アジア最上位、パリ五輪出場を目指すW杯の順位決定戦 バスケ日本代表に立ちはだかる敵とは?

大島和人

ベネズエラは実績豊富なベテラン軍団

サモラ(左)は34歳で、ベネズエラの得点源のひとり 【(C)FIBA】

 日本が31日夜に対戦するベネズエラはグループステージを3連敗で終えているチームだが、世界ランキングは17位と日本より格上。南米予選ではアルゼンチン(世界ランキング4位)を下し、前回大会も14位に入っている。

 登録12名の平均が32.3歳とベテランの多い編成で、また国内リーグでプレーする選手が多い。サイズも日本と大差がない。一方でW杯本大会の直前にNBA組が合流する他のチームに比べると、連携の構築にアドバンテージがあるだろう。

 オフェンスは3ポイントシュートを多く放ってくるスタイルで、ダビド・クビジャン、ホルナン・サモラらのシューター陣をどう封じるかが重要だろう。またペドロ・チュリオのパワーと足を兼ね備えた守備力は脅威で、日本のポイントガード、シューターに立ちはだかる。

 ただ今大会のベネズエラは「持っていない」のかもしれない。今大会のカーボベルデ戦、ジョージア戦は惜敗で、さらに主力のヘルゴリ・バルガス、ミチャエル・カレラがジョージアとの第3戦は負傷でプレーしていない。カレラはモントロス・クリスチャン高校時代に富樫勇樹のルームメイトだった選手で、チーム唯一の「国外組」だが、コート上での再会は難しいだろう。さらに日本戦は中0日で戦わねばならない。

カーボベルデの大黒柱は超大型センター

タバレス(左)はRマドリードでドンチッチ(中)のチームメイトだった 【(C)FIBA】

 2日夜に対戦するカーボベルデはグループステージを1勝2敗で終えている。大西洋に浮かぶ人口56万人の島国で、世界ランキングも格下の64位だが、アフリカ予選ではナイジェリアに連勝する快進撃を見せた。

 アウトサイドはシャネ・ダ・ロザ、ウィル・タバレスら強烈なハンドラーが多く、ゴール下にどんどん切れ込んでくるスタイルは見ていて楽しい。

 チームの大黒柱は221センチ・120キロのビッグセンター、エディ・タバレス。NBAのアトランタ・ホークス、クリーブランド・キャバリアーズに在籍し、2017年からは欧州の強豪レアル・マドリードでプレーしている31歳だ。リバウンドの争奪、ゴール下の守備力については当然ながらレベルが高く、周りを活かす状況判断もできる。

2連勝でパリ五輪へ大きく前進

 星勘定をするならベネズエラは「何がなんでも勝たなければいけない相手」だろう。その上で最終戦にカーボベルデに勝てれば、日本は目標へ大きく近づく。

 馬場雄大はオーストラリア戦後にこう語っていた。

「今日負けはしたんですけど、40分間戦い切れて、チームの勢いも全然消えていません。得失点差があるからこそ、最後の最後まで戦い抜いたところもある。僕たちの目標はもう一つです。パリ五輪の切符をつかむまで、1試合1試合死ぬ気で戦います。3勝で終えることを目指します。(アジアの中では)僕たちが今1位ですから、希望しかない」

 渡邊雄太はこう意気込む。

「2試合とも勝てば、大きくパリに近づける。本当に1試合も取りこぼしができない中で、この戦い方を40分間できることを全員が信じられるかどうかだと思っています」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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