ファーム成績から見るセ・リーグ「有望株」 下位指名&育成から目立つ好成績、苦戦のドラ1選手も
ドラ1常廣はプロの壁にぶつかる
【画像提供:データスタジアム株式会社】
一方、同じルーキーで存在感を示しているのが育成ドラフト1位入団の杉田健だ。188センチの長身からキレのあるボールを投じる投球スタイルで、ここまで被打率.198を記録。今後は課題の落ちる変化球を操れるようになると、奪三振能力の向上や、目標とする支配下昇格も見えてくるだろう。
リリーフ投手では、2年目左腕の長谷部銀次が13試合に登板して防御率0.00をマークしている。昨季は左打者に対して被打率.303だったが、今季は.056に封じており、今後は左キラーとして一軍デビューの登板機会が訪れるかもしれない。
長谷部と同じく2年目の河野佳も、ここまで8試合に登板して無失点を記録している。河野は5月下旬から一軍でも好投を続けており、ここまで計7イニングを投げて与四球はわずか1個。武器である制球力を一軍の舞台でも発揮しており、後半戦でさらなる活躍が期待されるところだ。
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このほか、二軍で最もマスクをかぶっている持丸泰輝が打率.346とハイアベレージをマークしている。昨季は打率1割台と打撃が課題であったが、今季は三振割合が大幅に改善するなど目覚ましい成長ぶりを示している。年齢も今年23歳とまだまだ若く、将来的なレギュラー候補として飛躍が期待されるところだ。
最後に、3月の欧州代表との侍ジャパンシリーズにも選出された田村俊介に注目したい。今季は開幕スタメンに名を連ねるなど大きな期待を受けるも、一軍では結果を残せず5月8日に登録を抹消。二軍でも打撃不振に苦しんでおり、今後の成長が待たれるところだ。
阪神には有望な若手野手がそろう
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ルーキーでは、ドラフト5位入団の石黒佑弥がまずまずの成績を収めている。キレのあるカットボールとフォークを武器とする右腕は、リーグトップタイとなる23試合に登板しており、防御率2.66と安定した投球を続けている。
最後に、今季から育成選手として入団したマルティネスを取り上げたい。マルティネスはストレートのスピードがありながらも、スライダーやカーブといった変化球を得意としており、与四球の少なさが強みとなっている。6月7日のソフトバンク戦では先発として5回1失点の投球を見せるなど、徐々に球数を増やす起用法となっている。今後も先発投手として起用されていくのか注目したいところだ。
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ここからの3名は、一軍でのデビューが期待される若虎だ。2年目の野口恭佑は、バットコントロールに優れる右打者で打率.293をマークしている。一方で、主に守るレフトの守備得点でリーグ平均を大きく下回っている。今後も守備力に課題を抱えるようであれば、それを帳消しにするだけの長打力が求められるところだろう。
次に、高卒2年目の井坪陽生が打率.307と好成績を記録している。先に紹介した野口とは同期入団で、右打ちの外野手と共通する部分も多いが、井坪は高卒入団で現在19歳。さらに、センターとしてリーグ平均を上回る守備得点を記録しているほか、8盗塁を記録するなど走攻守3拍子そろったレギュラー候補として有望視される。
最後に、少ない出番ながら結果を残しているのが捕手の中川勇斗だ。身長172センチ体重75キロと小柄な体格ではあるが、長打を量産してOPS.877をマーク。過去2シーズンも捕手としては突出した打撃成績を残しており、一軍デビューが待たれる存在だ。一軍では大山悠輔や佐藤輝明の打撃不振が目立っているが、捕手陣もOPS.410と致命的な弱点となっている。二軍でトップレベルの成績を残している中川が、今後リーグ連覇を後押しするキーマンとなるかもしれない。