U-18W杯 経験者は語る&現地レポート

オリックス・宮城大弥がU-18W杯でつかんだ大きな自信「小さいカラダでも、プロでやれる!」

前田恵

ライバルたちと過ごした貴重な時間

高校時代から仲良しの佐々木朗希(写真右から1番目)ほか、宮城はチームメイトから大きな刺激を受けたという 【写真:共同通信社】

「僕は大会自体を楽しめてはいたけれども、場面、場面で感じた緊張感を、いい緊張感に変えて結果を出すことができなかった。西自身はどう捉えていたか分かりませんが、当時彼を見ていると、どんなときも楽しく野球をやっているように見えたんです。あれはすごいなと思いました。佐々木朗希の球のスピードにも驚かされましたね。それ相応のトレーニングをしているんだろうなとは思いながらも、自分とはあまりに違いすぎて、あのときはほとんど野球の話ができませんでした」

 宮城と佐々木といえば、今春のWBCでも行動を共にする姿を散見した。2人が親しくなったのは、19年春のU-18代表候補研修合宿のとき。佐々木が宮城に「(お笑い芸人の)四千頭身の後藤(拓実)に似ているね」と話しかけたのが、きっかけだ。そこからキャッチボール・パートナーになり、お互い何かとウマが合うことが分かって、すっかり仲良くなったのだ。

 U-18ではただただ仰ぎ見ていた佐々木に、4年後の今、もはや引けを取らない活躍を見せている宮城。昨季はシーズンを通して1試合だった完封勝利も、今季は8月末時点で3試合を記録する。

「昨年、一昨年より長いイニングを投げられるようになりました。1試合を投げ切る技術と体力、両方が付いてきたかなと思います」

 U-15、U-18、そして「ひとつのミス、ひとつの失点で優勝できなかったらと思うと、責任の重さが(U-18までとは)別物だった」というWBCと、3つの侍ジャパンを経験し、成長という名の階段を着実に上がってきた。日の丸を背負って学んだことは、すべて宮城の血肉に変わりつつある。どんな環境であれ、どんな場面であれ動じなくなったのも、そのひとつである。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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