回は目指した結果を得られないかもしれないけれど、バレーボールの面白さや魅力は変わらずにあるし、日本代表チームが勝つことによって伝えられることもある。国内に目を向けてもSVリーグが始まる今は、バレーボール界にとっても変革期です。
変化する時は大きく進めるチャンスでもあるとポジティブに捉えて進んでいくしかない。日本代表の強化という面でも、4年後に必ず結果を出そうと急ぐのではなく、東京オリンピックからパリまで継続して強化してきた男子のように、8年プランでの強化を考えて取り組んでいくのも1つの策なのではないでしょうか。
そして、もしアメリカの結果次第で日本が準々決勝へ進むことがあっても、道が途絶えたとしても、今大会限りでの引退を表明して臨んだ古賀選手にとっては、最後の大会、最後のオリンピックです。
私も日本代表で紗理那と一緒にバレーボールをするなかで見てきた姿、彼女自身のプレーはもちろんですが、キャプテンになってからの変化や進化。キャプテンシーはもちろん、チームの中で指示を出したり、自分自身で決めたことに取り組む姿勢。世界のトップレベルの選手になっていく過程に、少しでも携わって同じ時代、同じチームでできたことは大きな学びで、光栄なことでした。
できることなら彼女が望む形で終わってほしい。今もそう願っていますが、どんな結果であれ、やり遂げたことに素直に拍手を送りたい気持ちと、女性アスリートにも今はいろいろなキャリアの選択肢がある。私はこれからもしつこく「バレーボールはここからが面白くなるんだよ」と彼女に言い続けたいし、まだ彼女のプレーする姿が見たい。キャプテンとして本当によく頑張ってきた姿を見させてもらってきたからこそ、密かに。私の中ではこれからも願い続けようと思います。
(企画・編集/YOJI-GEN)