三笘、遠藤、鎌田、久保…欧州3大リーグ所属&日本代表最注目4選手の今シーズンの立ち位置は?
鎌田大地(ラツィオ/セリエA)
イタリア初挑戦となる鎌田。CL出場、会長の熱意、サッリ監督の指導がラツィオ入りの決め手になったようだ 【写真は共同】
そうした状況で手を挙げたのが、昨シーズンのセリエAで2位となり、CL出場権を獲得したラツィオだった。絶対的な主軸としてチームを長年けん引したセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチのサウジアラビア移籍が決まり、その穴を埋める後釜として鎌田との契約に動いたのである。
伊紙『コリエレ・デッロ・スポルト』によれば、ラツィオを率いるマウリツィオ・サッリ監督はクラブ首脳陣から鎌田獲得の提案を受けて仰天したという。だが、チーム戦術に適合し、ブンデスリーガやCLで実績豊富な日本代表MFをフリーで獲得できるならばゴーサインを出すほかない。指揮官にとって願ってもない新戦力を確保することができた。
そして鎌田はセリエA開幕戦のレッチェ戦で4-3-3の右インサイドハーフとして先発起用される。昨季までミリンコヴィッチ=サヴィッチが担ったポジションだ。ラツィオは1-2で逆転負けを喫してしまうが、鎌田が途中交代するまでは主導権を握れており、早くも影響力の大きさが表れる結果となった。
ラツィオは第2節のジェノア戦にも敗れて開幕2連敗となってしまったが、鎌田は2試合連続で先発出場。戦術理解が早く、細かな約束事が多いことで知られる「サッリ・ボール」で中心を担う存在になっている。屈強なフィジカルで違いを生み出せた前任者とは特徴がまったく違うため、ルイス・アルベルトとのコンビでどのような化学反応が起こるか未知数な部分は多いが、鎌田が欧州での躍進を目指すラツィオでキーマンになっていくのは間違いない。
久保建英(レアル・ソシエダ/ラ・リーガ)
ジローナとの開幕戦で左サイドから流れてきたボールを蹴り込み、同点ゴール。今季の“ラ・レアル”の命運は久保の左足に懸かっていると言っていい 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
昨シーズンからソシエダでプレーする久保は、リーグ戦で9得点7アシストを記録。肉体的にも精神的にもたくましくなり、右サイドからのドリブルでの仕掛けは常に対戦相手の脅威となっていた。今夏は古巣レアル・マドリーが再獲得に動く可能性も伝えられながら、地元ラジオのインタビューに応じて早々にソシエダ残留を宣言。クラブにとって10年ぶりとなるCL参戦に向けて充実した日々を送っている。
今シーズンのラ・リーガ第1節のジローナ戦では、2年連続となる開幕戦ゴールを挙げた。続く第2節のセルタ戦ではアンデル・バレネチェアのゴールをアシスト。ソシエダは3節終了時点で未勝利が続いているものの、久保は3試合連続でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれるなど右サイドで好パフォーマンスを続けている。シルバやアレクサンダー・セルロートが去った中で、攻撃の中心としての自覚がより強まっているような印象だ。
特に第3節のラス・パルマス戦では、75分に久保を交代させたイマノル・アルグアシル監督の采配に地元メディアから「交代させるべきではなかった」という厳しい意見も。苦しい展開でも、ピッチに立っていれば確実に多くのチャンスを生み出す背番号14のパフォーマンスへの評価は極めて高い。
今シーズンのソシエダはシルバ不在の影響か、なかなか攻撃のテンポが上がらず、フィニッシュに至るまでの共通認識や適切な人選を見出せず苦しんでいる。10シーズンぶりのCL参戦に向けて難しい戦いが予想されるが、久保を新たな象徴としたチームづくりが復調への光明となるかもしれない。
(企画・編集/YOJI-GEN)