近江 湖国から日本一へ虎視眈々 全国準Vのサッカー部を超えろ
主戦右腕は準Vエースに匹敵 堅守も飛躍の原動力に
近畿大会で力投するエースの西山恒誠投手 【西村剛撮影】
エース右腕・西山投手が急成長した。近畿大会1回戦の興国(大阪)戦で公式戦初完投を完封で飾った。京都国際との準々決勝もサヨナラ負けこそしたが、最後まで投げ抜いた。
最速143キロの直球と縦横2種類のスライダーをテンポ良く投げ込む。近畿大会で磨きのかかった制球力が武器だ。興国戦の球数はわずかに76球。凡打の山を築く姿に多賀監督の評価も高い。前回の躍進を支えたエースを引き合いにこう語る。「投手としての存在感は山田陽翔に匹敵する」 。
2022年秋の県大会3回戦では自らの悪送球が敗因となり、センバツへの道が絶たれた。「好きではなかった」という練習への取り組みが変わった。地道な柔軟運動を続けたことで下半身が安定し、飛躍につながった。チームも堅守で支える。岡本一倖選手、山中悠斗選手の二遊間を中心に的確に打球をさばいた。
「昭和の野球」で滋賀初優勝を
選手たちに指導する多賀章仁監督(左) 【菊池真由撮影】
課題は攻撃。1試合の平均得点は4.29。出場32校中最も少ない。好機に1本が出なかった。多賀監督は全国高校選手権で初の準優勝を飾ったサッカー部に触れ、「強い相手ほど立ち向かう姿勢があった」と話す。彼らを見習い、好機こそ積極的な打撃をするよう求める。
21、22年の夏の甲子園でも4強入り。いまや全国屈指の強豪だ。選手たちの合言葉は「滋賀県初の甲子園優勝」。近畿で唯一、優勝のない湖国の歴史を変える意気込みだ。