3歳ダート三冠馬対決が10.1盛岡で実現! 全国統一王者は東のミックファイアか、北のベルピットか
無敗の南関東三冠馬ミックファイアがダート3歳最強へダービーグランプリに出陣 【写真は共同】
同レースは各地方競馬所属のダービー馬を対決させて真の最強3歳馬を決めようという趣旨のもと1986年に初の地方全国交流競走として創設。1996年にはJRA・地方交流競走となり、翌97年にはダートグレード競走のGIに認定。JRA所属からはイシノサンデー(96年)、レギュラーメンバー(2000年)、ゴールドアリュール(02年)、ユートピア(03年)、カネヒキリ(05年)などそうそうたる顔ぶれが同レースを勝っており、文字通り“秋の3歳全国ダート最強馬決定戦”として実施されていた。
しかしながら08年、09年にいったん休止となった後、2010年に再び地方全国交流競走として復活。紆余曲折を経て今年で36回目を迎える秋の地方ダート3歳最強馬決定戦だが、2024年から新たな3歳ダート三冠が創設されるなど全日本的なダート競走の体系整備によりダービーグランプリは役目を終え、2023年の開催をもってその歴史に幕が降ろされることになる。
数々の名馬、名勝負を生んできた秋のダート競馬の風物詩が消滅するのは寂しいことこの上ないが、その最後を締めくくるにふさわしい実力馬、実績馬、素質馬が全国から集結。10月1日はスプリンターズステークス、凱旋門賞と競馬ファン注目のレースが行われるが、このダービーグランプリもJRA、海外のビッグレースに負けない熱いメンバーとなっている。ダート競馬の歴史の転換点となる最後のダービーグランプリをぜひともその目で見届けていただきたい。
現役ダート最強目指すミックファイア、ここは通過点
ミックファイアのスケール感は3歳限定戦にとどまるところではなく、このレースはあくまでも通過点。陣営が見据える下半期最大の目標は古馬との戦いとなる11月のJBCクラシック、そしてJRAへと殴り込む12月のチャンピオンズカップだろう。それだけにこのダービーグランプリは勝つか負けるかの結果ではなく、その“勝ち方”に焦点が集まるのではないか。
大げさでなく、それくらいの期待をかけてしまうほどにミックファイアという馬の器はまだまだ底が見えない。また、そのレースぶりだけでなく血統表を改めて見ると、3代前の母(曾祖母)には1983年の凱旋門賞馬オールアロングの名前。フランスと北米で年度代表馬に輝いた歴史的名牝なのだが、3歳時の82年にはジャパンカップ出走で来日しており2着に好走している。オールドファンにとっては懐かしい名前であり、日本競馬にも縁があるオールアロングの血がひ孫の代になって日本で再び花開くのだから競馬特有の魅力でもある血統のロマン、ドラマを感じずにはいられない。
不安をあえて挙げるとするなら初めての長距離輸送、そして初めての左回り。ただ、大井以外の競馬場へ輸送することは今後トップを目指すうえでは何度も経験しなければいけないことであり、左回りのレースをここで使うのも中京競馬場で行われるチャンピオンズカップを見越してのこと。であるならば、これら2つの“初モノ”を難なくクリアしてほしいものだ。
※リンク先は外部サイトの場合があります
米国GI・2着のマンダリンヒーローがどこまで迫れるか
米国GIで2着の実績を持つマンダリンヒーロー、初対決となるミックファイアを打ち負かすことはできるか 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
今回は待ちに待ったミックファイアとの初対決となり、南関東三冠馬に初めての土をつける可能性を持った馬……と強調したいところだが、実際にはその可能性はそう大きなものではないかもしれない。と言うのも、マンダリンヒーローはこれまでヒーローコールという浦和所属の3歳馬と3度対戦し、いずれも2着に敗れている一方、そのヒーローコールは羽田盃、東京ダービーの二冠でミックファイアに完敗しているのだ。つまり、ヒーローコールを物差しにして測ると、ミックファイアとマンダリンヒーローの間には大きな差がある、という結論になってしまう。
しかしながら、マンダリンヒーローには前述した米国遠征、左回りの経験がある。ミックファイアにはないその経験と強みを生かしてどこまで迫れるか、という見立てになるだろう。
ほか、同じく大井からは京浜盃1着のほか羽田盃3着・東京ダービー4着の実績があるサベージ、戸塚記念3着のタイガーチャージも出走を予定しているが、やはりミックファイアを逆転するまではどうか。
※リンク先は外部サイトの場合があります