対戦相手は「日本のガード陣に驚くはず」 日欧を知るパトリックHCから見たホーバスジャパン

永塚和志

日本代表の成否はPGが握る

日本は体躯勝る格上の相手の圧力にどれだけ対抗できるかが鍵となる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――渡邊雄太や八村、河村勇輝、富樫、原といった選手たちについてすでに言及していただきました。日本がワールドカップで白星を挙げるために鍵となる選手は誰でしょうか。

 まず、ポイントガード(PG)たちが鍵を握るでしょうね。ですが相手は日本にプレッシャーをかけてくるのは間違いありません。アジアのチームはソフトだと思われています。強化試合で中国とドイツが対戦していますが、ドイツが5分間、プレッシャーをかけ続けると、その間に彼らは40-12のランで差を広げています。中国はプレッシャーにまったく対抗できていませんでした。日本についても、フィジカリティやプレッシャーに対してどれだけ対応できるかが鍵となります。

 日本にとっては、PGに限らず全ポジションでそこが課題です。一方で、日本の対戦相手にとっては日本のアドバンテージであるスピードにどこまで対応できるかが課題になります。

 しかし、相手がフルコートでプレッシャーをかけてきた時などに日本がフィジカリティにどれだけ対応できて、リバウンドでも競ることができるか。そこが大きな勝敗の分岐点です。ホーキンソンを始めとしたインサイドの選手たちがどれだけリバウンドを取るかはかなり重要になってきます。

 すでに触れた通り、ドイツのガード陣は日本のPFよりも大きい、あるいはセンター(C)よりも大きいといった状況も出てくるでしょう。それでも、フルコートのプレッシャーやリバウンドで対応ができれば、日本のスピードのアドバンテージが活きてくると思います。

日本にはヨーロッパ勢から1勝してほしい

日本にはヨーロッパ勢から1勝を期待しているとパトリックHCは言う 【スポーツナビ】

――ドイツは、シュルーダーと同じくNBAで活躍するマキシ・クリーバーを、代表活動に十分コミットしてこなかったと批判して、クリーバーが辞退してしまうという出来事がありました。そのようなことがあってチームの状況は大丈夫なのかと気になります。

 チームの内情についてはわかりませんが、マキシは、彼が19歳から20歳頃にかけて私のチームでプレーしていました。彼にとってはプロキャリアで初めてのコーチが私ということになります。彼はキャリアを通じて多くの故障に悩まされてきたことも知っています。マキシは17歳から19歳にかけても手や足の骨折などでプレーができませんでした。

 チーム内の問題等についてはわかりませんが、ただマキシがいなくてもドイツにはタレントが十分揃っていますし、十分な強さがあると思います。

――最後に、今回のワールドカップはどのような大会になってほしいと思っていますか。

 接戦を期待したいですし、サプライズも見たいですね。日本にはヨーロッパのチームの1つを打ち破ってもらいたい。もしあのグループで1勝ができればすばらしいことだと思いますよ。

 私はいくつか驚くような結果が見られるのではないかと思っています。もし勝つことを見込まれているチームが相手を舐めてかかるならば、モンテネグロやフィリピン、日本のようなチームが人々を驚かせるかもしれません。

 FIBAのバスケットボールは面白い。というのもNBAの選手たちが参加するとはいえ、彼らは国際ルールでプレーしなければならないからです。つまりそれは、試合を通してハードにプレーしなければならないということです。


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取材後記
 
 富樫、原と日本代表に自身が指揮を取る千葉Jから選ばれたことについて、パトリックHCが誇らしそうに話してくれたのは印象的だった。

 一方で、日本と対戦するドイツ代表にも自身が過去に指導したことがある選手がいて、こちらのほうも多くを知っており、彼の話を聞くとドイツ相当に倒すのが難しそうだと余計に思わされた。

 日本代表のことは海外では誰も話題にしていないということで、しかし、だからこそチャンスなのだと語った同HC。それはそうか、と思いつつ悔しさも感じたが、そんなチームが世界を驚かせれば痛快だ。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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