キルステン・ワトソンさんにインタビュー

「彼の笑顔は周りを明るくする力がある」 ドジャースのレポーター・ワトソンさんが間近で見た大谷翔平の印象は?

丹羽政善

レポーターが間近で見た大谷の姿

 さて、ワトソンさんは、キャンプの初日から大谷を取材してきた。もちろん、韓国での開幕シリーズにも帯同している。大谷を間近で見てきて3ヶ月近くになるが、どんなことが印象に残っているのか。

「彼は一度チームメートらと仲良くなると、すごい砕けた表情を見せるんです。同時に集中力の高さにも驚かされます。彼が成功しているのは才能だけでなく、練習量もすごいものがあります」

 ワトソンさんは、球団付きのレポーターでもあるため、通常のメディアが立ち入れないような場所にも出入りできる。そこで見てきた大谷は、「リラックスしているときはまるで子供のようで、人懐っこい笑みを見せています」とのこと。「周りまで和やかになるし、さらに彼からエネルギーをもらえるようです。性格は穏やかだし、取材していて楽しいですね」。

 そんなプライベートな時間では、大谷のパーソナリティも垣間見える。

「気難しいところがまるでなくて、優しさも感じるし、彼の笑顔は周りを明るくする力があって、野球を大切にしていて、周りにいる人や犬も含めた家族も大切にしていて、さらには自分らしくいることを大切にしていて、それは素晴らしいことです」

 ちなみにワトソンさんは、ダグアウト横のカメラ席で試合を見ている。それも彼女ならではの特権だが、「誰かがホームランを打つと目の前でひまわりの種のセレブレーションが見られます」と笑顔を見せた。

「ダグアウト内でハイタッチをしている様子なんかも見られます。彼らはまた勝つためにいろんな情報交換をダグアウト内でしていて、そんな選手同士が協力している様子も目の当たりにできます」

 テレビにもときどきそうしたシーンは映るものの、選手らの会話も聞こえてくる近さにいる彼女にしか、見えないものもあるようだ。

 さて、最後に。ワトソンさんは大谷の囲み取材で、常に最初に質問をする。それは監督や、他の選手でもそうだが、そういうときはいつも「ナーバスになる」そうだ。

「何を聞いたら分からないという意味ではなく、リポーターとしてベストな仕事をしたいから、的はずれな質問をしていないか、ちゃんと相手の話を聞いているか、いい仕事をしようとすれば緊張します。いい質問をしたい。そうするとナーバスになりますよね」

 選手や監督、コーチから信用されるため野球も学び、日頃からエピソードを集め、質問に反映させる。すべては、いかに彼らから言葉を引き出すかであり、質問の裏には様々な思いが込められている。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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