パラ陸上・唐澤剣也が得た「ガイドランナーの経験値」 自身の世界記録を更新されるも、銅メダル獲得
予選敗退も「積極的」に
※ロシアとベラルーシの中立な立場の個人資格の選手
予選敗退となったレースを「前半突っ込んでしまったこともあり、足が最後まで残っていなく、最後の切り返しも今一つだった」と振り返りつつも、5000mでの反省点であった積極性については「(前半のハイペースにも)気持ちを引かず、果敢に前を追っていけたのはよかった点」と評価した。
世界選手権を終えて「悔しさが残った大会だった」と話した唐澤だが、同時に「この悔しさが、自分にとって成長につながる一つだと思っているので、神戸大会を経験できてよかった」とパラリンピックへ前を向いた。
「5000mはメイン種目なので、今回更新された世界記録を奪い返し、さらに金メダルを獲得できるようにリベンジしたい。1500mもメダル獲得を目標にして、海外選手のスピードに対応できるように、トレーニングを積んでいきたい」
決意を新たにした唐澤。残り100日を切ったパラリンピックに向けて、“悔しさ”をバネにした巻き返しが始まる。
2度の延期を経た開催の価値
エントリーした日本代表選手は66名。競技後の選手に話を聞いていると「観客がすごい力となった」や「背中を押してくれていた」「日本でたくさんの声援が聞こえたのは嬉しかった」といった観客、初の日本開催へ思いを強く感じた。
大会組織委員会は『つなげる』『ひろげる』『すすめる』という3つの理念を掲げ、パラスポーツへの関心向上やインクルーシブな社会の実現を目指している。競技運営だけでなく、期間中に延べ約3万人の児童生徒たちを招待する学校観戦会や、体験イベントなどを通じて、もっと身近にパラスポーツを感じてもらうための取り組みを続けてきた。
中盤に差し掛る世界選手権。9日間の大会を終えたあと、どのようなレガシーを残すのだろうか。
(文:山田遼/スポーツナビ)