【WBC優勝候補分析】韓国はメジャーリーガー中心にバランスの取れた野手陣が強み 攻略の鍵は「左腕の起用法」
鉄壁の二遊間コンビと国内リーグでタイトル総なめの若きスター
俊足堅守の二塁手としてカージナルスで絶賛活躍中のトミー・エドマン。韓国系アメリカ人としてメンバー入りした 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
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そのほか、代表歴が豊富なベテランも数多く選出されている。打線の主軸に座ると予想されるのが、パク・ビョンホだ。昨季を含む6度の本塁打王を獲得しているスラッガーで、国内通算362本塁打の実績を誇る。また、15年のプレミア12で大会MVPを受賞したキム・ヒョンスは、東京五輪でも打率.400、3本塁打を記録するなど、大舞台の強さに定評がある外野手。2人はMLBでのプレー経験もあり、海外勢の投手に対する対応力も高いはずだ。さらに、捕手としてチームをけん引するヤン・ウィジは、国内リーグで通算228本塁打を誇る強打が持ち味。イ・ジョンフを中心とした切れ目のない打線は強力であるとともに、同リーグで通算342盗塁を誇るパク・ヘミンや、21年の盗塁王であるキム・ヘソンら足を使った攻撃ができる選手もそろっており、走攻守のバランスがとれたメンバー構成になった。
日本対戦時の要注意ポイントおよび攻略ポイント
そこで、韓国リーグの打者の「対左腕」に関する力量を推し量るため、近年日韓の両国でプレー経験がある選手の成績を確認してみたい。まずは、2020年に韓国リーグでシーズンMVPに輝いたメル・ロハス・ジュニアだ。ロハスは左投手に対して同年に打率.379を記録したが、阪神に移籍した21年には対左打率.148とNPBの左投手に苦戦を強いられた。次に、昨季ヤクルトに在籍していたアンドリュー・スアレスの成績も見てみよう。左投手のスアレスは、21年に韓国リーグで10勝2敗、防御率2.18という好成績を収め、翌年にヤクルトへと移籍。ところが、NPBでは防御率6点台と結果を残すことができず、1年限りで退団となっている。
数少ないケースからの推定ではあるが、日本代表のサウスポーが有効となる可能性は高い。韓国代表は19年のプレミア12でも右投手に対して打率.260だったのに対し、左投手に対しては打率.183と成績が落ち込んでいる。国内リーグの成績を見ると直近の5年は連続で左腕に対して3割を超える打率を残しているイ・ジョンフでさえも、東京五輪ではサウスポーに12打数0安打と抑えられた。今回の侍ジャパンには、今永昇太や松井裕樹、高橋奎二といった150キロ台のストレートを投じる左腕が多く、彼らは韓国リーグに所属する打者に対してアドバンテージを発揮できるだろう。先発投手はダルビッシュ有などの右投手が予想されるが、2番手以降の継投に関しては、左投手の起用法がキーポイントとなる。
WBCは2大会続けて1次ラウンドで敗退となっており、日本と激突するのは3大会ぶりとなる。韓国代表が日本代表に勝利したのは、2015年プレミア12の準決勝が最後。17年のアジアプロ野球チャンピオンシップや、19年のプレミア12、21年の東京五輪など、直近の5試合はすべて日本が勝利を収めており、両国の力の差はやや広がりつつある。今大会も戦力的には日本が優位と思われるが、とはいえ韓国代表は実績のあるメジャーリーガーを擁し、並々ならぬ覚悟を持って臨んでくるはず。過去の国際大会で何度もあったような熱戦が期待できることは、間違いないだろう。