年に一度の長距離重賞は意外と1番人気が不振!?/佐賀・九州大賞典データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝タガノファジョーロ 【撮影:佐賀県競馬組合】

第26回九州大賞典(3歳以上、ダート2500m)
11月24日佐賀7レース 18時05分発走予定


年に一度、この距離のレースが行われる日がやってきた。佐賀競馬場で唯一となるダート2500m戦となる重賞・九州大賞典が11月24日に行われる。
先日、初開催のJBCで成功を収め、さらなる盛り上がりを見せる佐賀競馬。ここでは2014年から2023年までの過去10回のデータを元に分析する。

意外と1番人気の信頼度は高くない?データの盲点

当レースはグレイトパールが2019年~22年で4連覇を果たしており、データにやや偏りが出る可能性がある。単勝人気別成績を見てみても、過去10回で1番人気が2勝を挙げているが、いずれもグレイトパールによるもの。それを除くと1番人気は未勝利で、2着2回、3着4回で、3着内率60%となり、意外と1番人気の信頼度は高いとは言えない。
3連単万馬券は4回。5番人気が勝った18年と、2、3着に5番人気以下が入った14年、22年、23年だった。5番人気以下が絡んで3連単万馬券にならなかったのは17年の1630円のみ。しかしながら、この年は6頭立ての少頭数に加えて1着2番人気、2着1番人気での決着で、3着は最低人気馬が入ったとしても20倍以下となるオッズだった。

単勝人気別成績 【表1】

先行・差しを狙うポイントは上がりタイム

舞台となる佐賀ダート2500mは年に一度、当レースでのみ使用される距離。最もレースが行われるダート1400mと同じスタート地点から2周する。

佐賀競馬場 【コース図】

長距離戦となり、脚質別成績はどうか。先行馬が最多の7勝を挙げ、3着内率は50%を超える。逃げ馬は小回りコースながら2勝に留まるものの、3着内率は先行馬を上回る60%だった。

脚質別成績 【表2】

では、最多の7勝を挙げる先行や、過去10回で3着以内に7頭が入った差しはどのような条件だと上位入着しやすいのだろうか。
そこで、先行・差しの上がり3ハロンを調べたのが下表3。上がり3ハロン38秒未満であれば3着内率は100%だが、先月に砂を補充された佐賀競馬ではそう簡単に出せるタイムではない。現実的なのは40秒台前半より速い上がりを繰り出せる馬だと思われる。当該馬は(6,6,3,8)で勝率26.0%、連対率52.1%、3着内率65.2%だった。

先行・差しの上がり3ハロン別成績 【表3】

一方で、逃げた場合の上がり3ハロン別成績は下表4の通り。勝つには上がり3ハロン42秒未満求められ、先行・差し馬と大きな遜色ない上がりの脚が求められる。

逃げの上がり3ハロン別成績 【表4】

11番枠が突出した好成績

馬番別の成績では11番が突出している。この枠からは人気以上に好走する馬が出ており、一目置きたい。

馬番別成績 【表5】

450kg~550kgがベター

11番枠の好成績から、外目をゆったり回れる方が有利なのか?という一つの仮説が立てられる。そこで、ストライドに多少なりとも影響を与えるであろう馬体重別の成績を調べたのが下表。
500kg台後半の4勝はすべてグレイトパールによるもので、ボリュームゾーンは500kg台前半と言える。また、1着までは難しくとも、400kg台後半の馬は2着と3着が各7回と多い。

馬体重別成績 【表6】

長距離実績は裏切らない

近走成績から好走条件を探ってみよう。下表7は佐賀ダート1800m以上で2着以内(直近2走)がある馬の成績。3着内率は過半数に上る。直近2走はオープン戦や重賞などレース格は関係なく、当レースで好成績を収められていた。

近走別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

①先行・差し馬で近走で上がり3ハロン40秒4以下の脚を使えている馬
②逃げ馬で近走上がり3ハロン42秒未満の馬
③450kg~550kg
④1800m以上で2着以内(直近2走)
⑤11番枠

コスモポポラリタは距離が延びて良さが増すタイプ。南関東時代は金沢へ遠征し北國王冠(ダート2600)で2着のほか、同距離の大井・金盃トライアルは2年続けて3着以内を確保した。長距離になると普段より前目の位置で運べ、バテない末脚を発揮する。佐賀移籍初戦の重賞・九州ジュニアチャンピオンシップ(ダート1750m)を7番手から上がり3ハロン37秒8で勝利。①③に当てはまる。

アエノブライアンは先行して上がりの脚も使えるタイプ。重賞初制覇となった佐賀王冠賞(ダート2000m)もそうで、不良馬場とはいえ3番手から上がり3ハロン37秒3と後続を突き放した。①③④に該当。

⑤からはクロスザルビコン。前走は勝ったアエノブライアンに離されたが、ゴール手前では外から伸びた2着スーパーフェイバーと併せ馬になるともうひと伸びを見せた。人気にならないようなら、相手として狙ってみるのも面白そう。①③に当てはまり、調教師転身のため今月末で騎手を引退する倉富隆一郎騎手が跨る。

第26回九州大賞典 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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