メッツ左腕が語る今季の大谷攻略の軸は「インハイ」 配球から見える高打率の理由とは
今季の大谷が振らないコースとは?
マネイア対大谷、五回の3打席目 【参照:Baseball Savant】
② スイーパー/ボール/80.7マイル
③ チェンジアップ/ファール/86.6マイル
④ スイーパー/ファール/80.2マイル
⑤ チェンジアップ/ボール/87.5マイル
⑥ スイーパー/右前適時打/78.6マイル
これを見ると、1球もインハイがない。ちなみに2打席目もゼロ。スイーパー、シンカー、4シームを投げているが、すべて外角である。1打席目も、すっぽ抜けのスライダーが1球だけ大谷の胸元にいったが、インハイはゼロ。この理由を問うと、マネイアは苦笑しながら言った。
「正直にいえば、左打者の内角高めに投げるのが怖い。自分の真っすぐは抜けることが多いから、当ててしまうんじゃないかと思ってしまうから」
ということは、大谷には投げにくかった?
「投げにくいよ。左打者の内角高めに投げられないということは多分、大谷も知っている。しっかり踏み込んでくる。五回の打席では、初球のスイーパーが真ん中に入った。ヒヤッとしたよ」
その五回の打席では、その後も変化球を続けた。
「4球目、外角低めにいいスイーパーがいった。でもあれをファールされた。引っ掛けてくれたら最高だったんだけど。最後の球は高めに浮いた分、角度をつけやすかったんだと思う」
その4球目の外角低めのスイーパーだが、決して悪いコースではない。2球目も決して悪くない。配球の組み立てとしては、彼がすでに口にしたように、予定通り。しかし、2球目を見逃され、4球目をファールされたことで、マネイアは苦しくなった。
おそらく、昨年までならどちらかで打ち取れていたのではないか。4球目で空振り三振を取れていたかもしれない。しかし今年、大谷はその外角低めのボールを、そもそも振らないのである。
まずは、今年のボール球を振ったコースを示すと、外角低めをほとんど振っていないことがわかる。
今年、大谷がボール球を振ったコース(4月21日試合終了時点) 【参照:Baseball Savant】
今年、左投手が大谷にボール球を投げたコース(図左)と、その球をスイングしたコース(いずれも4月21日試合終了時点) 【参照:Baseball Savant】
図左が、左投手が投じた全ボール球のコースだが、外角低めのボール球の多さは一目瞭然だ。その左投手のボール球をどれだけ振ったのかを見ると、やはり結構振っていることがわかる。
昨年、左投手が大谷にボール球を投げたコース(図左)と、その球をスイングしたコース 【参照:Baseball Savant】
外角低めのスライダーを振らせたい左投手。振らない大谷。ボールとなって苦しくなるのは相手。カウントを悪くして、ストライクゾーンへ。これを大谷が捉えれば、自然と打率が上がる。
マネイアとの3打席目——タイムリーを放った打席は、今季の大谷を象徴するような打席だった。