【トレイルランニングシューズレビュー】BROOKS「CASCADIA 17(カスケディア 17)」「CASCADIA 17 GTX」

トレイルランナー JP

走るほど癖になるスムーズなライド感が魅力のスーパーオールマイティー

【写真提供:トレイルランナーJP】

2005年にデビューして以来、ロングセラーを続けている「CASCADIA(カスケディア)」。BROOKS(ブルックス)のトレイルランニングシューズの中で最も長い歴史をもつシューズです。その最新バージョン「CASCADIA 17」が登場。今回はフルリニューアルされたメジャーアップデートとなり、新しい機能も搭載されています。

【写真提供:トレイルランナーJP】

【写真提供:トレイルランナーJP】

刷新されたアッパーはシームレスで通気性の高いメッシュ素材。トウからサイドにかけてはTPUオーバーレイによる補強も施されています。ヒールにはしっかりした内蔵プレートの他、外側からも補強されているためがっちりとホールドしてくれます。また、新しい染色工程はエネルギーを66%、水の使用量を75%削減しています。

伸縮性があり通気性が高いメッシュアッパー。トウとサイドはしっかりと補強。 【写真提供:トレイルランナーJP】

ヒールは内蔵プレート+オーバーレイの補強。 【写真提供:トレイルランナーJP】

アッパーと一体化されたガセットタンは少し薄くなり先端は前作とは逆の凸型のラウンド形状になっています。タンには余ったシューレースを束ねるためのバンドも付きます。履き口のパッドは少し薄くなりましたが、快適さとホールド感を損なうことはありません。

アッパー内側のアンダーレイの補強とライナーと一体化したタン。 【写真提供:トレイルランナーJP】

「CASCADIA 17」の肝となるのが新しいトレイルアダプトシステムです。これは2層のミッドソールとその間にインサートされた、バリスティックロックシールド(ロックプレート)、そしてアウトソールポッドで構成されています。スタックハイトは実測値でフォアフット約23mm、ヒール約31mm、ドロップは8mmで前作よりも全体に2mm厚くなっています。

サイドから顔を出すロックプレート。ボトム部はウェーブ形状に仕上げられている。 【写真提供:トレイルランナーJP】

ミッドソールは前作と同じオリジナル素材のDNA LOFTv2ですが、縦に2分割、横に3分割するフレックスグルーブ(溝)が刻んであり、それぞれのエリアにアウトソールが張られて独立したポッドを形成しています。これは、これは山羊の蹄から着想を得たバイオミメティクスデザインになっていて「CASCADIA」の伝統的なピボットシステムのコンセプトを引き継いでいます。

フレックスグルーブによって6つのゾーンに分割されたアウトソール。 【写真提供:トレイルランナーJP】

アウトソールのコンパウンドはオリジナルのTrail Tack Green Rubber。評価が高かった従来のTrail Tack Rubberと同等の性能を発揮しながらも、リサイクルシリカを25%使用しています。ラグの高さは約4mmで前作よりも少し低くなりましたが、形状はアグレッシブなシェブロン形状(逆V字)に変更され、前作でラグがなかったミッドフット部分にもラグが配置されました。面白いのはミッドソールのエッジ部分がウェーブ状に成形されている点です。

(上)「CASCADIA 17」、(下)「CASCADIA 16」 【写真提供:トレイルランナーJP】

足を入れてみると、全体にソフトに包み込まれる優しい感触でした。トウボックスは広め。伸縮性があるアッパーのおかげで足はストレスなく動かせます。ヒールホールドも良好。剛性も高く安心感があります。

トレイルを走ってみると、程よいクッション、程よい反発、程よいロッカーで、ソールが厚めの割に癖のないナチュラルなライド感で流れるように自然に走れる印象でした。そして、この「流れるような」感覚を決定的なものにしているのがアウトソールポッドだと思います。とくに小石のような小さな起伏を綺麗に吸収してくれるため、走行中の足のねじれが減少し、結果として疲労も少なくなります。

トレイルの凹凸を吸収して足を安定させるトレイルアダプトシステム。 【写真提供:トレイルランナーJP】

グリップも前作に比べて格段に良くなりました。ラグは少し低くなりましたが、粘りが良く、柔らかい路面ではしっかりと刺さります。また、硬い路面ではソフトラグがクッション性にも貢献しています。

「CASCADIA 17」は履いた途端に感じられる鋭い反発やふかふかのクッションはありませんが、一日中山を走ってみると、どんなシチュエーションでも安定していて、結果として疲労が少なく、いつもより長く走れるシューズでした。派手さはありませんが、履けば履くほどありがたみを感じられるシューズだと思います。

バリエーションとして防水モデルの「CASCADIA 17 GTX」もラインナップしています。「CASCADIA 17」はマッディな路面でしっかりとグリップしてくれるので防水モデルとの相性は抜群です。ハイクで使用したり、降雪時のランニングなどでも活躍するので防水シューズを、一足持っていたいと思うなら、「CASCADIA 17 GTX」はお勧めです。

(左)「CASCADIA 17 GTX」、(右)「CASCADIA 17」 【写真提供:トレイルランナーJP】

【写真提供:トレイルランナーJP】

CASCADIA 17
カスケディア 17
・価格 : ¥19,800(税込)
・サイズ : men’s 25-30cm、Women‘s 22.0-26cm
・カラー:men’s 2色(GEN、GRY)、Women‘s 2色(NB、GRY)
・ミッドソールの厚さ:フォアフット12㎜、ヒール 20㎜
・ドロップ:8mm
・重量:310g(27cm)

【写真提供:トレイルランナーJP】

CASCADIA 17 GTX
カスケディア 17 GTX
・価格 : ¥23,000(税込)
・サイズ : men’s 25-30cm、Women‘s 22.0-26cm
・カラー:men’s 1色(B/BK)、Women‘s 1色(NB)
・ミッドソールの厚さ:フォアフット12mm、ヒール 20mm
・ドロップ:8mm
・重量:330g(27cm)
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