JTの無敗Vか、NECの連覇か Vリーグ“最後の女王”に輝くのは? 2023-24 V1女子ファイナル見どころ

坂口功将

古賀、山田、小島ら日本代表勢が安定感見せるNEC

女子日本代表キャプテンの古賀紗理那(NEC)は昨季そして皇后杯に続いてチームを頂点に導けるか 【(C)JVL】

 シーズン全勝、その完全優勝を目指すJTと対峙するNECは過去に、その偉業を達成したチーム。前身の第6回Vリーグ(1999/2000シーズン)は21勝無敗で頂点に立ち、これはVリーグ史上初の金字塔だった。

 そのNECにとってはリーグ連覇、そして皇后杯に続く国内タイトル獲得を目指すファイナルとなる。今季は、6年ぶりの優勝に沸いた昨季から上積みを施し、ダニエル・ドルーズやアチャラポーン・コンヨットら新外国籍選手が攻守双方で計算できる存在として勝利に貢献。何より、レギュラーを張ってきた面々が安定感を増し、総合力は昨季以上に高まった印象だ。

 V・レギュラーラウンドを振り返ると、攻撃、守備そしてリーダーシップでチームを牽引する古賀紗理那はドルーズ(352点)に続くチーム2番目の総得点(334得点)をマーク、リベロの小島満菜美はサーブレシーブ成功率73.4%でリーグ2番目の成績を残した。そしてリーグでも全12チーム中で唯一、ブロック決定本数が200本を超えた(214本)ことは特筆すべきで、中でも1セットあたりの個人ランキングではドルーズが0.67本でリーグ4位、山田二千華が0.63本で同5位に名前を連ねる。

 振り返れば優勝した皇后杯でも、JTとの準決勝では計11本、久光との決勝では形12本のブロックポイントを挙げて、いずれも相手チームを上回った。さらにブロックでは「アグレッシブに止めてくれる」とチームメートから信頼を寄せられる古賀も、その強みをぶつける。今回の決勝では、決定力の高いアタッカーがそろうJTをチームとして、いかに封じ込められるかが焦点となりそうだ。

 JTが全勝優勝の新たな偉業を打ち立てるか、NECが今季二冠目を手にして国内女王の座を揺るがぬものにするか。ブランデージトロフィーを懸けた頂上決戦は、3日14時9分に試合開始のホイッスル!

2024-25シーズンから新リーグがスタート

 2030年までに世界最高峰のリーグへ。50年以上の歴史を誇るバレーボールの国内リーグは競技力や事業力の拡大を目指し、「V.LEAGUE REBORN」と題して2024-25シーズンから新たなリーグをスタートさせる。これは現行のリーグの上に「S-V.LEAGUE」(以下SVリーグ)を新設するもので、そのリーグに参加するためのライセンス申請受付を昨年秋に実施。男子は14チーム、女子は15チームが申請したことが一般社団法人ジャパンバレーボールリーグから公表された。

 2024-25シーズンのSVリーグ参加チームは今年4月をめどに決定され、また併行して外国籍選手のオンザコートルール(コート上で同時にプレー可能な人数)やベンチの入れ替えのないコートレギュレーションなどが段階的に発表されている。

 すでに2018-19シーズンからの現行Vリーグでは各チームが積極的に事業化に取り組んできた実績があり、例えばNECはチームロゴやホームゲームの演出面でリブランディングを図り、久光は活動拠点を佐賀県に移し、2023-24シーズン開幕戦ではSAGAアリーナでV1女子最高入場者数を達成。また今後は、日立AstemoリヴァーレがU15チームを新設して競技普及に努め、PFUブルーキャッツはホームタウンに誕生する新アリーナとのネーミングライツパートナー契約を締結して地域との連携を深めるなど、各チームのこうした取り組みは今後ますます加速していくと思われる。

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著者プロフィール

ライター。大学時代に“取材して伝える”ことの虜になり、母校の体育会ラグビー部で専属記者兼カメラマンを務めたほか、「月刊バレーボール」(日本文化出版)を経て、2024年から独立。読者の心が動く原稿を書けるように現場を駆け回る。競技問わずスポーツ界のユニフォームに深い造詣を持ち、所持数はゆうに100枚を超えるコレクターでもある。

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