JTの無敗Vか、NECの連覇か Vリーグ“最後の女王”に輝くのは? 2023-24 V1女子ファイナル見どころ

坂口功将

皇后杯準決勝でも対戦した両者。JTはリベンジなるか、それともNECが再び退けるか 【(C)JVA】

 昨年10月に開幕した2023-24 V.LEAGUE(以下Vリーグ)は早くも大詰めを迎え、DIVISION1 WOMEN(V1女子)は2月24日からV・レギュラーラウンド上位6チームによるV・ファイナルステージに突入。24日にクォーターファイナル、25日にセミファイナルが実施され、いよいよ今週末に決着の時を迎える。
 
 舞台は高崎アリーナ。3月2日には久光スプリングスとデンソーエアリービーズによる5位決定戦、埼玉上尾メディックスとトヨタ車体クインシーズによる3位決定戦が行われる。そして、翌3日は今季V・レギュラーラウンド無敗のJTマーヴェラスと今年度皇后杯女王のNECレッドロケッツによるファイナルが実施される。

攻守でハイレベルなJTは完全優勝に王手

安定感抜群のサーブレシーブと得点力を備える林琴奈(JT)はVリーグの舞台でもいぶし銀の活躍 【(C)JVL】

 2023-24シーズンは夏にパリ五輪が控えることを踏まえて、V1女子のV・レギュラーラウンドの試合数は例年よりも少なく設定された(Vリーグ閉幕ののち、V Cupが実施される)。それを考慮したとしても、全勝とは並大抵の強さではない。JTは22戦を無傷で戦い抜いた。

 今季の強さの要因は単純明快で、攻守で高いレベルにあること。V・レギュラーラウンドにおけるチーム全体の数字では、アタック決定率42.0%、サーブ効果率9.4%、サーブレシーブ成功率61.7%はいずれもリーグトップだ。

 まず攻撃面に関しては、オポジットでアメリカ代表のアンドレア・ドルーズが2シーズンぶりに復帰。チームにとっては2019-20シーズン優勝の立役者であり、その実力は知ったところ。もちろん今季も高いアタック力を武器に得点を量産し、埼玉上尾とのセミファイナルではチーム最多19得点をマークして勝利に貢献。さらには自身2度目となるサーブ賞(サーブ効果率13.8%)を受賞している。

 加えて得点源となっているのは、今季移籍加入したミドルブロッカーのアライジャダフニ・サンティアゴ。2018-19シーズンに埼玉上尾に入団して以降、日本でのプレーは6季を数える。新天地でもそのパフォーマンスを遺憾なく発揮し、今季はスパイク賞(アタック決定率55.0%)とブロック賞(セットあたりブロック決定本数0.87本)の個人二冠を獲得した。

 ドルーズとサンティアゴの外国籍選手の活躍が光る一方で、守備の面では日本人選手の存在も見逃せない。とりわけリーグトップのサーブレシーブ成功率を支えるのは、個人ランキング4位の林琴奈(68.3%)、同5位の目黒優佳(64.9%)、同8位の西崎愛菜(63.3%)たちである。

 V・レギュラーラウンドでは開幕から連勝街道を突き進んだが、年末の令和5年度皇后杯ファイナルラウンドでは準決勝敗退。「まだまだ対応力や修正する力が足りていない」と吉原知子監督は振り返り、林も「ドルーズが決定打を放ってくれますが、そうではないときに、周りの選手がいかに決められるかが試される」と敗因を分析していた。明確な課題と向き合い、克服し、そのうえで勝ち星を着実に積み重ね、今季のVリーグではついに無傷のままファイナルを迎える。

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著者プロフィール

ライター。大学時代に“取材して伝える”ことの虜になり、母校の体育会ラグビー部で専属記者兼カメラマンを務めたほか、「月刊バレーボール」(日本文化出版)を経て、2024年から独立。読者の心が動く原稿を書けるように現場を駆け回る。競技問わずスポーツ界のユニフォームに深い造詣を持ち、所持数はゆうに100枚を超えるコレクターでもある。

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