「兄弟のように」仲がいい田辺の選手たち 夢は堅実? にじむ気迫
昨秋は甲子園常連校を連破 勝利のカギ握る投打の軸
マウンド度胸が魅力の寺西投手 【橋本陵汰撮影】
準決勝で2失点完投したエース右腕の寺西投手は、1年夏の和歌山大会2回戦も智弁和歌山を相手に先発していた。「普段は物静かだが、マウンドに行くと闘志が出る」(田中監督)というハートの強さを買われての大抜てきに応え、2回無失点。リリーフ陣が打たれ八回コールド負けだったが、寺西投手はこの試合の経験が生き、昨秋の対戦も「抑える自信はあった」と言い切る。
「1年生の時は赤いユニホームを見るだけで気持ちが負けていた」と振り返る主将の山本選手も、昨秋の智弁和歌山戦は「あまり緊張しなかった」。落ち着いて自分たちの力を発揮し、勝利につなげた。52年ぶりに出場した近畿大会も、1回戦で京都国際に敗れこそしたが、延長十回タイブレークにもつれ込む接戦を演じた。
投打の軸が好成績の原動力となった。寺西投手は全7試合に登板し防御率1.63と大崩れしなかった。最速139キロの直球を軸に、スライダー、ツーシーム、スプリットを操る。大きくインステップして投げるため、ボールの出所が見えづらい。腰に負担はかかるが「よくストレッチしたり整体に行ったりする」とケアにも余念がない。「いざ登板したら無心の状態で投げられる」というマウンド度胸も魅力だ。
甲子園最後の勝利は76年前のセンバツ
打線の中心を担う山本陣世選手 【大西岳彦撮影】
甲子園は今大会で春夏通じて4回目だが、1948年センバツの1回戦を最後に白星がない。昨秋に見せた戦いのように、聖地でも落ち着いて力を発揮すれば、76年ぶりの勝利はおのずと近づいてくる。