ファーム成績から見るセ・リーグ「有望株」 下位指名&育成から目立つ好成績、苦戦のドラ1選手も
2年目の浅野は打撃不振に苦しむ
リリーフ投手では、今年20歳を迎えた京本眞に注目だ。昨季は主に先発として起用されていたが、今季はショートイニングで投げていることもあり、平均球速が前年から約3キロ向上している。5月1日には一軍デビューを果たすなど順調な成長曲線を描いており、今後の飛躍が期待される1人だ。
最後に、育成選手から戸田懐生を取り上げたい。身長170センチと小柄ながら真上から投げ下ろすストレートとフォークのコンビネーションが特徴で、ここまで防御率1.27と好成績を収めている。2022年以来となる支配下復帰へ向け、このまま好投を続けていきたいところだ。
次に3年目を迎えた岡田悠希の成績を確認したい。昨季は12本塁打を放った長打力を強みとしていたが、今季はここまで2本塁打と持ち味を出し切れていない。過去のシーズンと比べて今季はスイング率が低下しており、ボールを見ていくスタイルに変わりつつある。結果として四球の割合は上昇しているが、長所だった長打力が失われてしまっている。
最後に、2年目を迎える浅野翔吾を取り上げよう。昨季は高卒新人としてOPS.740と非常に優秀な成績を収めたが、今季は打撃不振に苦しんでいる。今季の浅野は昨季から大幅にフライ割合が上昇している点や、ボールゾーンスイング率の悪化が特徴的だ。これらのデータからは昨季より強振を意識している様子が見てとれるが、昨季は打率.277、6本塁打を記録したストレートに対し、今季は打率.159、1本塁打と低迷するなど課題が浮き彫りになっている。
今永をほうふつとさせる高卒2年目左腕
そして、ドラフト5位入団の石田裕太郎はここまで8先発で防御率2.03と好成績を残している。両コーナーを突くコントロールが武器の右腕で、6月9日には先発として一軍デビュー。強力なソフトバンク打線を5回1失点に抑え、プロ初勝利をつかんでいる。
このほか、高卒2年目左腕の森下瑠大が主に先発として起用され、防御率1.86をマーク。昨季までチームに在籍した今永昇太(現カブス)をほうふつとさせる投球フォームをしているが、今永が高めに伸びるストレートを武器としているのに対し、森下のストレートはゴロ割合が61.3%と非常に高いのが特徴だ。これはイースタン・リーグで投球回20以上を記録している投手の中で2番目に高い数値であり、独特の球質であることが分かる。今後は平均球速が上がってくると、左の先発投手として一軍での活躍も望めるかもしれない。
最後に、2021年のドラフト1位である小園健太の成績を見ていく。与四球率0.90と優れた制球力を武器としている一方、奪三振率はリーグ平均を下回っており、決め球に課題を抱えている様子がうかがえる。一軍でのデビュー戦となった4月10日の中日戦では3回途中で7安打を浴びており、今後は持ち球の精度向上が求められている。
ドラフト4位入団の石上泰輝も度会同様、新人ながら開幕戦でスタメンに抜てきされた選手の1人だ。5月9日に登録抹消されて以降は二軍でプレーしており、打撃成績はいずれの項目もリーグ平均を上回っている。一軍ではショートの守備で苦戦する場面も見られたが、二軍の守備得点はリーグ平均レベルを記録しており、有望株であることは間違いないだろう。
そして、ドラフト6位入団の井上絢登も巧打と長打力を持ち合わせた打撃成績をマーク。8盗塁を記録するなど身体能力の高さを見せているほか、守備では三塁を中心に一塁や外野を守っており、器用な一面も見せている。一軍では宮﨑敏郎が左太ももの肉離れで離脱したことにより出場機会を得ており、首脳陣へのアピールを続けている。
最後に、2年目を迎えた松尾汐恩の現在地を確認したい。昨季の時点で非凡な打撃センスを見せていたが、今季はイースタン・リーグの首位打者に立っている。さらに、三振割合を抑えた上で高い四球割合を記録しており、その打撃技術にはさらなる磨きがかかっているようだ。一軍では山本祐大が捕手としてリーグ屈指の打撃成績を残しており、DeNAのキャッチャー陣は非常に層が厚くなっているといえる。