野村克也の知られざる過去 昭和末期に率いた中学野球チームに見るID野球の原型
【写真は共同】
異彩を放っていた「真紅のユニフォーム」
野村克也をしのぶ会─。
新型コロナウイルス禍により、当初の予定から大幅に遅れての開催となった。
かつて、氏が在籍した東京ヤクルトスワローズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、阪神タイガース、福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズ、そして千葉ロッテマリーンズの六球団が共同発起人となり、厳粛な雰囲気の中で会は執り行われた。
参列者はそうそうたる顔ぶれだった。
当時の現役監督では、この直前に日本一に輝いたばかりのヤクルト・髙津臣吾を筆頭に、巨人・原辰徳、阪神・矢野燿大、横浜・三浦大輔、楽天・石井一久、西武・辻発彦、ロッテ・井口資仁、侍ジャパン・栗山英樹 、そして「BIGBOSS」で注目の的となっていた日本ハム・新庄剛志が献花した。
さらに、選手として、監督として、野村氏と同時代を戦った江夏豊、福本豊、田淵幸一、若松勉、山本浩二 、江本孟紀、高田繁、中畑清、古田敦也 、谷繁元信、宮本慎也……。
右を向いても、左を見ても、日本を代表する往年の名選手が一堂に会していた。
ホームベース付近に設置された祭壇には、生前在籍した各球団のユニフォーム姿の野村氏の写真パネルとユニフォームが飾られている。
展示されているユニフォームは全部で七種類。
中央の位牌から、向かって右手には選手時代に袖を通した西武、ロッテオリオンズ、南海ホークスの帽子とユニフォームが飾られ、左手には監督を務めた四球団が並んでいる。
多くの人にとって、ヤクルト、阪神、楽天のユニフォームは見慣れたものだろう。しかし、もう一つの真紅のユニフォームはなじみのない人もいたかもしれない。
真っ赤な生地の胸には銀色のアルファベット「SHIDAX」と染め抜かれている。
金網にもたれかかっている野村の写真は帽子も含めて、全身赤一色だ。
このユニフォームこそ、2002(平成14)年から05年にかけて、野村が指揮を執った社会人チーム・シダックスのものだった。
ヤクルト監督退任後すぐに、三顧の礼をもって同じセ・リーグのチームである阪神の監督に迎えられた。しかし、栄光のヤクルト時代とは一転して、99~01年にかけての3年間では三度の最下位を経験した。
それでも、翌02年の留任発表がなされていたものの、沙知代夫人が脱税容疑で東京地検特捜部に逮捕された01年12月6日未明、志半ばでの辞任を余儀なくされることとなった。
この瞬間、NPBにおける野村の居場所は失われてしまった。
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