「154キロ右腕」大阪桐蔭・平嶋のこれから 憧れの前田悠伍のように、日本一を目指せる投手へ

沢井史

少しずつ経験と自信を積み重ねる大型右腕

186センチの大型右腕・平嶋は少しずつ経験と成長を重ねている 【筆者提供】

 ストレートの自己最速は何キロ? と尋ねられるたびに、大阪桐蔭の背番号1を背負う平嶋桂知(2年)は苦笑いを浮かべながら、申し訳なさそうにいつもこう返答していた。

「154キロ…です。今年の夏(の大会)前の練習試合で出ました」

 186センチ、84キロという体格から見ても、何か大きな期待を抱かずにいられない大型右腕だ。昨秋の近畿大会準決勝の龍谷大平安戦で4番手投手として公式戦デビューを果たすも、一死も取れずに降板した苦い経験を持つ。今春の大阪大会で、当時のエース・前田悠伍(ソフトバンク1位指名)がベンチを外れたことで登板機会が多く巡り、着実に経験を積んできた。

 今夏の大阪大会でも準々決勝の大体大浪商戦で先発し、5回まで無安打ピッチングを披露。6回に初安打を許し、そこから2失点した。「後半はバテてしまって、コントロールが悪くなった」と試合後は反省の弁を述べたが、1年前の秋の悔しさを糧に、夏の大事なマウンドを任されるまでになった。

 今秋からエース番号を背負うが、実は打撃の良さにも定評があり、登板のない試合は外野手として中軸を打つことも多かった。投手では珍しい右投両打で、中学時代は両打席でホームランを放ったこともある。

 だが、今秋からは投手に専念。近畿大会の初戦・高田商戦では先発のマウンドに立ち、6回を投げ3安打無失点と好投した。2回と5回に走者を三塁まで進めるピンチがあったが、低めのツーシームでいずれも空振り三振に仕留めてピンチを脱した。この日のストレートは140キロ台後半をマークし、エースらしく自信を持って投げているようにも映った。「(前エースの)前田さんから『お前が引っ張っていけよ』って言われていたんです」と話すように、堂々と投げ込む姿が印象的だった。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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