【クラブフィッター小倉の1本語らせて】バーナー ミニ ドライバーを改造したら“生涯ベスト3”に入るクラブになった

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クラブフィッターの小倉勇人さんがこだわりの1本を語る本企画。今回は「生涯ベスト3に入るクラブができた!」と語るテーラーメイド「バーナー ミニ ドライバー」の改造について語っていただきました。

バーナー ミニ ドライバーを2タイプに改良してみた

今回発売されたテーラーメイド「バーナー ミニ ドライバー」は43.5インチで約327g。非常に短くてちょっと重めに作られています。

以前発売された「300 MINIドライバー」も自分好みに改造したのですが、「バーナー ミニ ドライバー」も可能性が詰まったドライバーなのでいじくり回して改造してみました。

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テーラーメイドの「バーナー ミニ ドライバー」は、ミートのしやすいクラブです。

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標準で13gと1.5gの可変式ウェイトを搭載しているので、いろんな調整ができます。

43.5インチで327gは結構重いのですが、その重さがいい方向に働く人は意外と多いので、最初はそのまま使ってみるといいでしょう。どうしてもダフリ気味になったり重くて振り遅れる人は、別売りのウェイトを購入してヘッドを軽くするだけでも振り心地が変わります。そういうアレンジをすればより扱いやすいクラブになります。

改良パターン①ドライバーと同じ長さで使いたい!

1本目の設計プラン:標準で搭載されている13gのウェイトを軽いものに交換し、シャフトを軽量にして45インチのドライバーを作る

私は「バーナー ミニをドライバーと同じ長さで使いたい」という思いがあり、「300 MINI」でも試しました。どうしてもヘッド自体の重さを取り切れないのでシャフトを長くできないのです。クラブはヘッドが重いまま長くしてしまうと、「スイングウェイト」が非常に大きくなって振り遅れやすくなったり、振り切れなくなります。

※「スイングウェイト」とはヘッド・シャフト・グリップの重量バランスによってスイングした際の振り心地をA0〜F9の数字で表したもの。アルファベットがFになるほど重く感じる。

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どうしても45インチの普通のドライバーとして使いたいという思いで、今回標準で搭載されていた13gのウェイトを2gに変更して、11g分軽量化しました。

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これにより、ヘッド重量がスリーブ込みで214gあったものを2gのウェイトに交換して203gまで軽量化して、標準シャフトでのクラブ長43.5インチを45インチに伸ばすことができました。

「ステルス2」の標準ヘッド、PINGの「G430MAX」「G430SFT」がおよそ205g・204g・203gぐらいの重さなので、一般的なドライバーの重さまで軽くできたので45インチまで伸ばすことができました。

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シャフトは「The ATTAS V2 5SX(58g)」です。本来私は60g台の「S」を使うんですが、5の「SX」にした理由は重量を調整したかったからです。いきなり60gを挿して45インチで切ったらバランス出過ぎたら短くするしかないので、調整の幅を持たせるために5SXを選択し組みました。

今回はカウンターバランスにはしてません。「300 MINI」はヘッドのバランスを飛ばすために一生懸命カウンターバランスにしていたのですが、今回は通常に組むことができました。

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実際に打ってみるととても気持ちいいです。ヘッドが小さいということは振り抜きの良さにつながるので、常々言っているマッスルバックのつながりとか、フェアウェイウッドと同じような振り抜きの良さをきっちり体現したバランスのいいクラブになりました。

スペックはスイングバランスはD3。クラブ長は45インチで315gに仕上がりました。これはいきなり組んでスポッとハマった感じで、気持ちよくてこれはこれで不満はなかったです。

改良パターン②ヘッドを重くして振り心地を追求してみたい!

2本目の設計プラン:ヘッド・シャフト・グリップをカウンターバランス仕様にしてヘッドの重さを利用した飛距離性能のアップを目指す

大型ヘッドと比べると、オフセンターヒット時の飛距離が2、3ヤード落ちてしまうのが気になりました。ただ、これはこれで良しということにして、ウェイトを少し重くして「ヘッドを重くして振り心地の追求ができないか」というふうに考えたのです。そこで、もう1本シャフトを作ってみました。

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もう1本のシャフトはフジクラの「PLATINUM SPEEDER」ジュエルライン工房専用モデルです。よく使っている「ダイヤモンド SPEEDER」と同じラインのシャフトです。

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このシャフトには特殊な仕様があります。シャフト自体は手元しっかりめで、ピュッと走ってくれる非常に弾き感のあるよく飛ばせるシャフトなんです。これには「3X」というシャフトがあります、30g台のXです。

今回はヘッドをわりと重めに作ってシャフトの重さをしっかりとって、カウンターバランスにすることでヘッドの重さを出しながらバランスを落とせないかというチャレンジングなシャフトです。

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実際にこの3Xのシャフトを重いヘッドに対応するためにチップカットを1インチしっかり入れました。そして、ウェイトを6gにして、ヘッド重量を207gに変更しました。

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207gというと普通のクラブで組むとD6とかD7くらいになる重量なので振りにくいのですが、今回は軽いシャフトのグリップエンドにカウンターバランスとしてウェイトを入れて、さらに微調整のためにシャフト根元に鉛を貼っています。

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207gのヘッドに45インチのシャフトを装着して、クラブ重量は315gでバランスはD1.5になりました。ヘッドの重さが重いのに先程の「ATTAS V2」を装着した場合がD3だったので、スイングバランスを1.5ポイント下げることができたのです。

実際にこれで打つと、やはり飛びます。ただヘッドが重くなった影響でミスショット時の打球の曲がり幅はこの仕様の方が大きいです。

ただ、トレードオフ的な部分があります。タイミングが合わなければヘッドにエネルギーがあるのであらぬ方向に行ってしまうのです。それでも狙った方向には出やすく、曲がり幅は少ないです。バーナー ミニが改めていいヘッドだと感じました。45インチまで伸ばしてこんな変態スペックまでしても強い球を打たせてくれてミスにも強い。結果的に最長飛距離もこのシャフトの方で出ています。

しばらくはこの2本の仕様でドライバーは楽しもうかと思っています。もしかしたら3本目も作るかもしれません。それだけ非常に可能性があるクラブです。これだけヘッド重量をコントロールできるクラブは少ないです。

興味のない方には大変申し訳ないのですが、クラブってやはりイジると楽しいです。自分が思っていることがかたちにできると非常に愛着も湧くしやっていて楽しいです。自分の生涯の中でベスト3に入るドライバーが1本できたかなと思います。皆さんもぜひいろいろいじってゴルフを楽しんでみてください。

小倉さんいちおしの小ぶりドライバーをチェック

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※本記事はスポーツナビが独自で企画したものです。記事内の商品選定や評価はスポーツナビまたは出演者の方の判断にもとづいています。記事内で使用している商品画像はメーカーから画像・サンプルをお借りした上で使用、撮影しています。
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著者プロフィール

ゴルフメディアで活躍する識者たちが、人気のギアを徹底解説! ドライバーからアイアン、パターといったクラブ一式はもちろん、シューズやウェア、距離計など、ゴルファー必須のあらゆるギアをご紹介していきます。

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