パラ陸上・唐澤剣也が得た「ガイドランナーの経験値」 自身の世界記録を更新されるも、銅メダル獲得

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予選敗退も「積極的」に

 3日目の1500m予選は、5000mで消極的な走りをしてしまった反省から「積極的なレースをしようという意識で臨んだ」。序盤は先頭を走るドスサントスの早いペースに合わせて2位をキープ。しかし900m付近で3番手につけていたジミー・カイセド(エクアドル)が唐澤の前に立った。終盤に抜き返そうとするも及ばず、最後の直線では猛スパートをかけたフェドル・ルダコフ(NPA※)にも抜かれて予選4位という結果に終わった。
※ロシアとベラルーシの中立な立場の個人資格の選手

 予選敗退となったレースを「前半突っ込んでしまったこともあり、足が最後まで残っていなく、最後の切り返しも今一つだった」と振り返りつつも、5000mでの反省点であった積極性については「(前半のハイペースにも)気持ちを引かず、果敢に前を追っていけたのはよかった点」と評価した。

 世界選手権を終えて「悔しさが残った大会だった」と話した唐澤だが、同時に「この悔しさが、自分にとって成長につながる一つだと思っているので、神戸大会を経験できてよかった」とパラリンピックへ前を向いた。

「5000mはメイン種目なので、今回更新された世界記録を奪い返し、さらに金メダルを獲得できるようにリベンジしたい。1500mもメダル獲得を目標にして、海外選手のスピードに対応できるように、トレーニングを積んでいきたい」

 決意を新たにした唐澤。残り100日を切ったパラリンピックに向けて、“悔しさ”をバネにした巻き返しが始まる。

2度の延期を経た開催の価値

 最後に大会について述べておくと、今回の神戸での世界選手権は当初2021年に開催される予定だった。しかし新型コロナウイルスの流行で2度延期し、そこから3年後の2024年に開催される運びとなった。東京パラリンピックでは実現できなかった“有観客”での大会は初日から1万4千人以上の観客が来場し、声援や拍手が会場に響いた。中でも学校観戦会として招待された児童生徒たちの応援の声が強く印象に残っている。

 エントリーした日本代表選手は66名。競技後の選手に話を聞いていると「観客がすごい力となった」や「背中を押してくれていた」「日本でたくさんの声援が聞こえたのは嬉しかった」といった観客、初の日本開催へ思いを強く感じた。

 大会組織委員会は『つなげる』『ひろげる』『すすめる』という3つの理念を掲げ、パラスポーツへの関心向上やインクルーシブな社会の実現を目指している。競技運営だけでなく、期間中に延べ約3万人の児童生徒たちを招待する学校観戦会や、体験イベントなどを通じて、もっと身近にパラスポーツを感じてもらうための取り組みを続けてきた。

 中盤に差し掛る世界選手権。9日間の大会を終えたあと、どのようなレガシーを残すのだろうか。

(文:山田遼/スポーツナビ)

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