進化を遂げた西武・高橋光成のエースの矜持 意外な夏バテ対策、限定ユニや家族への思いを語る

三和直樹

3年連続の開幕投手を務めた西武・高橋光成は2戦目から3戦3勝の好スタートを切った 【写真は共同】

 「ライオンズのエース」。球史に残る数々の名投手たちがその称号を背負ってきた。そして現在、その重責を担っているのが、前橋育英高校からドラフト1位でプロ入りして今季9年目を迎える高橋光成である。

 昨季12勝&防御率2.20とキャリアハイの記録を残して“ひと皮剥けた”右腕は、26歳で迎えた今季、さらに力強く進化した姿をマウンド上で披露している。8月に『ライオンズフェステバルズ』を控える7月、先発ローテーションの合間、本拠地ベルーナドームで調整を続ける背番号13、26歳のエースの元を訪ねた。

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「あれっ?」から掴んだ新たな感覚

――プロ9年目のシーズンを迎えていますが、開幕前の自主トレ、キャンプとどのようなテーマを持って臨んだのですか?

 個人の技術的には「球速」ですね。今年に限らず、これまでもずっと「球速を上げたい」と取り組んできたんですけど、なかなか成果がでなかった。でもそれが今年やっと噛み合ってきた。去年まではNPBの平均ぐらいのだったんですけど、今年はそこから2、3キロ上がった。球速が上がると打たれるリスクは下がりますし、バッターの反応はやっぱり違うなと感じています。

――これをしたから球速が上がった、という具体的な練習法などはあるのですか?

 本当に僕、ずっと球速を上げたいと思って練習してきたんですよ。これをしたから、ここを変えたから速くなったというのはなくて、これまでずっと積み上げてきたものが今年、噛み合ったという印象です。同じことをやってきた中で、ある日、「あれっ?」っていう感覚があって、スピードガンを見たら155キロ出て、158キロも出せるようになった。

――その「あれっ?」と感じたのはいつ頃のことですか?

 キャンプが終わってからのオープン戦でしたね。開幕の2、3試合前ぐらい。ほんと、投げた瞬間に「あれっ⁉︎ 今までと違うぞ!」って思ったんですよ。そして、その感覚を保ったまま開幕を迎えて、すぐに自己最速を更新(4月22日オリックス戦で158キロを計測)できた。今もいい感覚で投げられています。

――今年は3年連続で開幕投手を務めました。報道では松井稼頭央監督から「2月13日の13時13分ほぼ13秒」と背番号にちなんだ時刻に伝えられたとのことですが?

 そうですね(苦笑)。ちゃんとタイマーが置いてあって、「ほぼ13秒」でした(笑)。粋な計らいをしていただきました。監督から「話がある」と言われて呼ばれたのでちょっとドキドキしたんですけど、ありがたい言葉をかけてもらいました。自分の中では正直、「開幕投手は俺だろう」という気持ちはありましたけど、いざ言われると嬉しかったですし、改めて頑張ろうという気持ちになりましたね。

――そして迎えた3月31日の開幕戦、チームは惜しくも2対3の逆転負けを喫しましたが、自身は8回6安打1失点7奪三振と納得できる内容だったのでは?

 3年連続でオリックスが相手だったので…(苦笑)、変な緊張はなかったですし、この3年の中では一番良かったと思います。結果だけじゃなくて自投球内容も良かったと思いますし、次に繋がるピッチングができたかなと思いました。

――3年連続の開幕投手ということもありますが、2年連続で2ケタ勝利、さらに昨季12勝&防御率2.20のキャリアハイの好成績を残したことでの「自信」もあったのでは?

 経験値という意味では、いろんなシチュエーションに対応できて、落ち着いて投げられるということはあると思いますが、僕の考え的には前のシーズンのことは忘れて常に1年1年が勝負と思っています。去年良かったから「そのままやっていれば大丈夫」というのではなくて、そこからもう一つ上を目指してやらなくちゃいけない。常にリニューアルするという気持ちで続けてきた中で、今年は投球スタイルも変えることができたと思っています。

――「投球スタイルが変わった」というのは具体的にどういった部分でですか?

 「パワーで勝負」という部分ですね。それまでもパワー勝負をしたかったんですけど、ボールのスピード、球威が足りなくて、どうしても変化球の精度で勝負していた。抑えられればそれでも正解なのかも知れないですけど、やっぱり速い球を投げて、三振を取って、相手を力でねじ伏せるという投球スタイルに憧れていますし、そこをもう一度目指したいという気持ちがあります。

――その意味でも開幕戦から4試合(8回6安打1失点7奪三振、8回3安打無失点11奪三振、7回1安打無失点5奪三振、9回5安打2失点8奪三振)非常に良いスタートを切りました。

 そうですね。結果もそうですけど、自分の中でこれまでとは違う投球スタイルで抑えられたというのは良かったです。あとは、あの状態を長くキープすること。まだまだシーズンの中でも成長できる部分はあると思うので、あれ以上のピッチングを見せたいと思っています。自分自身で限界を決めずに、もっともっと良くなると思って、上を目指してやっていきたい。

――ただその後、5月下旬から4連敗と勝てない時期も味わいました。そういう苦しい時期の過ごし方、気持ちの持ち方は?

 僕自身そんなに勝ち負けにはこだわらないようにしています。そこだけ見てしまうと、浮き沈みしてしまう。いかに1年間ローテーション守るのかというのが、先発としての役割ですから。年々、規定投球回に乗る投手も少なくなって来ていますし、まずは怪我をせずにローテーションを守ること。そこに対してはこだわりを持ってやっています。

蒼空ユニフォームで勝負する「夏」への思いと対策は?

ライオンズフェスティバルズ2023限定「蒼空ユニフォーム」を着用した高橋光成 【(C)SEIBU Lions】

――この後、オールスターを挟んで後半戦が始まればすぐに8月に入ります。そして8月の西武と言えば、『ライオンズフェスティバルズ』です。期間中は普段とは異なる限定ユニフォームを着用し、今年は「蒼空(あおぞら)ユニフォーム」です。

 毎年、違うデザインのユニフォームなので楽しいですよね。そして今年は爽やか! ベルーナドームは暑いですから、見た目で涼しく感じるんじゃないかなと思います。デザインも格好良いですし、水色に近い青色で、ライオンズらしいユニフォームだなと思います。

――ユニフォームのデザインが発表された時に実際に着用されたようですが、鏡を見てどうでしたか? 似合っていましたか?

 似合ってた、と思うんですけど(笑)。ピンストライプ柄というのもあんまり着たことがない。一度もないかも。高校の時の代表(U-18日本代表)ぐらいかな…。でもホント、上だけじゃなくて下まで青色のストライプっていうのが、いいですね。実際に来た時の感じも良かったですし、楽しみです。

――8月の『ライオンズフェスティバルズ』は2016年から始まって、これまでもいろんなデザインの期間限定ユニフォームがありましたが、印象的だったもの、好きだったデザインはありますか?

 黄色のユニフォーム(2015)かな。チームとしてはあまりよくなかったですが、個人的には自分の(プロ)初登板の時のユニフォームなんですよね。だからすごく印象に残っています。(ライオンズフェスティバルズになってからは)緑(2016年のエメラルドユニフォーム)もあったし、赤(2017年:炎獅子ユニフォーム)もあったし…。去年の「WILD WILDユニフォーム」は好きですね。今までの中で一番好きかもしれないです。格好良かった。

(編注:2012~2015の4シーズンに渡り実施した、ライオンズフェスティバルズの前身となるイベント。西武鉄道100年アニバーサリー企画のイエローシリーズ。2015年7月25日~8月2日で開催された)

――その『ライオンズフェスティバルズ』の期間ですけど、高橋投手の成績を振り返ると2019年から4連勝中(登板10試合)というデータがあります。

 確かに8月の印象はいいかもです。月間MVPも獲ってますからね(2015年8月)。僕自身はあんまり暑いのは好きじゃないんですけどね。汗かきですし…。でも、それは素晴らしいデータですね。今年も勝てそうです。縁起がいいなら、来年は夏のユニフォームは僕がデザインを決めましょう!

――それはいいですね! 是非、球団の方にお願いしましょう。もしそれが実現したとして、自分でデザインするならどんなユニフォームにしたいですか?

 迷いますねぇ〜(苦笑)。でも絶対に今までにないようなデザインにしたいっていうのはありますね。賛否が別れるような。今年、新庄(剛志)さんがデザインしたもの(5月に着用、襟付きの“ヒーローユニフォーム”で話題となった)ぐらい、派手なやつがいいですね。

――期間限定ということもありますし、デザイン的にもいろいろとチャレンジできると思います。

 そうですよね! じゃあ、うちの実家がリンゴ園なんで、緑のパンツに、上が赤色でっていうのはどうでしょう(笑)。ダメかな? ダメですよね(苦笑)。でも帽子ならリンゴ柄でいけるかも…。緑の帽子、前に(ライオンズのグッズで購入した帽子が)あったんですけど、個人的に好きだったんですよね。つばのところが緑で全体がクリームっぽい色のやつ。だからあのデザインのユニフォームがいいですね。作って欲しいです。じゃあ、このまま今年も8月負けなしだったら「僕にプロデュースさせてください」ってお願いすることにします(笑)

――夏バテ対策みたいなものは何かしていますか?

 今は「熱湯風呂」ですね。増田(達至)さんに教えてもらったんですけど、熱いお湯に浸かって暑さになれるというもので…。でもホント、熱いんですよね(苦笑)。入ろうと思っても熱くて入れないですもん。それでも僕とか松本(航)とか、與座(海人)さんとかが弟子入りして、何とか頑張って入れるようになってきた。それで今は「その熱湯風呂に合う飲み物は何か?」って探しているところです。サウナならオロポ(オロナミンCをポカリスエットで割ったもの)がいいってあるじゃないですか。だからそういうものを見つけたいんですけど、今のところは「やっぱ麦茶だな」と(笑)。ミネラル摂れるからってことになってます。それで体調を整えて、夏に連勝できるようにしたいですね。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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