アジア最上位、パリ五輪出場を目指すW杯の順位決定戦 バスケ日本代表に立ちはだかる敵とは?

大島和人

ホーキンソンは1次ラウンド3試合のMVPだろう 【(C)FIBA】

 17-32位決定戦の2試合が、日本バスケの将来を左右する大一番になる。FIBAバスケットボール・ワールドカップ(W杯)はパリオリンピック(五輪)の予選を兼ねている。パリ五輪の出場は12チームで、W杯の結果で次の7チームに出場権が与えられる。

・アメリカ大陸:上位2チーム
・ヨーロッパ:上位2チーム
・アフリカ:最上位
・アジア:最上位
・オセアニア:最上位

 つまり予選突破の条件はアジア最上位だ。アジア勢はW杯に6チーム出場しているが、日本以外の5チームは1次ラウンドを0勝3敗で終えた。いずれもグループ4位、つまり最下位で、順位決定ラウンド(17-32位決定戦)に進んでいる。

1次ラウンドとの合算で最終順位が決まる

 日本は31日20時10分からベネズエラと、9月2日20時10分からカーボベルデと対戦する。17-32位決定戦は1次ラウンド各組の下位2チームが、別の組の下位2チームと戦う方式だ。日本はE組、F組の下位2チームによる「グループO」に入っている。日本が対戦するベネズエラはF組4位、カーボベルデはF組3位だ。

 1次ラウンドの3試合も含めた計5試合の通算成績で各組内の1〜4位は決まる。各組1位は17~20位、各組2位は21~24位、各組3位は25~28位、各組4位は29~32位となる。同じ順位となったチーム同士で勝敗、得失点差などの成績を比較し、大会最終順位が決まる。

 日本はFIBAの世界ランキングが36位。25日のドイツ戦(世界ランキング11位)は63-81で敗れたものの、27日のフィンランド戦(同24位)で「世界大会における対ヨーロッパ勢初勝利」となる98-88の逆転勝利を飾った。ただし29日はオーストラリア(同3位)に89-109で敗れ、ベスト16入りを逃した。ここまで1勝2敗で、得失点差はマイナス28だ。

 トム・ホーバスヘッドコーチ(HC)と選手たちが大会前に掲げていた目標は「アジア最上位/パリ五輪権条件獲得」だった。目標達成の可能性は十分に残っている。日本は厳しいグループに入っていたため、アジア最上位は決して容易なチャレンジではなかった。しかし他のアジア勢がグループステージで低迷したため、日本に千載一遇のチャンスが訪れている。

アジア1位を見据えて、得失点差にこだわる

 グループステージ3試合のMVPはジョシュ・ホーキンソンだろう。ドイツ戦はファウルトラブルで出場時間が24分ほどに抑えられたものの、フィンランド戦は37分32秒の出場で28得点・17リバウンドと大活躍。オーストラリア戦も36分28秒の出場で33得点・7リバウンドを記録している。

 ホーバスHCはオーストラリア戦後にこう語っていた。

「33点・7リバウンドでしょう? ドイツ戦も彼が出たときに(出場していた時間帯の得失点差が)プラスマイナス0だった。彼はリバウンドとスコアリング(能力)がある。外ばかりでなく、速さばかりでなく、あれくらいの(プレーが)インサイドでもあると大きいです」

 もっとも指揮官は中1日の強行日程で、ホーキンソンに36分、37分という出場時間を強いる否も認めている。

「本当に残念ですし36分、37分は長いんですけど、今はアジア1位の目標があるから。ドイツ戦も今日(オーストラリア戦)もハーフタイムに22点差。40点差になると大変ですよ。だから残念ですけど、得失点差を考えています」

 日本が敗れたドイツ戦、オーストラリア戦も、後半に限れば日本がリードしている。アジア1位をつかむには得失点差が重要になるという計算もあるだろうし、「劣勢でも戦い切るメンタリティ」と「相手が疲れた後半に畳み掛ける走力」がホーバスジャパンには備わっている。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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