センバツLIVE! 全32校アンケート分析

「兄弟のように」仲がいい田辺の選手たち 夢は堅実? にじむ気迫

毎日新聞

21世紀枠でセンバツに出場する田辺の選手 【山崎一輝撮影】

 3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会には全国から32校が出場します。多彩な個性を持つチームに大会前、主催者はアンケートを実施しました。回答内容には、チームの魅力や今どきの球児事情が詰まっています。

「一人一人の意見尊重」心掛け

 和歌山の県立高で、創立から120年以上の歴史を持つ田辺。卒業生には1947年に第46代内閣総理大臣となった片山哲らがいる。21世紀枠で、76年ぶりとなるセンバツの出場権を手にしたが、今回の選考で評価された一つが対話力だ。チームの特色は「兄弟のよう仲がいいこと」という。

 主将へのアンケートで、山本結翔(ゆいと)主将は日ごろから心掛けていることについて「選手一人一人の意見を尊重してよく聞くこと。常に前向きでいること」を挙げた。チーム自慢は「仲の良さ」。主将として苦労したり、悩んだりしたことが「特にない」と答えるあたりがまとまりの良さを印象づける。田中格(かく)監督もそんな主将の姿を「チームメートからの信頼が厚い」と評す。

 田中監督も選手と密にコミュニケーションをとることを心掛ける。校内業務で教育相談を担った経験があり、カウンセラーから生徒たちとの接し方を学んだ。その経験を生かし、生徒の考えをいかに引き出せるかを考えるようになった。選手との面談ではプレーや技術のことだけではなく、進路や人間関係、家庭環境の相談などにも乗る。一人一人と精神的にきめ細かく寄り添う姿勢が信頼関係にもつながっている。

 先輩、後輩の垣根を越えた一体感が魅力の一方で、伝統的に言葉遣いや礼儀も重視している。山本主将も野球を通じ「礼儀やあいさつ、時間厳守など様々なマナーを学んだ」といい、メリハリの効いた関係性がうかがえる。

夢は教師と公務員で半数

大会前に主催者が田辺の選手18人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】

 多くの生徒が国公立大に進む進学校。文武両道で励む18人の選手にアンケートで将来の夢(複数回答あり)を聞くと、堅実なイメージが強い教師と公務員が半数を占めた。教師は山本主将ら5人で、公務員は前田海翔(かいと)選手ら4人。ほかに複数名の回答があったのは、スポーツ関係の仕事とエンジニアで、プロ志望は1人だった。

 選手たちは各種検定試験にも積極的に取り組んでおり、英検や漢検、数検の級位を特技の欄に記入した選手も7人いた。

 好きな言葉として、コツコツと努力することの大切さを説いたことわざを書いた選手も多い。大黒柱のエース・寺西邦右(ほうすけ)投手は「習慣は第二の天性なり」と記した。日々の習慣の重要性を説いた欧州の言葉だ。尾崎大晟(たいせい)選手と井谷歩夢(あゆむ)選手は「継続は力なり」と書いた。

「雨垂れ石をうがつ」と答えたチーム一の俊足・柳田尚生選手は、「ナノブロック」を趣味に挙げた。ミリ単位の突起を持つ小さなブロックを組み合わせて造形物を作成するもので、地道な作業が欠かせない。

 他には、「挑戦なくして成功なし」「弱気は最大の敵」「やるかやらないか」「勇猛果敢」など、奮起を促す言葉を書いた選手が多い。部員18人、野球専用グラウンドや室内練習場がない環境で、昨秋の和歌山県大会は智弁和歌山など強豪校を破った。地道な努力と気迫で快進撃を巻き起こした。

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