島根のペリン・ビュフォードが今季初の月間MVP…12月は驚異的なスタッツを連発

大島和人

島根在籍4シーズン目 ファンに感謝「私を応援し続けていただけたらうれしい」

3ポイントシュートを決めたあとのセレブレーションはお馴染みのポーズだ 【(C)B.LEAGUE】

――12月24日の宇都宮ブレックス戦は私(※インタビュアーの大島)がちょうど取材に行っていました。3点ビハインドで第4クォーターに入って、そこからビュフォード選手が獅子奮迅の活躍を見せて76-60で勝利した試合です。ビュフォード選手はトリプルダブルを達成していますし、第4クォーターだけで9得点4アシスト3スティールを記録して逆転の立役者となりました。

 もちろん自分も印象に残っています。宇都宮のディージェイ・ニュービル選手は本当にいい友人で、試合前も試合中もいろいろな話をしたんです。いわゆる「トラッシュトーキング」もぶつけ合いました。宇都宮のような強敵と戦うときにはどちらが上なのか、お互い「知らしめたい」という気持ちが高まります。勝利できたので自分に「blanking rights」(相手を冷やかす権利)があると思っています(笑)。

――良き友人であり、良きライバルであり、だからこそ試合になればいつも以上に「やっつけてやろうという気持ち」が高まる関係ですね。どのようなやりとりがあったのですか?

 細かくは言えないのですが、「これはPG-13(※保護者の同意があれば13歳未満でも見られる映画)じゃないぞ」とか……。自分は友人と戦うときほど競争心が上がりますし「お前は俺を守れないぞ」、「今日は勝たせてもらうからな」というような会話の内容でした。

――試合後にビュフォード選手の取材をお願いしようとしたら、島根の広報から「コンディション的に取材を受けられる状態ではない」という申し出がありました。実際に試合後は燃え尽きたような状態だったと聞いていますけれど、どのような状態だったのですが?

 あの試合は本当に激しい展開でした。私はコートに立つとき、毎回「自分の出せる力を出し尽くそう」と思っています。しかも(日曜の試合で)試合翌日はオフでしたから、体力的にも精神的にも出し尽くした、使いきった状態になっていました。自分もその(取材を断った)ことについては申し訳ない気持ちです。それと同時にそれを理解してくれる周囲の皆さんの配慮を大変ありがたく感じています。

――スタッツを見たときに最も強烈なのが、12月30日の大阪戦です。50得点は1試合の得点としてB1史上2位ですし、さらに14リバウンド12アシストも記録しています。チームも112-82で圧勝しているとはいえ、なぜここまでのスタッツを残せたのですか?

 大阪に「熊をつついた」選手が1人いました。私に余計な言葉を一言二言かけた選手がいたんです。普段の自分は可愛らしい「熊のプーさん」ですが、つついてしまうと凶暴な熊になりますから(笑)。それで熱が入ってあのような結果になりました。

30日の大阪戦では50得点14リバウンド12アシスト1ブロック2スティールを記録 【(C)B.LEAGUE】

――相手チームは試合中のビュフォード選手になるべく優しい言葉をかけた方が良さそうですね。

 そうですね(笑)。

――シーズン後半に向けた手応え、課題はそれぞれどうですか?

 前半戦では「ビュフォードは大丈夫か?」という声も多く聞きましたけれど、そう言ってきた方は相手チームが私を止めるため「ファンキーディフェンス」、「トラップ」をしてきているのかをしっかり見ていなかったと思います。でも逆にそれをきっかけにして、安藤誓哉選手により多くのオフェンスを託すこともできましたし、ニック・ケイ選手や白濱僚祐選手もステップアップしてくれていました。他のチームメートも自分の役割に慣れて、12月の島根は自由にバスケットボールができていたと思います。

――最後の質問ですが、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

 島根のファンはこの4年間、いいときも悪いときも、私を支えてくれていました。まずそのことを大変感謝しています。今後もチームのみならず、私を応援し続けていただけたらうれしいです。

(企画・構成/バスケットボールキング編集部)

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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