センバツLIVE! 全32校アンケート分析

近江 湖国から日本一へ虎視眈々 全国準Vのサッカー部を超えろ

毎日新聞

主戦右腕は準Vエースに匹敵  堅守も飛躍の原動力に

近畿大会で力投するエースの西山恒誠投手 【西村剛撮影】

 2年前、補欠校として急きょの参戦ながら、決勝まで勝ち上がる姿は鮮烈な印象を残した。新型コロナウイルスによる他校の出場辞退を受けてのことだったが、今回は自力で「近江ブルー」がセンバツの舞台に戻ってきた。

 エース右腕・西山投手が急成長した。近畿大会1回戦の興国(大阪)戦で公式戦初完投を完封で飾った。京都国際との準々決勝もサヨナラ負けこそしたが、最後まで投げ抜いた。

 最速143キロの直球と縦横2種類のスライダーをテンポ良く投げ込む。近畿大会で磨きのかかった制球力が武器だ。興国戦の球数はわずかに76球。凡打の山を築く姿に多賀監督の評価も高い。前回の躍進を支えたエースを引き合いにこう語る。「投手としての存在感は山田陽翔に匹敵する」 。

 2022年秋の県大会3回戦では自らの悪送球が敗因となり、センバツへの道が絶たれた。「好きではなかった」という練習への取り組みが変わった。地道な柔軟運動を続けたことで下半身が安定し、飛躍につながった。チームも堅守で支える。岡本一倖選手、山中悠斗選手の二遊間を中心に的確に打球をさばいた。

「昭和の野球」で滋賀初優勝を

選手たちに指導する多賀章仁監督(左) 【菊池真由撮影】

 迅速な練習の準備、グラウンド周りの整理整頓、グラウンド外での服装の着こなし――。プレー以外も含め、細部までおそろかにしない姿勢を多賀監督は「昭和の野球」と表現する。そうすることで練習の量を確保し、質も高める。その積み重ねが、公式戦の結果につながると考える。楽しむことを重視する、時代の流れに逆行するようにも映るが、多賀監督は「高校野球の原点」と信念は揺るぎない。

 課題は攻撃。1試合の平均得点は4.29。出場32校中最も少ない。好機に1本が出なかった。多賀監督は全国高校選手権で初の準優勝を飾ったサッカー部に触れ、「強い相手ほど立ち向かう姿勢があった」と話す。彼らを見習い、好機こそ積極的な打撃をするよう求める。

 21、22年の夏の甲子園でも4強入り。いまや全国屈指の強豪だ。選手たちの合言葉は「滋賀県初の甲子園優勝」。近畿で唯一、優勝のない湖国の歴史を変える意気込みだ。

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